舞浜新聞

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TDR年間パスポート 突然の料金改定・制度変更のねらいとは?

2月15日、オリエンタルランドは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの年間パスポートについて、2018年3月1日から、販売価格と利用条件を変更することを発表しました。

 

 

実施日まで、わずか2週間前にせまった突然の告知には、多くのファンから疑問の声があがっています。今回は料金改定と制度変更の内容、さらにはオリエンタルランドの思惑について、考えていきたいと思います。

 

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©Disney

 

どんなふうに変わるの?

3月1日から販売される年間パスポートは、以下の料金に変更されます。

 

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今回の料金改定によって、ランド・シーの2パーク共通パスで4,000円、1パーク単独パスで2,000円の値下げとなります。これだけを聞くと「値下げならいいのでは?」と考える方も多いと思います。実は、多くの疑問の声があがったのは、新しく「年間パスポート使用不可日」が導入されることも発表されたからなのです。

 

これまで、12月31日から1月1日にかけて行われる、年越し営業の時間帯は、年間パスポートでも入園することはできませんでした。また、企業・団体による貸切営業のときも同様でした。

 

ランドは1988年4月から、シーは2003年7月から、1年間有効な「年間パスポート」が販売されています。通常営業の時間帯で、年間パスポートが使えない日が導入されるのは、史上初めてのことです。

 

以下は、今回のプレスリリースで発表された、年間パスポート使用不可日の一覧です。

 

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2018年を見ると、8月はお盆、10月は体育の日の3連休、11月は勤労感謝の日が指定されています。4月から始まる35周年イベント期間中で、混雑が予想される日が指定されているのでしょう。

 

少し引っかかるのは、12月は第1週の土日と、大晦日前の29日・30日が指定されていることです。12月7日(金)には、毎年恒例のJCBによる、パーク貸切営業が予定されています。ホテル宿泊もキャンペーン商品として提供されていますので、それに備えた指定なのかもしれません。

 

大晦日前の29日・30日は、冬休みや年末年始の休みで、多くのゲストで賑わう時期でもあります。バケーション・パッケージなどで、周辺ホテルに宿泊するゲストに向けた指定だと考えられるでしょう。また、パーク内のダンサーやパフォーマーの契約期間との兼ね合いも考えられます。

 

来年2019年を見ると、2018年と同様に、8月のお盆に加えて、年度末の3月28日~31日が指定されているのが分かります。35周年イベントは、3月25日で終了しますが、毎年この時期は、春休みで大変な混雑が予想されています。混雑緩和に加えて、多くのダンサーやパフォーマーが、契約期間の満了時期を迎えますので、熱烈なファンを考慮している可能性があるでしょう。

 

2019年9月~11月の使用不可日については、今年7月に発表される予定です。また、今回のプレスリリースでは、1月・4月・7月・10月の月初めに、今後3か月分の使用不可日について、販売窓口と公式ウェブサイトで伝えていくことも発表されています。

 

使用不可日の導入に加えて、入園制限中のパークも、年間パスポートでは入園できなくなります。これまで、ランド・シーの単独パスであれば、制限中も利用することができました。3月1日以降の販売分からは、2パーク共通・1パーク単独いずれも、制限がかかってしまうと、解除されるまで入園はできません。

 

さらに、前もって購入して、後日発行する「年間パスポート引換券」の有効期間も、従来の6か月間から2か月間へと短縮されることになりました。これはおそらく、今後の制度改定のときに、旧制度と新制度の年間パスが混在する期間を、短くしたい狙いがあるのだと思います。

 

あまりにも唐突な発表…。どうして?

