2017年3月23日、舞浜新聞は創刊から4周年を迎えました。これもひとえに、日頃から愛読してくださる、読者の皆様のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
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さて本日、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタで「ダッフィー&フレンズ・ハッピーファンイベント」が行われました。これは、Twitterキャンペーンに当選したゲストが招待されるという、とても貴重なファンイベントでした。
今回、このファンイベントで発表されたのが、ダッフィーの新しいお友達である「ステラ・ルー」です。今回は新しいキャラクターである「ステラ・ルー」について、少しひも解いていきたいと思います。
どんなキャラクターなの?
ステラ・ルーは、うさぎの女の子です。東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトには、以下のような紹介文が書かれています。
愛らしい耳と星のように輝く瞳をもったラベンダー色のうさぎの女の子。ダンサーになりたくて、毎日毎日踊ります。夢見ることはすてきだね。ダッフィーも応援。ふたりは仲良しになりました。
ダッフィー(左)とステラ・ルー(右)©Disney
ステラ・ルーのぬいぐるみ(3月30日発売予定) ©Disney
どうして、このタイミングで?
最初に、今回のファンイベントの開催の話を聞いたときには「ジェラトーニのグリーティングでもやるのかな?」という、軽い考えしかありませんでした。
まさか、15周年イベントが終わったばかりのタイミングで、ダッフィーの新しいお友達を導入するとは、思ってもみなかったのです。
香港ディズニーランドでは、常設のグリーティングが行われているジェラトーニ。若い女性を中心に、根強い人気を誇る。©Disney
ダッフィーの誕生は、今から12年前の2005年のことでした。もともとダッフィーは「ディズニーベア」として、アメリカのパークの片隅で売られていた、テディベアのキャラクターでした。
オリエンタルランドは、このディズニーベアに注目し、ディズニー社と共同で「ダッフィー」を作り上げたのです。
ダッフルバックに入っているから「ダッフィー」今では東京ディズニーシーを代表する、大人気キャラクターに成長した。©Disney
導入当初はグッズの売れ行きはいいものの、グリーティングをやっても集まるゲストはまばら…。認知度は低く、決して人気キャラクターとは言えませんでした。
潮目が変わったのが、2008年のランド開園25周年イベントでした。このときから、ランドの周年イベントを、シーも一緒に祝う形式へと変わったのです。このイベントをきっかけに、ダッフィーをパーク内で持ち歩くゲストが増え、少しずつ認知度が高まっていきました。また、周年イベントに訪れた地方ゲストにも広がったことで、人気が全国区になりました。
2010年3月から始まったショー「マイ・フレンド・ダッフィー」連日、多くのゲストで賑わっている。©Disney
あとは、皆さんがご存知の通りです。その後、2010年1月には、新しいお友達として「シェリーメイ」が仲間入りし、2014年7月には旅先で出会った「ジェラトーニ」も仲間に加わりました。
ジェラトーニの導入当初、パラッツォ・カナルに登場した壁画。当初は「エリアの世界観が壊れる」という批判の声もあったが、キャラクターの知名度を広げるのに成功した。©Disney
シェリーメイ、ジェラトーニいずれも、ダッフィーと並ぶ人気キャラクターに成長しています。しかし、ジェラトーニの導入から、わずか3年足らずで新キャラクターを導入することは、正直驚きでした。
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オリエンタルランドとしては、15周年イベントが終わり、地方客が減ってしまうパークのテコ入れとして、ステラ・ルーの導入を決めたのだと思います。
周年イベントの場合、地方でもプロモーション活動が盛んに行われ、ディズニーホテルを中心に、多くの地方客で賑わいます。地方から家族で舞浜を訪れる場合は、海外へ行くのと変わらないくらい、大きな金額が動きます。
頻繁には行けないからこそ「○周年だから、久しぶりに行ってみようか」という、来園動機につながるのです。
2017年度の東京ディズニーリゾートのスケジュールを見ていると、ランドが夏の「ドリームライツ」リニューアル以外に、大きな集客の目玉がないのに対して、シーは以下のようになっています。
- 5月 「ニモ&フレンズ・シーライダー」オープン、「タートル・トーク」リニューアル
- 7月・8月 ディズニー・パイレーツ・サマー
- 7月 「ドックサイドステージ」新規ショー(~2018年3月19日)
- 1月~3月 ピクサーイベント
詳しいスケジュールについては、こちらをどうぞ。
夏の海賊イベントは、7月に公開される映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの最新作に合わせた動きになります。ピクサーイベントは、シーでは史上初めてとなります。それだけ、オリエンタルランドが、周年イベント明けの落ち込みをカバーするために、シーへの集客に力を入れていることが分かります。
もちろん、4月から始まるイースターイベントに向けて、新しいうさぎのキャラクターを導入しようと考えた可能性もあります。また、2017年度から本格化する、ランドの再開発工事を見据えて、できるだけ入園者数を落とさずに、シーへゲストを誘導したいという考えもあるのかもしれません。
「スタージェット」乗り場から、1月11日にクローズした「グランドサーキット・レースウェイ」を望む。2020年春には、ここに『美女と野獣』エリアがオープンする予定だ。©Disney
ダッフィーフレンズは、金のなる木?
