舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



元日特集 東京ディズニーリゾートの拡張はどこまで続くのか?

新年明けましておめでとうございます。2013年にスタートした当ブログ「舞浜新聞」も、今年3月で6周年を迎えます。これだけ長く続いているのも、日頃から愛読してくださる皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 

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さて、今回は元日特集ということで、オリエンタルランドから発表されている開発計画をまとめるとともに、今後開発が予想されるエリアについて、舞浜新聞独自の視点で考えてみたいと思います。

 

正式発表されている開発計画は何?

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、プレスリリースなどで、以下の開発計画を発表しています*1

 

  • TDL 新メインエントランス(2019年春から順次)
  • TDS 新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」(2019年夏)
  • TDL 新立体駐車場(2019年度)
  • TDL 新ファンタジーランド(2020年春)
  • 「トイ・ストーリー」シリーズがテーマの新ホテル(2021年度)
  • TDS 新テーマポート&パーク直結型ホテル(2022年度)

 

東京ディズニーランドでは、メインエントランス(駐車場側)のリニューアル工事が今年春に終わり、新型ゲートと自動券売機が導入される予定です。春からは舞浜駅側の工事が始まり、2020年春に全面オープンを予定しています。より迅速な入園だけではなく、外国人ゲストが言葉の心配をせずに、チケットを買えるようになりそうです。

 

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工事が進むランドのメインエントランス。フラッパーゲートの導入で、開園時の混雑緩和につながるか。

 

夏には、いよいよ新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が東京ディズニーシーにオープンします。世界中の名所や大自然をめぐるアトラクションで、海外のパークでも高い人気を誇っています。ゲストの乗車交代に時間がかかるなど、回転率の悪さが心配されていますが、人気アトラクションに成長するでしょう。

 

8月には、東京ディズニーランド前で建設が進められている、立体駐車場の工事が終了する予定です。早ければ9月頃から運用が始まると思われます。車で来たゲストは、今よりもエントランスに近い場所へ止められるようになりそうです。

 

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パーク北側で建設が進む立体駐車場。日刊建設工業新聞の報道によると、2019年8月の完成を予定している。

 

さて、ここからは来年(2020年)以降の開発計画についてです。

 

2020年春には、待望の新ファンタジーランドがオープンする予定です。以下はファンタジーランドとトゥモローランド、トゥーンタウンに新しく誕生する施設の一覧です。

 

  • 大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」
  • ショップ「ビレッジショップス」
  • レストラン「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」
  • 屋内シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」
  • アトラクション「ベイマックスのハッピーライド」
  • ポップコーンの専門ショップ「ビッグポップ」
  • キャラクターグリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」

 

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オリエンタルランドがメディアに公開した、新エリアの建築模型*2

 

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旧グランドサーキット・レースウェイ跡地の航空写真。2020年春のオープンに向けて、工事が進む。

 

2018年12月5日には、新ファンタジーランドの目玉アトラクションである「美女と野獣“魔法のものがたり”*3」のメイキング映像が公開されました。

 

 

投資額は約320億円、東京ディズニーリゾートの単体施設としては、過去最高の金額となります。ディズニーがこれまで開発を進めてきた、最新型のオーディオ・アニマトロニクス技術を使っていることに加え、ライドが自由に動くトラックレスの仕組みも採用するとみられています。

 

ショップは「ラ・ベル・リブレリー」「ボンジュールギフト」「リトルタウントレーダー」の3店舗、レストランは、200席規模のカウンターサービスのレストランとして「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」がオープンします。映画「美女と野獣」の世界観を感じられるエリアになりそうです。

 

「ファンタジーランド・フォレストシアター」は、東京ディズニーランドで初めてとなる、1,500名収容の屋内型シアターとなります。「ディズニーのキャラクターたちと一緒に、素晴らしい音楽の世界をめぐる旅」がテーマになった、東京オリジナルのプログラムが上演される予定です。まだ正式発表はされていませんが、トゥモローランドにあるショーベースは閉鎖されるでしょう。

 

トゥモローランドには、映画「ベイマックス」をテーマにした「ベイマックスのハッピーライド」がオープンします。海外のパークでも導入されている、小さな子やシニアゲストも安心して乗れるアトラクションになるでしょう。また、好きな味のポップコーンとバケットを組み合わせて購入できる「ビッグポップ」もオープンする予定です。

