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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



映画『アナと雪の女王』を見て思うこと

映画レポート

2013年11月にアメリカで公開されたディズニーのアニメーション映画『Frozen』日本では今年3月に、ようやく『アナと雪の女王』という邦題で公開されました。実は日本が世界で最も遅い公開だったのです。それはさておき、観客動員・興行収入も好調で連日スクリーンは多くの人で賑わっています。

 

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©Disney

 

今回は公開から2週間が経ったということもあり、これまで自粛してきた『アナと雪の女王』のレビューをまとめたいと思います。「まだ見てないよ!」「ソフトが出たら買うけど…」という方は、作品を見てから読んでいただきたいと思います。

 

作品のテーマは「姉妹愛」

今回の映画の大きな柱と言えるのが「姉妹愛」でしょう。

 

これまでのディズニーアニメーションの場合、お姫様が主人公ですとほぼ必ず男性とのラブロマンスが描かれてきました。ただし最近ではピクサーの『メリダとおそろしの森(2012年)』のように、プリンセスが主人公であっても「親子愛」をテーマにするなど、柔軟になってきています。

 

「アナと雪の女王」でも、主人公であるアナとエルサ2人の姫のラブロマンスはかなり少なくなっています。その一方で幼少期からの2人の成長を丁寧に描き、2人の葛藤と和解を強く表現しています。最後まで見終わると、この作品が単なるダブルヒロインの作品ではなく、純粋な姉妹愛を描いたものであるということが分かると思います。特に2人の両親が亡くなった後の物語、というのも注目すべき点です。

 

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対照的な姉エルサと妹アナ。実はディズニーのアニメーションにおいて、ダブルヒロインは史上初である。©Disney

 

今回の作品では姉妹愛がテーマになっていますが、それ以外にも兄弟姉妹のいる方には「分かる!」「共感できる!」というポイントがいくつかあったと思います。

 

あくまでもステレオタイプな書き方になってしまうのですが、姉というものは慎重で不器用、両親の前では「いい子」であることが求められるため、ついつい自分自身で抑圧的になってしまいます。そして妹のことが心配でしょうがない。一方の妹は姉の後ろをついていきますので、要領がよく何事もそつなくこなしてしまいます。誰に対しても自分の気持ちを素直に表現できるものです。

 

ちょっと一般的なイメージでくくりすぎましたね。それでも、姉エルサと妹アナのキャラクター像を見ていくと、納得していただけませんか?エルサは妹を傷つけてしまったという幼少期のトラウマを、成長した今でも抱えています。それが物語の引き金になるのですが、これが逆だったらどうでしょうか。果たして妹のアナは、いつまでもトラウマを抱えていたでしょうか。

 

ハンス王子との婚約をすぐに決めてしまうアナも、まさに妹らしい姿と言えるでしょう。これがエルサだったら物語が成立しませんよね。そもそも慎重な姉が一晩で結婚を決めるとは思えません。そうやって考えていくと、この作品では私たちがイメージする姉と妹の関係が描かれていると思います。元気活発なアナ、そして穏やかで冷静なエルサ。2人はまさに夏と冬を表していますね。

 

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出会ってからすぐに恋に落ちるアナとハンス。これは彼女の無鉄砲さを表しているが、これまでのディズニー作品への皮肉も含まれているかもしれない。©Disney

 

そうやって考えていくと、エルサが「Let It Go」を歌うシーンの見方も変わってくると思います。このシーンは王国を飛び出したエルサがありのままの自分自身を受け入れて、氷の城を築き閉じこもってしまうというもの。

 

一見すると自分自身の解放を表しているようにも見えますが、単に強がっているだけとも受け取れます。それが単なる強がりであったことは、物語の後半で明かされていくのですが…。

 



悪役とパートナー役がいない?

