舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



東京ディズニーリゾートの特別営業の未来を考える

舞浜新聞では以前このような記事をまとめました。

 

 

記事を要約すると「スペシャルイベントのショーやパレードは夜間特別営業に行うべき。特別営業専用のチケットを販売すればアトラクションを楽しむゲストと、エンタメを楽しむゲストですみ分けができるのではないか」というものです。実際、フロリダのマジックキングダムでは毎年ハロウィーンとクリスマスの時期に、夜間特別営業を行っています。

 

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フロリダのマジックキングダムで行われている「Mickey's Very Merry Christmas Party」スペシャルパレードは豪華でクリスマスの気分をより盛り上げてくれる。©Disney

 

さて、どうして以前の記事を引っ張り出してきたのか。実はオリエンタルランドもエンタメを通常営業と切り離して、専用チケットで販売しようとしているのではないか。そう感じたからです。

 

今回の記事ではオリエンタルランドの最近の動向を振り返って、今後の特別営業や貸し切り営業について考えていきたいと思います。

 

七夕のスペシャルプログラム開催決定!

オリエンタルランドは3月6日に一本のプレスリリースを発表しました。それは6月24日~7月7日に東京ディズニーシーでスペシャルプログラム「七夕ウィッシング2014」を開催するというものです。シーで七夕イベントが行われるのは史上初。私自身、異国情緒漂うシーに七夕は合わないのでは?と思っていたのですが、ここにきてのスペシャルプログラムの開催決定は寝耳に水でした。

 

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七夕ウィッシング2014 ©Disney

 

具体的なプログラムの内容は明らかになっていませんが、ブロードウェイ・ミュージックシアターで七夕をテーマにしたスペシャルショーを行うとのこと。それを通常のパークチケットとは別に、全席指定のチケットを販売するというのです。

 

実は今回の七夕ウィッシング2014のように、通常のパークチケットとは別に、オリエンタルランドがショーのチケットを販売することは初めてではありません。これまでにも行われたことがあるのです。

 

例えば一番有名なのが、年越しをパークで祝うカウントダウンイベントでしょう。東日本大震災以降は「年越し特別営業」となり、スペシャルパレードやショーの開催はなくなりましたが、それでも多くの人で賑わっています。この特別営業の時間帯は、専用のチケットを持ったゲストしか入園することはできません。

 

また東京ディズニーリゾートの公式ファンクラブ「ファンダフル・ディズニー」のメンバー向けに毎年ショーを開催しています。これも事前申込制で通常のパークチケットとは別料金になっています。夫婦やカップルに人気の高い「バレンタイン・ナイト」や、パーク全体を謎解きの舞台にした「謎解きプログラム」も別料金でした。

 

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2人で特別な時間を過ごすことができる「バレンタイン・ナイト」これも前売りの全席指定となっている。©Disney

 

別料金を払わないとショーは見られない?

一方で「入園料を払っているのに、どうしてさらに別料金を払わないといけないの?」「ほかのショーやパレードが通常料金で見られるのにおかしい」と思う人もいるでしょう。このあたりは舞浜新聞としてもちょっと気になっています。

 

舞浜新聞では過去の記事で、オリエンタルランドが近年パレードやショーの製作費を削減していることを報じてきました。これについては、入園者数もうなぎのぼりですし、オリエンタルランドの決算も絶好調ですので、今後も同様の傾向が続くと思われます。

 

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オリエンタルランドの過去10年間のショー製作費を表したグラフ。近年は特に削減傾向なのが分かる。2013年度は未発表のため空欄。

 

では、ショー製作費の削減と別料金のショープログラムの開催がどう関係しているのか。それはゲストからもらったお金を製作費に充てて、オリエンタルランドが負担する製作費を軽くしようとしているのではないかという見方ができるのです。

 

ゲストから別料金を取れば、それだけ製作費に充てることができる金額が増えます。さらに言えば今回の「七夕ウィッシング」が開催されるブロードウェイ・ミュージックシアターには、日本航空がスポンサーとしてついています。通常行われているパレードやショーでも、オフィシャルスポンサーがついている場合は、その企業が相当の運営費・製作費を負担していると言われています。

 

日本航空は「七夕ウィッシング」を自社で提供している旅行プラン(JALパック)に組み込んでいますので、そのぶん製作費の一部を負担していると思われます。

 

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自社で旅行プランを扱っているオリエンタルランドが、JALパック向けにスペシャルプログラムの席を確保したのは異例。おそらく日本航空も製作費の一部を負担しているからだろう。©Disney

 

ショー製作費の削減が始まったのは2006年以降だと言われています。それは先ほどのグラフを見ても明らかです。実はこの頃、2006年と2007年のパークを振り返ってみると、ショーを別料金で開催することが多かったのです。

 