 

トゥーンタウンには、ミニーマウスの常設グリーティング施設として、「ミニーのスタイルスタジオ」がオープンします。ファッションデザイナーとして活躍するミニーが、おしゃれなコスチュームをゲストに披露してくれるでしょう。

 

2021年度には、オフィシャルホテルエリアにある、東京ベイNKホール跡地に、映画「トイ・ストーリー」シリーズがテーマの新しいディズニーホテルが開業する予定です。

 

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東京ベイNKホール跡地周辺の衛星写真。すでに建物は解体され、地下の熱処理施設が残っている。

 

地上11階・地下1階建て、客室数は約600室、オフィシャルホテル群の中では、中規模のホテルになります。すべての客室がスタンダードタイプで、レストランも宿泊特化型にするなど、家族連れが泊まりやすい価格帯に設定されると思われます。宴会や挙式を行う計画はありませんので、周辺のオフィシャルホテルとは差別化が図れるでしょう。

 

NKホール跡地は、オリエンタルランドも株主総会の質疑応答で「ホテル用地」と明言するなど、利活用が注目されていました。急増する外国人観光客や、ディズニーホテルに対する高いニーズを考えると、低価格帯のホテルを増やしたい狙いを感じますね。

 

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宿泊特化型のディズニーホテルとして誕生した、セレブレーションホテル。稼働率は好調と言われているが…。

 

2022年度には、東京ディズニーシーに、8つ目となる新しいテーマポートと、パーク直結型の新しいディズニーホテルが開業する予定です。その内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

 

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新テーマポートとホテルの建設予定地。3年後のオープンに向けて、工事が本格化していくだろう。

 

舞浜は開発ラッシュ!オリエンタルランドのねらいは?

舞浜地区を歩いていると、様々なところで大型のクレーンや重機を見かけることが増えてきました。2019年から3年間だけでも、舞浜では一気に開発が進んでいく予定です。

 

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では、どうして今、オリエンタルランドはここまで東京ディズニーリゾートの拡張に力を入れるのでしょうか。舞浜新聞では、以下の3つのねらいがあると見ています。

 

  1. 抜本的な混雑緩和とゲスト満足度の向上
  2. 急増する外国人観光客の獲得
  3. 大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの対抗策

 

東京ディズニーリゾートでは、ランド・シー合わせて、年間3,000万人を超えるゲストが訪れています。ファストパスやショーの抽選制度、レストランの事前予約(プライオリティ・シーティング)の導入などで、ゲストの流動性が高まり、以前よりも混雑を感じやすくなっています。そのため、外部機関が評価している顧客満足度が、年々低下しているという事実もあります。

 

 

オリエンタルランドでは、アトラクションのゲストの流れを工夫したり、レストランメニューを変更したりするなど、ゲストの混雑感を緩和するために、様々な取り組みを実施しています。しかし、抜本的な改善にはつながっていません。

 

そこで、エリア拡張や新しいアトラクションの導入を行うことで、新しい集客の目玉を増やすだけではなく、ゲストを分散させることで、混雑を感じさせないように工夫しようとしているのです。もちろん、体験価値の向上は、パークチケット値上げの理由にもなります。

 

加えて、最近急増している外国人観光客の獲得も、狙っていると思われます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに加えて、2025年には大阪でも万国博覧会の開催が決まりました。オリエンタルランドが海外パークにある施設のコピーではなく「東京オリジナル」にこだわるのも、日本だけではなく、海外のディズニーファンにも、東京のパークへ来てほしいと考えているからでしょう。

 

もちろん、競合施設である、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの対抗策という意味合いもあると思います。USJでは、2020年の東京五輪前に、任天堂マリオエリアのオープンを予定しています。それ以外にも、ユニバーサルに直営化されたことを追い風に、新施設の導入計画も続々と発表しています。

 

 

大阪のUSJと東京ディズニーリゾートでは、顧客の奪い合いにならないという見方もあります。しかし、少子高齢化で国内のテーマパーク市場は、どんどん縮小していくとみられています。より少ないパイの奪い合いになれば、これまで独り勝ちだった東京ディズニーリゾートの地位が、揺らぐ危険性もあります。だからこそ、オリエンタルランドは危機感をもって、開発に踏み切っているのではないでしょうか。

 

今後も舞浜の開発は続く?

