4月28日、オリエンタルランドは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの今後の開発構想と大規模開発エリアのテーマ方針を発表しました。
今回はオリエンタルランドのプレスリリースから、舞浜新聞独自の視点で東京ディズニーリゾートの将来像について考えてみたいと思います。
©Disney
ランドは『美女と野獣』『ふしぎの国のアリス』
ランドではファンタジーランドの再開発が行われますが、今回のプレスリリースではエリアの一部が『美女と野獣』『ふしぎの国のアリス』をテーマとすることが明らかになりました。
『美女と野獣』をテーマとしたエリアのコンセプトアートを見る限り、マジックキングダムの新ファンタジーランドに造られた「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」を思わせる施設であることが分かります。
『美女と野獣』をテーマとしたエリア(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)©Disney
マジックキングダムにある「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」©Disney
ただレストランではなく、アトラクションという可能性も捨てきれません。マジックキングダムのファンタジーランドには、「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」のほかに、ベルの家やベルが住む街も再現されています。
ベルの家が再現されている「エンチャンテッド・テール・ウィズ・ベル」については、グリーティングとミニショーがセットになったようなアトラクションですので、東京での導入は難しいのではないか、と舞浜新聞では見ています。
マジックキングダムにある「エンチャンテッド・テール・ウィズ・ベル」映画の世界観そのままで楽しいのだが、回転率の悪さとキャパシティの小ささが大きな課題。©Disney
そうなると、「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」のような飲食施設ではなく、東京オリジナルのアトラクションが造られる可能性も十分あります。ただレストランの客単価引き上げや、ゆっくり落ち着いて食事ができるレストランの導入を考えると、やはり「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」が自然な流れかもしれません。
マジックキングダムで唯一アルコールが提供されている「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」ランドでも酒類が解禁されるのだろうか。©Disney
『ふしぎの国のアリス』をテーマとしたエリアのコンセプトアートを見ると、奥に描かれているのは「クイーン・オブ・ハートのバンケットホール」であると思われます。
(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)©Disney
コンセプトアートをさらに細かく見ていくと、現在のスモールワールドの方向に向かってゲストが並んでいるのが分かります。
(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)©Disney
昨年(2014年)10月にオリエンタルランドから発表されたコンセプトアートを見ると、今のスモールワールドは移転すると思われますので、その跡地も使ってアリスをテーマにしたアトラクションが造られるのでしょう。
ランドの場合はほとんどの施設が屋外にありますので、シーの「マーメイドラグーン」のように、全天候型の屋内施設が造られる可能性はあるでしょう。
大きなメインアトラクションという可能性ももちろんあります。しかし、夏の暑さや冬の寒さでも快適に過ごせるように、小さな子ども向けのアトラクションが集まったエリアになる可能性も考えられるのです。
ちなみに、マジックキングダムのファンタジーランド再開発計画では、当初アリスエリアを建設する計画があったようです。マジックキングダムで使われなかったアイディアを、東京に持ってきた可能性は高いでしょう。
マジックキングダムのファンタジーランド再開発計画のコンセプトアート ©Disney
シーは「北欧」がテーマに
それでは次にシーの新テーマポートについて見ていきましょう。
シーでは現在の「ポートディスカバリー」と「ロストリバーデルタ」の間にある場所に、新しくテーマポートが建設される計画です。
(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)©Disney
新テーマポートの建設場所。既存のアラビアンコーストと同規模になる予定。
今回のプレスリリースでは、その新テーマポートについて、一部のエリアを『アナと雪の女王』をテーマとして、全体テーマを「北欧」とすることが明らかになりました。
舞浜新聞では以前の記事で「シーの新テーマポートは北欧がテーマになるのでは?」と書いていました。『アナと雪の女王』は北米や日本で大ヒットしましたし、ディズニーとしても人気コンテンツをパークに取り入れたいと考えていると思ったからです。
今年(2015年)1月~3月にランドで開催された「アナとエルサのフローズンファンタジー」連日の混雑で入園制限がかけられるほど。©Disney
しかし、正直言って映画公開から2年足らずでの、アナ雪エリア建設には驚かされました。コンセプトアートを見る限り、映画の舞台となったアレンデール王国やノースマウンテンが忠実に再現されています。
映画本編に登場するアレンデール王国 ©Disney
ディズニーのこれまでの作品を見る限り、北欧が舞台になった作品は、ノルウェーをモデルにした『アナと雪の女王』ぐらいしかありません。今回のプレスリリースではあくまでも「一部エリア」という表現にとどまっていますが、実質的にはシーの新テーマポートはアナ雪エリアと言っていいでしょう。
ただスコットランドが舞台になっている『メリダとおそろしの森』のように、ヨーロッパを舞台にした作品の要素を、新テーマポートに取り入れる可能性は残っているでしょう。ただ、厳密に言うと北欧と呼ばれるエリアは限られています。今後の詳細発表を待つしかなさそうです。
駐車場の一部も活用へ
今回のプレスリリースでは、ファンタジーランドの再開発について、現在の駐車場の一部も活用することが明らかになりました。
(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)
衛星写真で見た駐車場部分の拡張エリア。ファンタジー再開発で残ったところは、将来のトゥモローランド拡張用地か?
