舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



「ディズニー・ファストパス」の問題点を考える

さて、先日の記事では「ディズニー・ファストパスを使いこなそう!」と題して、初めてパークへ行く方からハードリピーターの方まで、分かりやすくファストパスについて徹底解説しました。

 

 

今回は舞浜新聞らしく、ディズニー・ファストパスが抱える問題点や課題について、少し考えてみたいと思います。

 

システムはすでに崩壊している?

「東京ではファストパスの仕組みは崩壊している」海外のディズニーパークへ行ったことがある人は、ときどきそんなことを口にします。これはどういう意味でしょうか。

 

本来のファストパスは「優先入場券」つまり、待ち時間をほかのことに使ってもらうために導入されました。つまり、1時間以上アトラクションで待つのはもったいないから、ファストパスを渡すので後で戻ってきてね、という意味なのです。

 

しかし、東京の場合、人気アトラクションのファストパスは開園と同時に争奪戦になります。かなりの人気アトラクションになると、開園から数十分で発券終了ということも決して珍しくはありません。つまり、ファストパスが優先入場券ではなく、単なる整理券になってしまっているのです。

 

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©Disney

 

早いもの順のファストパス。これでは本来のファストパスの趣旨から外れています。しかし、多くの入園者数を誇る東京の場合、これは仕方がない問題なのかもしれません。スタンバイのことを考えれば、現状よりも多くファストパスを発行することは難しいでしょう。私もこの問題を解決する方法が思いつきません。

 

対象施設を広げるべきでは?

東京の場合、ファストパスの対象施設はアトラクションのみになっています。しかし、海外のパークを見ると、実はショーやグリーティング施設にまで対象が広がっているのです。

 

例えばディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーで行われているウォーターショー「ワールド・オブ・カラー」は、事前にどのエリアで見ることができるというファストパスを発券しています。そのため、長時間ショーの場所取りをする必要がありません。

 

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「ファストパス発券所はこちら」事前にエリアが決められるので、長時間の場所取りが不要になる。©Disney

 

マジックキングダムにあるグリーティング施設「タウン・スクエア・シアター」では、ミッキーやプリンセスと一緒に写真を撮ることができるのですが、ここは世界で唯一、グリーティング施設にファストパスが導入されています。

 

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タウン・スクエア・シアターのファストパス発券所。ミッキーとプリンセスで発券機が分かれている。©Disney

 

東京の場合、ショーの座席を抽選するくらいですから、ファストパスを導入すると「せっかく取ったのに使わない」という人が多くなる可能性はあります。また、開園してすぐにファストパスを取りに行かないと、ショーが見られなくなるという問題も起きるでしょう。今以上にファストパスの争奪戦になるかもしれません。

 

しかし、抽選に外れてしまえば見られないショーと、並べば入れるアトラクションで差が出ているのは事実です。このあたりはなんとか改善してほしいですね。

 

有料化はあるのか?

ディズニー・ファストパスは無料で発券することができます。これはほかのディズニーパークも同様です。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも、アトラクションの優先乗車券である「エクスプレス・パス」というのがあります。しかし、ユニバーサル・スタジオの場合は有料で販売されているのです。

 

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有料で販売されている「エクスプレス・パス」事前にウェブでも購入できるが、当日パーク内でも販売されている。

 

ファストパスの対象アトラクションの数は多く、それも人気があるものばかりです。混雑する日はすべてのアトラクションでファストパスが発券されるため、発券コストだけでも、かなりのものになると考えられます。

 

最近ではオリエンタルランドが企画する旅行プラン「バケーション・パッケージ」やガイドツアーのように、プランの中にファストパスが含まれていることが多くなってきました。これは実質的には「ファストパスの有料化」と言えるでしょう。

 

今後ファストパスに対する需要はますます大きくなってくると思います。しかし、一人で使わないファストパスまで発行したり、せっかく発行したファストパスを時間が合わないからと言って無駄にしたりするのは、その分だけもらえないゲストが増えます。

 

もしそういったことが多くなれば、ファストパスの有料化も検討されるかもしれません。すべては私たちの良心にかかっています。

 

マジックバンドの東京導入はあるのか?

アメリカ・オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールドでは「マジックバンド」が導入されています。これは、ホテルのルームキーやテーマパークのチケットといった情報が組み込まれたリストバンドなのですが、事前にファストパスの予約をすることができるのです。

 

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現在はまだテスト運用中だが、リゾート内のほとんどのホテルでマジックバンドが導入されている。©Disney

 

ゲストは事前に行きたいアトラクションのファストパスをウェブで取ることができます。かなり便利なサービスと言えるでしょう。実は過去にも2005年の愛知万博で、同様のサービスが実施されたことがあります。しかし、このときは数が限られていたこともあって、システムが混みあうほどの争奪戦になりました。

 

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愛知万博ではパビリオンの事前予約が可能だった。希望者は入場券に付いているICタグの12けたの番号を使って申し込んだ。

 

東京の場合、オーランドと違って短期滞在者が多いのが特徴です。年間パスポートの発行枚数も多いため、事前ファストパスの導入は難しいでしょう。これまで通り、バケーション・パッケージ向けのファストパスで代用されるでしょう。

 

優先入場整理券の転売は禁止すべきでは?

アトラクションを待っているときや乗っているときに、アトラクションが緊急停止することがあります。落とし物や車いすのゲストを乗せるためであればすぐに再開するのですが、不具合が起きた場合はすぐに復旧できないため、一度ゲストをアトラクションの外に出す必要があります。

 

このときに「お詫び」として配られるのが「優先入場整理券」です。これは有効期限もなく、ファストパスが使えないアトラクションでも優先して入場することができるという「魔法のチケット」なのです。ただし、券によっては除外されているアトラクションもあります。

 

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過去に何度がデザインが変わっている「優先入場整理券」ディズニーファンにとっては魔法のチケットといえる。©Disney

 

実はネットオークションで「優先入場整理券」と検索すると、かなりの数のチケットが出品されているのが分かります。しかも、魔法のチケットということもあって、かなりの高額で取引されているのです。

 

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プライバシー保護のため、出品者名は伏せてある。現在の価格を見ると、かなり高額で取引されているのが分かる。

 

これはかなり問題ではないでしょうか。お金がある人は券をたくさん買って、時間をより有効に使うことができます。しかし、これではかなり不公平でしょう。2011年12月には偽造券を販売したとして、逮捕者も出ています。オリエンタルランドには、優先入場整理券の転売禁止、ネットオークションで購入した券の使用禁止*1、発行日のみ有効なシステム改善などを強く望みます。

 

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©Disney

 

以上、東京ディズニーリゾートにおける、ファストパスの問題点や課題について考えてみました。私が今、一番気がかりなのが「優先入場整理券」の問題です。これは放っておくと、大変な問題になると思います。オリエンタルランドには早急な対応を強く望みます。

*1:バーコードをあらかじめ付けておき、オークションに出品された券の番号をシステムに登録しておけば、使うときに不正に手に入れた券かどうかはすぐに分かります。ただし、これには設備投資が必要になるでしょう。