今回の制度変更は、発表から実施まで、わずか2週間という突然のものでした。パークのハードリピーターに大きな影響を与える制度変更を、このような短い告知期間で実施することにも、多くのファンから疑問の声があがっています。

 

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©Disney

 

しかし、様子を見ていると、社内で十分な情報伝達がないまま、今回の発表に踏み切った可能性が高いのです。ウェブサイトの情報更新に時間がかかったこと、3月からの新デザインが未発表なこと、チケットセンターの説明文書がテプラ修正になっていること、などがその証拠です。

 

この唐突な発表の理由は、「制度変更前の駆け込み需要を抑えたかった」「2017年度の第4四半期決算の目標達成が微妙だから」の2つが考えられると思います。

 

昨年2017年の年度末の段階では、現在発行中の年間パスは、2018年3月末までの販売予定でした。おそらく、当初は4月からの制度変更に合わせて、新デザインの販売も行う予定だったのでしょう。

 

しかし、あまり告知期間が長くなってしまうと、変更前の駆け込み需要が高まり、チケットセンターが混雑する可能性が高くなってしまいます。もちろん、新制度が適用されない年パスが増えれば、それだけ混雑緩和の効果が薄くなってしまいます。

 

また、あくまでも個人的な推測ですが、1月~3月の第4四半期決算が、当初の目標よりも厳しい数字になっているために、駆け込み需要で売り上げを伸ばそうとした、という見方もできます。2018年は、1月~2月にかけて気温の低い日が続いていること、インフルエンザが猛威をふるっていることが、理由として考えられます。これについては、新年度に発表される決算を分析する必要があるでしょう。

 

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今年度が最後となる「アナとエルサのフローズンファンタジー」コンテンツとしての人気が落ち着き、集客に苦戦しているかも? ©Disney

 

年間パスホルダーは、混雑の原因?

今回の唐突な発表に対して、多くのファンからは「改悪」という声があがっています。値下げよりも使用不可日の導入に、多くの反発があることは事実です。

 

日本経済新聞の報道によると、ランド単独・シー単独・2パーク共通の年間パスポート保有者は、約10万人とされています。もちろん、入園制限に備えて、単独パスを2枚持ちしている方もいますので、若干の重複はあると思います。ただ、これだけ多くの方が年間パスを持っていると、パークの混雑にかなりの影響を与えている可能性はあるでしょう。

 

2月16日付朝刊から。記事では「現在、3種類の年間パスポートの保有者は約10万人とみられる」という記述がある。

 

大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンと比べると、東京ディズニーリゾートの年間パスポートは、かなり高めの料金設定になっています。これは、海外のパークと比べても同様です。

 

除外日のない「ユニバーサルVIP年間パス」は、大人36,800円(税込)5回行けば元が取れる計算になっている。

 

また、海外のパークでは、年間パスにショップやレストラン、駐車場の割引サービスがあったり、年間パスホルダー限定のイベントが行われたりしています。その一方で、東京では年間パスホルダーに対する特典は、ほとんどありません。限定グッズの販売も行われていますが、そのほとんどが「ファンダフル・ディズニー」の会員向けと重なっています。

 

年間パスホルダー向けのサービスが貧弱なのは、そのようなことをしなくても、価格に対して需要が大きいからだと思います。「みんな欲しがるから、これぐらいの値段でもいいだろう」「下手に値下げすると、買いたい人間が増える」と考えている可能性はあります。

 

オリエンタルランドとしては、来園頻度のわりには、客単価が低い年間パスホルダーよりも、首都圏近郊に住むライト層のゲストや、地方からバケーション・パッケージを利用して訪れるゲストに、より多く来てほしいと考えていると思われます。

 

特に2018年は、ランド35周年イベントを控えています。また、2020年開業を目指して、パーク内では再開発工事が進められています。多くの地方ゲストが訪れる時期であり、パークのキャパシティが減っている。できるだけ混雑を抑制したいという考えから、使用不可日の導入に踏み切ったのでしょう。

 

SNSを見ていると「グッズ販売が落ち込むのでは?」という声もあるようです。

 

年間パスホルダーの中には、パーク内で販売されているグッズを、不正に転売している人間もいます。ただ、今回発表された使用不可日を見ると、季節イベントの開始時期は外されていることが分かります。時期をずらして、新商品を投入する可能性はありますが、不正転売の抑制や、グッズ販売の落ち込みはあまりないのかな…と思います。

 

一つ気になるのが、年間パスホルダーで、ディズニーホテルやオフィシャルホテルに宿泊している場合です。これまでは、宿泊者に入園保証があり、入園制限がかかっても年間パスで入ることができました。今後は、使用不可日の場合、2パーク共通・単独パスいずれも、入園できなくなってしまいます。地方の年間パスホルダーが、今後どのような反応をするのかが気になりますね。

 

「日付指定券限定入園日」の二の舞になるのでは?

