舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



ディズニーホテルは、どうして宿泊料金を「先払い」に変えるの?

東京ディズニーリゾートには、ディズニーホテルが4つあります。このうち、ディズニーアンバサダーホテル、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、東京ディズニーランドホテルでは、来年(2018年)2月1日から、チェックインのときに、宿泊料金を支払うようになります。

 

これまでは、チェックアウト、つまり部屋を出るときに宿泊料金を精算していました。では、どうして「先払い」に変えるのでしょうか。今回はその理由について、少し考えてみたいと思います。

 

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©Disney

 

先払い=安いホテル?

東横インやアパホテルといった、安いビジネスホテルの場合、宿泊料金はチェックインのときに支払います。最近では、ウェブで予約したほうが安くなるため、現金ではなくクレジットカードで事前に払う、という方も多くなっています。

 

その一方で、少し料金の高いシティホテルやリゾートホテルの場合は、チェックアウトのときに料金を精算する仕組みになっています。どうしてホテルによって、精算するタイミングが違うのでしょうか。

 

シティホテルやリゾートホテルの場合は、レストランやショップなどを利用するとき、支払いを「部屋付け」にすることができます。これは飲み屋のツケと一緒で、チェックアウトのときの後払いにできる、というものです。

 

宿泊客は手ぶらでレストランなどを利用できますので、とても便利ですよね。ホテルとしても、財布がないために、ついつい利用金額が増えてしまう客を期待しています。

 

また、部屋にあるミニバー(備え付けの飲み物)の代金も、泊まった後に精算しなくてはいけません。そのため、シティホテルなどでは、チェックアウトのときに、宿泊料金やサービス料金を支払う仕組みになっているのです。

 

一方のビジネスホテルでは、そのような部屋付けやミニバーはありません。また、料金を踏み倒す客が出るのを防いだり、チェックアウトを鍵の返却だけにして、できるだけ時間を短くしたりする狙いがあります。ビジネスマンの場合は、朝のほうが忙しいですからね。

 

ディズニーホテルは、どうして先払いにするの?

では、ディズニーホテルはどうして、これまでの後払いから「先払い」に変更するのでしょうか。舞浜新聞では、以下の3つの理由があると考えています。

 

  1. チェックアウトの時間を短縮するため
  2. 部屋付けやミニバーの利用客が減少しているため
  3. 宿泊料金を踏み倒す客を防ぐため

 

ディズニーホテルの場合は、朝の早い時間帯からパークに出かける方が多いため、フロントがチェックアウトの客で混雑してしまうことがあります。これでは「早く行きたいのに!」と客の不満が高まってしまいますよね。

 

フロントの人員を増やす方法もありますが、人件費が増えてしまうために、そう簡単にはできません。それなら、先払いに変えてしまえば、チェックアウトでは鍵と未精算がないかの確認だけで済みます。短い時間で、より多くの客を処理できますので、効率が上がるのです。

 

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©Disney

 

先ほども触れた「部屋付け」や「ミニバー」の利用が減っているのも、一つの理由ではないかと思います。ディズニーホテルでは最近、一定本数のミネラルウォーターが、無料で飲むことができるようになっています。利用が減っているのであれば、それらサービスを利用した客には、後から精算してもらう方が楽ですよね。

 

宿泊料金の踏み倒しというのは、かなり数は少ないものの、いるのではないかと思います。アメリカなどの場合は、身分証明と踏み倒しの防止のため、ほとんどのホテルでチェックイン時にクレジットカードの提示を求められます。

 

 

これは、事前に旅行サイトなどで宿泊料金を支払っている場合も、同様です。もし部屋を傷つけてしまった場合などは、クレジットカードから自動的に決済される仕組みになっているのです*1

 

チェックインのときに払ってもらえれば、そのまま逃げて踏み倒された…という心配はなくなります。ただ、将来的には日本でも、クレジットカードの提示が必要になるのかもしれません。

 

ちなみに、かなりレアケースだと思いますが、チェックアウトをしないまま帰ってしまう客がいる可能性もあります。ディズニーホテルの場合は、ルームキーを記念に持ち帰ることができるため、フロントに返却する必要がありません。そのため、うっかり忘れてしまった…という客もいるかもしれませんね。

 

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ディズニーホテルのルームキー。デザインが変わっていくため、思い出にも残る。©Disney 

 

なお、ディズニーアンバサダーホテルでは、来年(2018年)4月1日宿泊分から、仕様変更に伴い、ルームキーを持ち帰ることはできなくなります。おそらく、キーの発行コストの削減だと思われますが、チェックアウト忘れの防止という意味もあるのかもしれません。

 

「現地払い」の客は多いのかも…?