2006年と2007年の年末には、カウントダウンの特別営業で行うスペシャルパレードのプレビューを有料で行いました。これについては「カウントダウンパーティーに参加しなくても見られる」という肯定的な意見があった一方で「今までは年末の通常営業時間にプレビューをやっていたのに追加料金を取るのか」「そもそもプレビューは練習のはず。それをゲストから金を取って見せるのか」といった否定的な意見も目立ちました。

 

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2006年と2007年の年末に開催された「カウントダウン・プレビューナイト」カウントダウンパーティーを行う前に、スペシャルパレードの製作費を回収したかったのかもしれない。©Disney

 

また2006年と2007年にはシーで「クラブナイト"ベイサイド・ビート"」が、2007年にはランドで「スペシャルナイト CLUB DISNEY "スーパーダンシン・マニアRemix」がそれぞれ開催されています。これらのスペシャルイベントも別料金で開催されました。シーのほうはパーク全体を使った華やかなイベントに、ランドのほうはAAAなどが出演して、キャッスルフォアコートステージを使ったショーが行われたのです。

 

パークチケットはショーの料金も込みでは?

舞浜新聞としては記事の冒頭でも触れた通り、通常のパークチケットとは別に料金を取ることに反対ではありません。最近ディズニー★JCBカードの利用者向けに行われた「スペシャル・ナイトat東京ディズニーランド」のように、パークを貸し切って特別な体験をゲストに提供することは、ディズニーパーク全体の価値を上げることにつながると思うからです。

 

この日は雨の日限定のナイトフォール・グロウとドリームライツの2つのパレードが行われた。ゲストからのチケット代金に加えて、JCBも運営費の一部を負担していると思われる。©Disney

 

しかし、安易に「製作費が浮くから」といって別料金のプログラムをあれこれやり始めることには大反対です。

 

そもそもパークチケットにはアトラクションの利用料金以外にも、パレードやショーの鑑賞料金も含まれているはずです。遊び放題の「パスポート」のみ販売されている現状からすれば、パークでの体験すべてに私たちはお金を払っているのです。それをショーだけ「追加料金が必要です」と言われてしまえば「私たちが払ったチケット代だけじゃ不十分なのか?」と思われてしまいます。

 

もちろん追加料金を取って、よりレベルの高いショー、通常の営業では開催が難しいプログラムを行うのはいいでしょう。問題は私たちゲストが「追加料金を払ってでも見たい!」と思えるかどうかです。オリエンタルランドにはかなりレベルの高いものを要求されていると言っていいでしょう。

 

最近オフィシャルスポンサーがパークを貸し切ってイベントを行うことが増えました。特別な出演者を用意して、かなり豪華なプログラムを行ったという話を聞くたびに「どうして今のパークでは、それだけのものを出せないのだろう?」と思ってしまいます。

 

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2013年10月にシーで行われたハウス食品の貸し切り営業。AKB48のメンバーがハロウィーンのスペシャルショーを行ったということで話題になった。©Disney

 

もちろん、スポンサーが運営費や製作費の一部を負担する貸し切り営業と通常営業を比較するのはナンセンスかもしれません。しかし、ディズニーパークには力があると思うのです。スポンサーの力を借りないとできない。ゲストから別料金をもらわないとできない。それは言い訳にすぎないと思います。ぜひパークには素晴らしい「体験」を期待しています。

 

最後におまけ

最後に舞浜新聞恒例のパークへの提言をまとめてみました。あくまでも舞浜新聞の独断と偏見でまとめたものですので、ご容赦ください。

 

スペシャルイベントにスポンサーをつける。Todayに企業のロゴマークを付けたり、ショーやパレードで企業名を出したりすることは難しくないはず。スポンサーとのコラボCMを作るくらいなら、イベントのお金を出してもらったほうがパークの魅力も上がるのでは?

 

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マジックキングダムのハロウィーン貸し切り営業で配られたガイドマップの一部。薬局チェーンのウォルグリーン、飴メーカーのジャストボーン、農産物生産のオーシャンスプレー、菓子メーカーのストーク、そして日本でもおなじみのケロッグのロゴマークが載っている。いずれもスペシャルイベントのスポンサー、パートナーとなっている。

 

ショーベースは冷暖房完備の施設に建て替えるべき。あんな夏暑く・冬寒い半屋外の施設では出演者・ゲスト双方にとって負担になる。さらに雨・風・雪への対策も不十分。全天候型施設になればシーのブロードウェイ・ミュージックシアターのように、天候に左右されないスペシャルプログラムができるはず。

 

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ショーベースがオープンしたのは1988年。もう25年以上が経っている。そろそろ建て直すべきでは?

 

夜間貸し切り営業をもっと行うべき。「ゆっくり遊びたい」「落ち着いて買い物がしたい」というニーズはあるはず。3時間の特別営業を枚数限定で販売すれば、1月~3月の平日でもゲストは集まるはず。もちろん特別なプログラムがあればなおよし。