舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



元日特集 チケット1万円超え!なのに、どうしてディズニーランドはいつも混んでるの?

新年明けましておめでとうございます。

 

 

2013年にスタートした当ブログも、今年3月で11周年を迎えます。最近は記事を書くペースが落ちてしまっていますが…。これだけ長く続けられているのは、日頃から愛読してくださる皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 

さて、最近SNSを見ていると「ディズニー行ったけど混んでた」「チケット1万円超えてるのに、めっちゃ人気」という、東京ディズニーリゾートの混雑に言及している方が増えているように感じます。

 

昨年(2023年)10月から、東京ディズニーリゾートでは1日券の料金が、大人一人1万円を超える日も出てきています。どうして、これだけ値上げしているにもかかわらず、多くの人で混雑しているのでしょうか。今回はその理由を考えていきたいと思います。

 

目次

 

コロナ禍からの「リベンジ消費」

2020年から始まった新型コロナウイルスの流行は、東京ディズニーリゾートにも大きな影響を与えました。感染者数を抑え込むため、政府や自治体はパークを運営するオリエンタルランドに対して、チケットの販売数や入園者数の制限を要請。テーマパークにとって生命線ともいえる「集客」を絞らなくてはいけない状況が続いたのです。

 

 

オリエンタルランドの2020年度の営業利益は、史上初めて460億円赤字に転落。売上高も前年度と比べて、63%減となる1,706億円にとどまりました。これまで、ディズニーの高いブランド力を背景に、テーマパーク業界で天下を誇っていた東京ディズニーリゾートにとって、コロナ禍はまさに「経営危機」だったと言えるでしょう。

 

しかし、その後の感染防止策やワクチン接種、治療薬の普及などによって、少しずつ感染の波は収まっていきました。2023年5月には、感染症法上の位置づけが「5類」に移行され、パーク内でもコロナ禍前の風景が戻ってきています。

 

コロナ禍で入園制限が行われていたときは、パークチケットはスマートフォンやパソコンでしか買えませんでした。販売数も限られていた中で、公式サイトにはアクセスが集中。その後も、つながりにくい・買いにくい状況は続きました。しかし、現在では一部の混雑日を除いて、スムーズにチケットが買えるようになっています。

 

当時は待合室(バーチャルキュー)などの仕組みがなかったため、アクセスが集中するとエラー画面が頻発した。

 

また、コロナ禍では、日付指定のないチケット(株主優待パスやスポンサーパスなど)を使う場合は、事前に希望日を申し込んで、当選した日だけ入園できる仕組みでした。しかし、これも制限の緩和によって、空きがあれば当日でも日付指定をして入園できるように変わっています。

 

このように、東京ディズニーリゾートではコロナ禍の前のように、自由にパークチケットを購入できるようになっています。そのため、2020年~2022年にかけてのパークと比べると、どうしても「人が多い」「混んでいる」と感じやすいのでしょう。

 

また、コロナ禍では「外出自粛」「人と接触しないように」ということが、盛んに言われていました。このとき「巣ごもり消費」で我慢していた人たちが、リベンジを果たすために、東京ディズニーリゾートを訪れている可能性は高いかもしれません。NHKの報道によると、2023年の夏休みの国内旅行者数は、コロナ禍前の2019年と同水準である、7,250万人と推計されています。

 

www3.nhk.or.jp

 

多くの人がコロナ禍後の旅行先として、東京ディズニーリゾートを選ぶことで、混雑が激しくなっている可能性はあると思います。事実、2020年度は東京ディズニーランド・東京ディズニーシー合わせた入園者数は、756万人だったのに対して、2022年度は2,209万人にまで増加。2023年度は、会社予想で2,630万人の入園が見込まれています。

 

同じような光景は、以前にも…

実はこのように、東京ディズニーリゾートの人気が高まったことは、過去にもありました。それは2011年3月に発生した東日本大震災です。

 

2011年に放送された、東京ディズニーリゾートのテレビCM

 

震災による液状化によって、パークのある千葉県浦安市も大きな被害を受けました。コロナ禍のときと同様に、パークやホテルは臨時休業。その後も「自粛ムード」によって、入園者数が伸び悩む事態に陥ったのです。

 

しかし、震災によって辛い現実に直面した人々にとって、日常を忘れさせてくれる「東京ディズニーリゾート」の存在価値は、大きく高まることとなりました。さらにFacebookやTwitter(現在のX)、Instagramなどに代表されるSNSの普及も、その人気に拍車をかけることとなります。