周りを工場地帯に囲まれているユニバーサル・スタジオ・ジャパンに対して、東京ディズニーリゾート周辺には、まだまだ開発に使える土地が残っています。今後3年間の開発が一段落すれば、入園者数やゲスト満足度を見極めながら、さらなる開発に踏み切る可能性はあるでしょう。

 

以下は拡張が想定される場所の一覧です。

 

  • TDL アメリカ河~本社バックステージ
  • TDL ショーベース裏~平面駐車場
  • TDS ソアリン周辺~バックステージ
  • TDS ロストリバーデルタ南側~リゾートパーキング

 

ウエスタンランドにあるアメリカ河では、蒸気船マークトウェイン号が優雅に運行しています。ここは、オリエンタルランドの本社などのバックステージと隣接しています。

 

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ここを一部縮小して、バックステージ施設を再配置すれば、ウエスタンランドやクリッターカントリーの拡張が可能になるでしょう。もちろん、アメリカ・カリフォルニアのディズニーランドのように、スター・ウォーズをテーマにしたエリアの建設も可能になります。

 

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新エリア「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」の建設が進む、アメリカ・カリフォルニアのディズニーランド
 

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同じく、ランドではファンタジーランドの拡張で縮小された、トゥモローランドの再開発が課題になると思われます。ショーベースや抽選所、バックステージの従業員食堂などを解体すれば、平面駐車場と合わせて、トゥモローの拡張が可能になります。もちろん、老朽化が進むスペースマウンテンの移転・再整備も可能になるでしょう。

 

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拡張工事で縮小されるトゥモローランド。ショーベースの閉鎖で、大規模開発につながるか。

 

一方のディズニーシーでは、今年夏オープンする「ソアリン」周辺のバックステージ施設を再整備して、新エリアを建設することも考えられます。

 

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2つのシアター建設が進む「ソアリン」周辺のバックステージ施設を含んだ、新エリア開発につながるか。

 

また、2015年4月に一旦は発表されながら、立ち消えとなってしまった、ロストリバーデルタ南側の拡張用地の活用も気になります。

 

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オリエンタルランドから発表された、ロストリバーデルタ南側の「北欧」をテーマにしたエリアのコンセプトアート。2016年4月に計画は白紙撤回。 

 

また、あくまでも推測の域を出ませんが、リゾートラインの軌道を移設することで、リゾートパーキング第3とシーの拡張用地を合わせて開発することも可能になります。ただ、モノレールの軌道移設は、時間や費用もかかりますので、どこまで実現できるかは微妙なところでしょう。

 

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シー開園当時から残る、ロストリバーデルタ南側の拡張用地。リゾートラインの軌道移設で、パーキングとの一体開発も可能になるが…。

 

35周年イベントも終盤へ、変わりゆく舞浜

東京ディズニーランドでは、1月11日から3月25日まで「35周年“Happiest Celebration! ”グランドフィナーレ」が行われる予定です。

 

 

地方からの集客が期待できる周年イベントも、いよいよ終盤を迎えます。大型投資を続ける舞浜にとっては、より潤沢なキャッシュフローが必要です。もちろん、投資家に対しても、長期の設備投資に耐えられる、優秀な決算を示さなければいけません。

 

どれだけ入園者数と売り上げを積み上げられるのか。オリエンタルランドにとっては、まさに勝負といえる3か月間になるでしょう。

 

加えて、今年10月に予定されている消費税率の引き上げに、集客が落ち込みがちな周年明けが重なるなど、今後3年間も重要な時期といえるでしょう。香港や上海のディズニーランド、さらには北京で建設が進むユニバーサル・スタジオの動向も気になります。

 

私たちゲストにとって、夢と魔法のある体験ができることを望みたいですね。2019年も、舞浜新聞は変わりゆく舞浜を見つめていきます。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。

 

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合わせて読みたい

 

参考資料

*1:新しく公演が始まるエンターテイメント・プログラムは除いています。

*2:「ディズニーファン」2016年9月号より引用。

*3:東京ディズニーランドで、施設名にカタカナが入ってないアトラクションとしては、「白雪姫と七人のこびと」に次いで2か所目となります。