極悪非道、悪役らしい悪役がいなかったというのも作品の大きな特徴かもしれません。あくまでも今回の物語の主人公はアナとエルサの2人であり、王国を巻き込んでしまうものの、最後も自分たちで問題を解決する「自己完結型」になっていました。

 

また、物語に登場する男性はあくまでも「主人公のサポート役」であり、必ずしも恋愛対象ではないというのも特徴です。

 

これは新しいプリンセス像を確立したと言ってもいいかもしれません。あくまでも自分たちで地に足を付けて立つ。男に媚びない・頼らない。今どきのプリンセスという感じですね。私はてっきり「アナとクリストフは結ばれるのかな?」とも思っていましたが、このあたりは続編があったら描かれるかもしれません。

 

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無骨だが頼りがいがあるクリストフ。ラプンツェルもそうだったが、最近は「逆玉の輿」が多くないか? ©Disney

 

アナ雪が支持される理由

この作品を最後まで見終わって、これが全世界で大ヒットしている理由が分かった気がしました。

 

それはやはり見た人が共感できるポイントが多いこと、そして物語に共感できるからこそ、物語の中身に引き込まれてしまうのだと思います。アナとエルサは決して遠い存在ではなく、私たちにとって身近なキャラクターになっています。だからこそ「姉妹愛」というメッセージがストレートに伝わってくるのではないでしょうか。

 

もちろん劇中歌、様々なミュージカルナンバーも大きな魅力の一つでしょう。この作品を見ていると、本当にディズニーはミュージカル映画の王道を作ったのだなと思います。アカデミー賞の歌曲賞を受賞した『Let It Go』は多くの人々に親しまれ、歌われ、果ては劇場で歌う人が多いからと歌詞の字幕入り版が公開されるほどです。私もついつい口ずさんでしまいますので、それだけ耳に残る名曲に仕上がっているのだと思います。

 

この動画はアメリカABCの朝の番組「Good Morning America」で放送された『Let It Go』をみんなで歌おうというコーナー。生放送で歌うというのがなんともアメリカらしい。

 

こちらは歌詞つき版の「Let It Go」実際にアメリカの映画館では劇中歌が観客に歌われているという。

 

でも、ラストがちょっと…

ただ作品の中で気になる点はありました。ラストでは「他者を思いやる」という本当の愛に気付いたアナとエルサが分かりあうシーンがあるのですが、これはちょっと消化不良が残る展開でした。本来であれば「王子様がみんな解決!」というのが一番きれいなまとめ方だとは思うのですが、それでは姉妹愛は描けない。

 

スタッフとしてはこれが最良のラストだと考えたと思うのですが、見ていた側としては「もう少しアナが助かるシーンは工夫できなかったのか」「エルサが冬を終わらせる方法に気付くシーンは、もっと工夫できなかったのか」なんて思ってしまいます。エルサが「相手ときちんと向き合う」「過去の自分と向き合う」というのを、もっと丁寧に描いてもよかったような気もします。

 

クリストフとハンス王子の顔が似ていたのも気になりました。これは「塔の上のラプンツェル(2011年)」でもそうだったのですが、もう少しイケメン顔に工夫が欲しかったです。私も最初に見たときは「もしかして同一人物の伏線なのか?」なんて邪推してしまいました。ちなみに作品の中にショートヘアのラプンツェルがいたのに気付いた人はいますか?

 

それにしても、雪だるまのオラフは作品全体のいいアクセントになっていたと思います。このキャラクターがいなければ、全体がもっとしんみりな感じになっていたのではないでしょうか。オラフがいたからこそ、深刻な物語になりすぎず、時々クスッと笑えるシーンがいくつかありました。

 

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北米版の劇場用ポスター。アナやエルサよりもオラフが目立つようになっている。©Disney

 

おわりに 

ストーリーにはほとんど触れない、舞浜新聞らしいレビューになってしまいました。

 

吹き替え版を見た方なら字幕版を、字幕版を見た方は吹き替え版をそれぞれお勧めします。日本語版でも英語版でも作品にまったく違和感はありませんよ。それに、同じ作品で違った楽しみ方ができると思います。

 

私自身、試写会を含めると3回この作品を見ましたが、どれも新鮮な感動がありました。そして「雪だるまつくろう」が流れると涙腺崩壊…。いい作品は何度見ても感動できるから不思議ですね。