 

友達に「ディズニー行ったよ」と言って、「そんな子供だましみたいな場所、どこが楽しいの?」と言われたことのある人は、少ないのではないでしょうか。多くの人は「いいなあ」「羨ましい」「私も行きたい」と言われるでしょう。これは、パークに近い首都圏よりも、地方のほうがその傾向が強いと思います。

 

ディズニーの高いブランド力、キャストのホスピタリティ、そして安全・清潔で非日常の空間。東京ディズニーリゾートは、多くの人にとって「行きたい場所」「楽しい場所」と認知されているからこそ、多くの人はSNSでパークでの体験を発信するようになっていったのです。その結果、全員というわけではありませんが、「もっといいねが欲しい」「フォロワー数を増やしたい」といった思いで、パークへ通うようになった方が増えたのも事実です。

 

東日本大震災をきっかけにした東京ディズニーリゾートの人気上昇は、入園者数の数字にも表れています。

 

2001年の東京ディズニーシー開業以降、ランド・シーの2パークを合わせた入園者数は、2,500万人台で頭打ちを続けていました。しかし、開業30周年イベントが行われた2013年度は、史上初めて3,000万人を突破。その後も3,000万人台を維持し続けたのです。

 

 

ただ、この入園者数の増加によって、パーク内の混雑度が激しくなり、ゲストの不満も高まっていきました。外部団体が発表する顧客満足度のランキングでも、東京ディズニーリゾートは順位を大きく落とすなど、その状況は深刻でした。

 

www.nikkei.com

 

入園者数が増えれば、売上高も増え、キャッシュフローが積み上がる。キャッシュフローが増えれば、その資金をパーク内施設の改修・新設(スクラップアンドビルド)に回して、さらなる集客を図る。しかし、パーク内が混雑すれば、満足度は下がり、客足が落ち込むかもしれない。

 

このときの東京ディズニーリゾートは、入園者数と顧客満足度のジレンマに陥っていたと言えるでしょう。しかし、コロナ禍によって、その状況は大きく変わります。これまで追いかけてきた「入園者数」という数値目標よりも、ゲスト一人当たりの消費金額である「客単価」に注目した経営に、大きくシフトチェンジしました。

 

2023年度の客単価は、会社予想で16,623円となっています。コロナ禍前の2019年度は、11,606円でしたので、約1.4倍も増加しているのです。しかも客単価は、コロナ禍の2020年度から2022年度にかけて上昇を続けていますので、今後も入園者数を抑えつつ、売上高を確保するために、客単価を引き上げる取り組みは行われていくでしょう。

 

コロナ禍だけが理由じゃない?

さて、ここまでコロナ禍と東京ディズニーリゾートの関係を見てきました。ただ、舞浜新聞では、最近の混雑はコロナ禍以外の側面もあるのではないか、と考えています。

 

以下が舞浜新聞が考える主な要因です。

 

  • 歴史的な円安で、海外よりも国内で旅行する人が増えた。
  • 婚姻率が低下して、趣味にお金をたくさん使える独身者が増えた。
  • 年金や医療保険などの社会保障費の支払いが増えて、自由に使えるお金が減った。 
    • 観光地を回るよりも、1日遊び放題のテーマパークに人が集中した。
  • 高齢化率が上昇して、3世代みんなが楽しめるテーマパークの人気が高まった。
    • ベビーカーや車いすなどのバリアフリーが徹底されている。
    • 今の40歳以上は、生まれたときから日本にディズニーランドがある世代。
  • 「コスパ」「タイパ」を重視する若年層が増えて、絶対にハズレがないテーマパークに人が集中した。
  • モノよりも「コト」 体験価値を重視する若年層が増えた。
  • 高速道路、鉄道、新幹線、飛行機(LCC等)の整備が進んで、交通アクセスが向上した。
  • ディズニーとユニバ テーマパーク2強時代によって、地方の遊園地の廃業・閉鎖が進んだ。

 

あくまでも推測の域を出ませんが、東京ディズニーリゾートの人気が高まっているのは、「日本人はディズニー好きが多い」という理由だけでは片づけられないと思っています。特に最近は「Z世代」と呼ばれる若年層の、消費行動の変化も注目されています。このあたりについては、今後も機会があればブログで分析していきたいと思います。

 

ゲストの動き方にも変化が?