ステラ・ルーのグッズを含めて、ダッフィー関連商品は、基本的に東京ディズニーシーのパーク内でしか購入することができません。
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最近のパークの様子を見ていると、イベントごとに多種多様なグッズが並んでいます。パーク内でしか買えないという希少性もあって、どの商品も飛ぶように売れています。イベント開始直後には、ショップで入店制限が行われたり、点数制限やパークチケットの認証が行われたりするくらいです。
オリエンタルランドとしては、ダッフィー関連グッズの売れ行きを、さらに伸ばしていきたい、客単価を引き上げたいと考えているのでしょう。ステラ・ルーの導入によって、商品ラインナップを増やせるだけではなく、新しいキャラクターファンも開拓できるからです。
ただ、気がかりなこともあります。それは「転売屋」の存在です。
パーク内でしか買えないという希少性から、一部の悪意あるゲストが商品を大量に購入して、ネットを通じて高値で転売しているのです。
最近では、ライブやコンサートなどの「プラチナチケット」の転売も問題になっていますが、売れ行きの数字にばかり目がいってしまい、転売対策が不十分になっている気がするのです。
オリエンタルランドとしては、一般のゲストに売るのも、転売屋に売るのも、たくさん売れればどちらでもいいと考えているのかもしれません。しかし、本来別のことに使えるはずだったお金が、転売屋の財布に入るのは、やはり問題だと思うのです。
入店制限や個数制限、パスポートによる認証に加えて、明らかに転売行為を行っている業者・人間の告発を、積極的にやっていくべきではないでしょうか。
今後考えられる動きは?
さて、新しくダッフィーフレンズの仲間入りをしたステラ・ルー。当面はグッズや、レストランメニューの販売がメインになると思います。かつてのシェリーメイやジェラトーニと同じように、まずはゲストに名前を覚えてもらうところから始まるでしょう。
では、オリエンタルランドは、これからどういう動きをしていくのでしょうか。考えられるのは以下の2つです。
- グリーティングの実施
- ショーへの出演
まずはグリーティングについてです。ダッフィーは常設のグリーティング施設がありますし、シェリーメイもウォーターフロントパークでのグリーティングが行われています。
ジェラトーニは現在、常設グリーティング、フリーグリーティングともに行われていません。これは、ジェラトーニがやって来たパラッツォ・カナルで、グリーティングをするのが難しいからでしょう。
これはステラ・ルーについても言えます。当面は4月から行われる「グリーティング・ドライブ」が、グリーティングの代わりになると思いますが、今後についてはまだ不透明だと思います。
4月4日から始まる「グリーティング・ドライブ」まずはゲストに、顔と名前を覚えてもらうための取り組みだろう。©Disney
もう一つは、ショーの出演についてです。ジェラトーニは、2016年の閑散期に行われた「カムジョイン・ユア・フレンズ」がショー初出演となり、その後「マイ・フレンド・ダッフィー」にも出演しています。
ジェラトーニのショー初出演となった「カムジョイン・ユア・フレンズ」©Disney
おそらく、ステラ・ルーに関しても、期間限定イベントのショーに出演した後で、「マイ・フレンド・ダッフィー」のシーンのリニューアルに合わせて、登場するという流れが一番自然だと思います。
マイ・フレンド・ダッフィーについては、スポンサーとしてコカ・コーラが付いていますので、売り上げ向上やブランド価値向上を考えても、可能性は高いでしょう。
もちろん、今年夏にドックサイド・ステージで始まる、新しいグリーティングショーに登場して、集客の目玉にするという考え方もできます。ただ、これについては、推測の域を出ません。
惜しまれつつ、3月17日に終演した「テーブル・イズ・ウェイティング」後継ショーの詳細は、まだ発表されていない。©Disney
「ステラ・ルー」は周年明けのシーを救うのか?
今回新しく、ダッフィーフレンズの仲間入りを果たした「ステラ・ルー」。
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ジェラトーニが初めてお披露目されたのも、Twitterキャンペーンで集められたゲスト向けのファンイベントでした。
オリエンタルランドとしては、テレビや雑誌といったマスメディアだけではなく、TwitterやインスタグラムなどのSNSで、新しいキャラクターの認知度を高めてほしい、と考えているのでしょう。もちろん、そこにはジェラトーニのときの成功体験もあると思います。
オリエンタルランドは、今後さらに活発化するパークの開発に向けて、キャッシュフロー(手元に残る現金)が必要になります。
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果たしてステラ・ルーは、周年イベント明けで、客足が落ち込む東京ディズニーシーを救うことができるのでしょうか。まずはお手並み拝見ということで、新しいお友達を見守りたいと思います。
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