駐車場については、今後もパーク拡張用地として使われていくでしょう。今年4月からの駐車料金値上げも、車よりも電車やバスなどの公共交通機関を使って欲しい、というオリエンタルランドの意図が透けて見えます。今後は立体駐車場の建設などで、駐車台数の確保を目指していくと思われます。
それ以外にも気になる記述が…
今回発表されたプレスリリースには、気になる記述がいくつかあります。
いずれのエリアも、東京ディズニーリゾートオリジナルのアトラクションやレストランなどを導入し、世界でここだけの魅力あふれる新エリアとして開発する方針です。
「東京ディズニーリゾートオリジナル」という文言が気になります。これまで東京のパークでは、アメリカのパークで導入されたものを、東京のゲストに合うようにアレンジして導入してきました。もちろん、シーのように東京オリジナルのアトラクションもいくつかありますが、その数はあまり多くありません。
連日多くのゲストで賑わっているシーの「トイ・ストーリー・マニア!」これも最初はアメリカのパークに導入された。©Disney
今回のプレスリリースでこのような記述があるということは、マジックキングダムの新ファンタジーランドに建設されたような施設を、そのまま東京に持ってくるわけではないよ、ということでしょうか。
現在米フロリダのエプコットでは、アナ雪をテーマにした新しい施設の建設が進められています。エプコットに導入される施設を、そのまま東京に持ってくるという可能性もありますが、今回のプレスリリースを見る限り、東京ではアナ雪の世界観を忠実に再現すると思われます。こちらについても、東京オリジナルのアトラクションが造られる可能性はあるでしょう。
ディズニーとしても、来年(2016年)開業予定の上海ディズニーランドとの差別化や、第2パーク建設が噂されている香港ディズニーランドとの差別化を図る意味でも、東京にしかない施設を導入したいと考えていると思われます。
建設工事の遅れで開業を延期した上海ディズニーランド。これまでのディズニーパークとはかなり異なるパークになるとみられている。©Disney
オリエンタルランドはプレスリリースの中で、こう書いています。
当社では、これらの方向性をもとに、「ファンタジーランドの再開発」ならびに「新テーマポートの開発」をさらに進め、2015年中にはエリアの詳細をお知らせする予定です。
「2015年中」とはどのタイミングなのか。それが気になりますね。昨年(2014年)は10月30日に新ファンタジーランドと新テーマポートの計画が明らかになっています。順当にいくと、おそらく今年の第2四半期決算発表のタイミングで詳細を出す可能性はあるでしょう。
ただ、今年は11月に「D23 Expo Japan 2015」の開催が予定されています。ディズニーとしては、北米のファンも注目しているこの一大ファンイベントで、東京のパークに関する発表を大々的に行いたいと考えている可能性はあるでしょう。
D23 Expoが前回2013年に開催された10月の3連休ではなく、11月の初めに設定されているのも気になりますね。これについては、現段階ではまったく分かりません。
完成するのはいつなの?