前段で触れたように、東京ディズニーリゾートの混雑は、様々な要因が絡まっていると考えられます。その中でも、私が注目したいのは、ゲストのパーク内での過ごし方にも、コロナ禍の前後で変化があるのではないか、という点です。

 

コロナ禍以降、パークチケットは事前にウェブなどで購入するのが「当たり前」となっています。以前は入園当日の朝にチケットブースへ行き、当日券を買う…というのが普通でした。コロナ禍で事前購入のみとなったことで、朝の開園待ちに多くのゲストが集中する事態となっています。

 

その状況に拍車をかけているのが、手荷物検査です。2019年11月から、東京ディズニーリゾートではこれまでの目視による検査に加えて、金属探知ゲートとX線検査機を導入しています。これは、翌年に迫った東京オリンピックへの準備という意味合いがありました。しかし、この検査強化によって、以前よりも入園に時間がかかり、朝の混雑がひどくなっている…という問題も起きています。

 

 

ただ、オリエンタルランドもこの問題を無視しているわけではありません。東京ディズニーシーでは2023年6月から、従来の金属探知機とX線検査機の代わりとして、新型の検査ゲートを導入しています。これは、手荷物を開けることなく通り、目視による検査が必要な場合のみキャストが誘導する…という仕組みになっています。

 

同じような検査ゲートは、アメリカのディズニーパークでもすでに導入されています。コストや場所の問題もあるとは思いますが、今後は新型ゲートの導入によって、朝の混雑緩和が図られていくかもしれません。

 

米フロリダのマジック・キングダムに設置されている検査ゲート

 

また、コロナ禍の時と同様に、朝からではなく正午や昼過ぎから入園できる「時間指定チケット」の導入によって、朝にゲストが集中するのを防ぐ対策も考えられます。ただ、こちらについては、料金設定やシステムの改修などが必要になるため、あくまでも参考材料として考えられているかもしれません。

 

ゲストの「流動性」が高まってる?

ここまで、コロナ禍後の変化によって、朝の入園待ちが混雑している理由を考えてきました。ここからは入園者数ではなく、パーク内の混雑度について、もう少し詳しく考えていきたいと思います。

 

先ほども記事で触れたとおり、東京ディズニーリゾートの入園者数は、コロナ禍の2020年度と比べて、大きく回復してきています。ただ、これまでランド・シー合わせて3,000万人台だったことを考えると、以前よりも入園者数が増えたというわけではありません。

 

舞浜新聞では、コロナ禍の前後と比べて、パーク内を動いているゲストの数(流動性)が高まっているのではないか、だから「混んでいる」と感じるのではないか、と考えています。一体どういうことでしょうか。

 

まずはアトラクションで考えてみましょう。コロナ禍以降、パーク内では「ファストパス」が廃止されました。2023年現在は、有料の時間指定サービス「ディズニー・プレミアアクセス」と、時間指定はできない無料の「40周年記念プライオリティパス」の2つが提供されています。

 

www.tokyodisneyresort.jp

www.tokyodisneyresort.jp

 

コロナ禍前であれば、通常の待ち列(スタンバイ)に並ぶゲストと、ファストパスを取って、空いた時間をほかのことに使うゲストに分かれていました。40周年イベントで導入された「プライオリティパス」は、従来のファストパスと似ています。

 

アトラクションに並ぶ必要がなくなったゲストは、ほかのアトラクションやショップ、レストランで時間を過ごすことになりますので、そのぶん混雑は激しくなります。もちろん、アトラクションはプライオリティパスの利用者も加味して運行されますので、待ち時間は長くなってしまいます。

 

次にパレードやショーなどの「エンターテイメント・プログラム」についてです。

 

こちらはコロナ禍前と比べて、プログラムの規模が縮小され、公演回数も減っています。これは、ダンサーやパフォーマーなどの人員が確保できないことに加えて、コスト削減の狙いも考えられます。

 

このエンタメ不足によって、1日1回しか公演されないショーやパレードには、当然多くのゲストが集中します。いわゆる「地蔵」と呼ばれる、長時間の場所取りをするゲストも増えています。また、規模の縮小によって、これまでショーを楽しんでいたゲストは、アトラクションなどのほかの場所に移動します。結果、アトラクションの混雑が激しくなる…という側面もあるでしょう。

 

