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2011年3月に発生した東日本大震災。東北の被災地ではいまだに復興が進まない地域もあります。東北に住む私の友人は、今も仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。
遠く離れた私たちにとっては、ついつい記憶が薄らいでしまうのですが、被災地では現在進行形の問題なのです。
一方で、東北から遠く離れた東京ディズニーリゾートがある千葉県浦安市でも、地震の揺れによる液状化現象で大きな被害を受けました。
浦安市に災害派遣された陸上自衛隊のトラック。浦安は「東京都心から一番近い被災地」と呼ばれた。
水と土砂が吹き出し、電柱や家の地盤は傾き、ライフラインは寸断されました。震災直後と比べてだいぶ復旧は進みましたが、それでも舞浜駅周辺の路面工事が行われるなど、浦安市でも震災からの復旧は現在進行形の問題です。
地震、津波、台風、火山の噴火、大雪など、日本はとにかく災害の多い国と言えるでしょう。今回はその中でも、今後発生が心配されている巨大津波が東京ディズニーリゾートを襲ったらというテーマで、記事を書いていこうと思います。
まずは千葉県が発表している津波浸水予想図*1を見てみることにしましょう。これは東京湾の入り口から押し寄せる津波の高さを10メートルと想定して、千葉県沿岸がどれくらい浸水するのかを予測した地図です。
東日本大震災千葉県調査検討専門委員会が発表した「千葉県津波浸水予測図」色分けは津波による浸水の高さを表している。(水色50cm未満・緑色50~80cm・黄色80~200cm・赤色200cm以上)
東京ディズニーリゾート周辺を見てみると、鉄鋼団地や防波堤周辺での浸水はありますが、大きな被害はでないことが分かります。千葉県の予測によると、浦安市には最大2.5メートルの津波が押し寄せるとされていますが*2、地震の揺れによる水門や防波堤の崩壊などは予測には含まれていません。
近い将来発生が予想されている首都直下型地震や南海トラフ巨大地震についても考えてみましょう。
首都直下型地震では、東京湾内で津波が発生しても最大50センチメートル未満とのことです*3。直下型に関しては海溝型とは違って、地面のすぐ下で地震が発生するため、当然と言えば当然でしょう。
一方で、南海トラフ巨大地震の場合は、マグニチュード9.1の想定で最大2.4メートルとされています*4。ただし、これも前述の千葉県による津波浸水予想が2.5メートルとなっていますので、想定の範囲内と言えるでしょう。
浦安市には津波襲来に備えて水門や防波堤が設置されています。海のすぐそばに立っている東京ディズニーリゾートも、高い防波堤によって守られています。パークの外周道路を歩いたり、車で走ったりした経験のある方は、その高さをよく知っていると思います。
舞浜をぐるりと囲んでいる防波堤。地面からの高さは約3メートル、海抜からの高さは約7メートルある。津波だけではなく台風での高潮も想定して作られている。
震災後には一部の防波堤で、海抜約8メートルまでかさ上げ工事も行われた。
現在も堤防のかさ上げ工事は行われている。
浦安市の津波への備えは万全。しかし災害は私たちの想像を超えることがあります。事実、東日本大震災では「千年に一度の災害」が私たちを襲いました。夢と魔法の国にいても、もしものときは冷静に対処したいものです。
最後におまけ。浦安市が出している水害ハザードマップをご紹介しましょう。
東京ディズニーリゾート周辺でも、集中豪雨による浸水が予測されています。さて地図を見て「なんだ。パークは浸水しないじゃないか」と思われた方も多いと思います。しかし、よく見ると赤字でこんな注意書きが書かれています。
※舞浜アーバンリゾートは、私有地等のため水害予測をいたしておりません。
「私有地だから予測していません」なんて言っていたら、行政はどの土地も水害予測ができなくなります。おそらくオリエンタルランドから、イメージ低下を恐れて予測をしないでほしい、ハザードマップに載せないでほしいという要請があったのだと思われます。