東京ディズニーリゾートでは、ホテルの宿泊に様々な特典がついた「バケーション・パッケージ」を販売しています。これは事前にカードやコンビニなどで、全額を支払う必要があります。バケーション・パッケージを利用する客は、今回の先払いへの変更はあまり関係ありません。

 

 

また、大手旅行代理店や予約サイトの多くは、事前に宿泊料金を決済しなければ、予約できないようになっています。この場合、事前に料金を支払っていますので、バケーション・パッケージの利用と同じように、今回の変更はあまり関係ありません。

 

しかし、東京ディズニーリゾートの公式予約サイトや、一部の旅行予約サイトなどでは、事前に「予約金」「前受金」を預かり、残金はホテルで支払う仕組みになっています。この場合、これまでとは違って、チェックインのときの支払いに変わります。

 

日本の場合は「現金決済」が主流で、欧米と比べてクレジットカードはあまり普及していません。そのため、安定した収入があるのに、クレジットカードを持っていない人も多いです。今後も現地で現金で支払う、という人は残るでしょう。

 

エクスプレス・チェックアウトの仕組みが変わる?

ディズニーホテルでは、チェックイン時にクレジットカードを提示すると、チェックアウトはフロントに寄らずに、そのまま部屋から出かけられる「エクスプレス・チェックアウト」というサービスがあります。

 

私もディズニーホテルに泊まったときは、このエクスプレス・チェックアウトを利用して、レストランやショップの部屋付けした分を、カードで支払っていました。チェックアウトのときも、いちいちフロントに寄らなくていいため、時間の節約になっていました。

 

しかし、このサービス、来年(2018年)2月1日から、クレジットカードの提示はいらなくなり、客室のテレビで手続きをする仕組みに変わるのです。そのため、部屋付けした分の料金は、フロントで精算しなくてはいけなくなります。

 

ディズニーホテルでは、今回のサービス内容変更について、公式ウェブサイトで以下のように説明しています。

 

※「エクスプレス・チェックアウト」のサービス内容変更は、2016年12月9日(金)に公布された割賦販売法の改正に伴う対応となります。

 

調べてみたところ、クレジットに関する法律(割賦販売法)が改正され、お店ではカード番号が外部に漏えいしないための仕組みや、不正使用による被害防止のための対策が義務付けられたのです。

 

割賦販売法が改正されました | 消費者向けの啓発物 | 消費者のみなさまへ | 一般社団法人日本クレジット協会

 

最近ではサイバー攻撃によって、外部からカード番号を盗み取られる事例も多発しています。また、スキミングなどによって、不正に偽造されたカードによる被害も増えています。ディズニーホテルとしては、こういったリスクを防ぐために、客からカード番号を預からないようにするのでしょう。

 

おわりに

3つのディズニーホテルの宿泊料金が先払いに変わるのは、2018年2月1日からです。

 

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©Disney

 

なお、新浦安エリアにある東京ディズニーセレブレーションホテルでは、オープン時から、宿泊料金はチェックインのときに精算する仕組みになっています。ビジネスホテルなどのように、ロビーにルームキーを返却するボックスがあり、チェックアウトにフロントへ寄る必要はありません。

 

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(東京ディズニーセレブレーションホテルの公式ウェブサイトから引用)

 

もしかすると、将来的には、ほかの3つのホテルでも、同様の形になるのかも…。それはそれで少し寂しいですが、今後もサービスの向上に努めてもらいたいものですね。

 

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©Disney

 

参考資料

 

合わせて読みたい

*1:欧米ではホテルの部屋は「禁煙」になっている場合がほとんどです。もしタバコを吸った場合は、クリーニング代金をカードに請求されるのです。