2016年10月、東京ディズニーリゾートでは「日付指定券限定入園日」が導入されました。これは、日付指定のないオープン券では入園できない、というものでした。

 

 

もちろん、限定入園日でも当日券の販売は行われたのですが、ネーミングが悪かったのか、ライト層のゲストには「事前に前売り券を買わないと入れない」という誤解が広がってしまいました。

 

オリエンタルランドとしては、なるべく事前に前売り券を買ってもらい、チケットブースの混雑を緩和したい、事前に入園者数の予測を立てたい、といった考えがあったのだと思います。結果的に、日付指定券限定入園日は、あまり目立った成果を上げることはできず、そのまま自然消滅してしまいました。

 

今回の「年間パスポート使用不可日」についても、「日付指定券限定入園日」の二の舞になってしまうのでは?と危惧しています。

 

客単価の低いハードリピーターを抑制して、地方ゲストやライト層のゲストの満足度を高めたい。狙いとしては理解できるのですが、今回の使用不可日は、3月1日からの新規発行分からが対象になっています。

 

2月までの発行分や、2018年度中に有効期限を迎えるゲストには適用されません。ゲストの反発の割には、35周年イベント期間中の混雑緩和に、どれだけ成果が上がるのかは微妙なところです。

 

アナリストからは、今回の年間パスの利用制限を歓迎する声があがっている。

 

また、パークから十分な情報発信がなければ、「せっかく来たのに入れなかった!」という年間パスホルダーをたくさん生みかねません。

 

もし、十分な成果が上がらなければ、日付指定券限定入園日のように自然消滅する可能性もあります。ただ、オリエンタルランドとしては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、新ファンタジーランドオープンに備えて、今回の制度改定に踏み切った、という見方もできます。長期的な視野で、見ていく必要があるかもしれません。

 

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2020年に向けて、急増が予想される外国人観光客(インバウンド)パークの混雑に拍車がかかるか?

 

年間パスにグレード制度が導入される?

ここからは、あくまでも個人的な推測です。

 

海外パークでは、利用不可日(ブロックアウトデー)の設定がない年間パスと、利用不可日がある代わりに、料金が安い年間パスが販売されています。

 

東京では、このようなグレード制度は導入されていません。ただ、今後ゲストの反応によっては、使用不可日がない代わりに、より高額な年間パスが発売される可能性があります。また、平日への分散化のために、土日祝は使用不可の「平日限定パス」のようなものが導入される可能性もあります。

 

しかし、このようなグレード制度の導入は、オリエンタルランドが考える「年間パスホルダーの入園抑制」とは、正反対の施策になります。実現可能性は、かなり低いかもしれません。

 

使用不可日を避けるのなら、早めの購入を!

今回の使用不可日や、入園制限中の使用不可の適用を受けるのは、2018年3月1日から新しく販売された年間パスポートです。2月28日までの販売分と、旧料金での引換券交換分については、適用を受けません。

 

もし使用不可日の適用を受けない年間パスをつくりたいのであれば、2月28日までに引換券を購入して、6か月間の有効期間内に発行する必要があります。

 

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それでも、旧制度が適用される年パスは、2019年8月には有効期限を迎えます。もし仮に、使用不可日が継続されるのであれば、ここで受け入れるしかありません。

 

今後オリエンタルランドが、どのように制度設計を行っていくのか。35周年イベントだけではなく、今後の混雑緩和策についても、注目していく必要がありそうです。

 

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