ランドの新ファンタジーランド、シーの新テーマポートともに、導入時期は2017年度以降となっています。シーの15周年イベントが2016年ですから、アニバーサリーイベント後の落ち込みをカバーするためにも、シーの新テーマポートは2017年度中には導入されるでしょう。
(オリエンタルランドのプレスリリースから引用)
ランドの新ファンタジーランドとは違って、シーの新テーマポートは新しい土地に建設されます。パークのキャパシティを下げずに工事ができますので、完成時期としてはこちらが早いでしょう。
また2020年に開催が予定されている東京オリンピックを見据えて、外国人ゲストをより多く集めるためにも、ほかのディズニーパークと差別化ができる「アナ雪エリア」の建設が急務だと思います。
ランドの新ファンタジーランドについては、2018年にランド開園35周年イベントが予定されていますので、それに合わせて一部エリアをオープンさせる計画かもしれません。ランドについては、今あるエリアを閉鎖しながら建設していきますので、一気に造り上げるのは無理でしょう。ランド開園40周年の2023年を見据えた工事になると思います。
おそらく現在の「グランドサーキット・レースウェイ」から手をつけて、美女と野獣エリアの建設とスモールワールドの移転、トゥモローランド・テラス解体とリニューアル、そして旧スモワ解体とアリスエリアの建設という流れになるのではないでしょうか。
舞浜新聞が気になっていること
今回のプレスリリースではランドの新ファンタジーランド、シーの新テーマポートについて発表が行われました。それ以外の情報については、特に明らかにはされませんでした。以下は舞浜新聞が個人的に気になっていることの一覧です。
- ラプンツェルの関連施設はパークに導入しないの?
- ティンカーベルの関連施設はパークに導入しないの?
- スモールワールド移設はどうするの?関連施設も導入するの?
- トゥーンタウンは存続?入り口はどう変えるの?
- トゥモローランド・テラス跡地はどうするの?
- トゥモローランドの拡張はしないの?ファンタジーランドの工事が落ち着いてから?
- バックステージはどうするの?
- ロジスティックセンターとセントラルキッチンは千鳥地区へ移転?
- パーク運営に関係ない部署は新浦安の新ビルに移転?
- 東京ベイNKホールの跡地利用はどうするの?
『塔の上のラプンツェル』については、今年7月にリニューアルされるランドのエレクトリカルパレードに、ラプンツェルをテーマにした新フロートが導入される予定です。昼のパレード「ハピネス・イズ・ヒア」にもラプンツェルは登場しますので、関連施設が造られるとしたら、おそらくシーではなくランドではないかと思っています。
マジックキングダムにある『塔の上のラプンツェル』をテーマにした休憩エリア。これと同様の施設が東京にも造られるのだろうか?©Disney
バックステージの施設については、私がいつもお世話になっている舞浜狂さんが、興味深いツイートをしています。
OLCの新浦安ビルの改修工事が始まってた。パークに隣接してなくてもよい部門は来年2016年の早い時期にも移る感じかな。 pic.twitter.com/DnXSSSISta
— Iwamaru Sakuma (@iwmr) 2015年4月12日
OLCの千鳥流通センターの解体工事が始まっていた。工事が終わるのは2015年8月末と掲示。新ロジスティクスセンター/セントラルキッチンはその後に着工して2017年春夏あたりに稼働できるだろうか。 pic.twitter.com/I7FiRbaIJE
— Iwamaru Sakuma (@iwmr) 2015年4月25日
これを見ると、移転場所については正式発表を待つ状態ということでしょう。あとは移転で空いた土地を使って、バックステージの施設をどう再配置するかでしょうね。
続報に期待!
今回オリエンタルランドから発表されたプレスリリース。4月28日はオリエンタルランドの2014年度通期決算の発表日だったのですが、朝に日経新聞を読んで特ダネ記事がありませんでしたので「今日はサプライズ発表はないな」とのんきに考えていました。まさかこのタイミングで発表されるとは思っておらず、とても驚かされました。
©Disney
とりあえずオリエンタルランドから、さらなる詳細が発表されるのを待ちたいと思います。また新しい情報が入りましたら、記事で解説したいと思います。