もちろん、コロナ禍の前からあるショーの抽選制度も、ゲストの流動性を高めています。長時間ショーの入場待ちをするゲストが排除されることで、そのぶん動き回るゲストの数は増えるからです。

 

最後は「レストラン」です。オリエンタルランドは決算説明会などで、コロナ禍によるゲストの変化として「レストランで長時間滞在するゲストが増えた」と明らかにしています。

 

2020年10月からは、東京ディズニーランド内でもアルコール飲料の販売が解禁されました。テーブルサービスのレストランで注文金額が増えれば、当然客単価は上昇しますので、会社の利益につながります。その反面、回転率は落ちてしまいますので、待ち時間が長くなってしまう可能性はあるでしょう。もちろん、人手不足による提供時間の遅延も、レストラン混雑に拍車をかけるでしょう。

 

さらに、2023年11月から始まった「ディズニー・モバイルオーダー」も、ゲストの流動性も高めていくと思われます。これは、公式アプリからレストランの注文ができるというもの。待ち時間を減らせるという利点がある一方で、プライオリティパスと同様に、自由に動ける時間が増え、混雑が激しくなる要因ともなってしまいます。

 

www.tokyodisneyresort.jp

 

ゲストの待ち時間を減らせば、ゲストの流動性が高まる。そうなれば、レストランやショップでお金を使う機会が増えて、客単価は上昇する。しかし、そのぶんだけ混雑度は激しくなる。アトラクションでは、課金すれば待ち時間を減らせるが、課金していない人は、より長時間待たなくてはいけない…。SNSでは「マッチポンプみたいだ」と揶揄する声もありましたが、オリエンタルランドもこのジレンマに悩んでいるのかもしれません。

 

「魔法の泉」は救世主?それとも悪魔?

東京ディズニーシーでは、今年6月6日に新テーマポート「ファンタジースプリングス」がグランドオープンします。コロナ禍や建設費の高騰などで計画は延期されていましたが、2001年のシー開業以来、最大規模の拡張が実現します。

 

www.tokyodisneyresort.jp

 

 

プレビュー体験が付いた宿泊プランの予約が始まるなど、ファンの間では期待の声が高まっています。コロナ禍で傷ついたオリエンタルランドにとっては、救世主になる存在でしょう。その一方で、入園者数のさらなる増加によって、パーク内の混雑がさらに激しくなるのでは?という不安も感じます。

 

すでにその前兆は見えてきています。

 

これまで20年以上にわたって販売されてきた、学生向けの割引チケット「キャンパスデーパスポート」。オリエンタルランドからの正式発表はありませんが、2024年1月~3月の販売は行われない見込みです。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、今年も「ユニ春」と銘打って、学生の集客に力を入れるのとは対照的です。

 

www.tokyodisneyresort.jp

www.usj.co.jp

 

従来1月~3月は、気温が低く入園者数も少なかったことから、閑散期の集客策として、学生向けに割引パスを販売してきた…という歴史があります*1。しかし、2024年は販売を行わないということは、オリエンタルランドがそれだけ集客に自信を持っているからでしょう。

 

コロナ禍で続いた入国制限が緩和され、多くの外国人観光客が東京ディズニーリゾートを訪れています。訪日客は、土日よりも平日に来園することが多く、その傾向はUSJとも似ています。

 

すでに中国本土からの団体観光も解禁されており、少しずつコロナ禍前の水準に戻っていけば、入園者数を上積みできると考えているのでしょう。また、SNSの普及によって「1月から3月は空いている」という情報が広まったことも、混雑の平準化が進み、閑散期の意味合いが薄くなった要因かもしれません。

 

www.nikkei.com

 

ただ、目先の利益ばかりを追いかけていけば、消費者はついてきません。チケット料金に見合った体験価値がなければ、顧客満足度は下がり、客足は遠のきます。海外のディズニーパークと比べて、まだまだ安いと言われる東京ですが、そもそも物価やインフレ率が異なりますので、単純に比較はできません。

 

今年はUSJでも新エリア「ドンキーコング・カントリー」の開業を控えるなど、話題も多くなりそうです。2025年の大阪・関西万博、世界陸上の東京大会、さらには名古屋のレゴランドの拡張計画など、東京ディズニーリゾートを取り巻く環境も大きく変化していきます。舞浜新聞は、これからもその変化を見つめていきたいと思います。

 

 

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*1:年によっては、夏や秋に販売したこともありました。2021年と2022年は、コロナ禍で販売を休止していました。