世界最大のディズニーリゾートである「ウォルト・ディズニー・ワールド」アメリカ・フロリダ州のオーランドにあるこのリゾートは、敷地面積が約122平方メートル、JR山手線内側の約1.5倍という広大さを誇っています。
そんな広大な土地には、4つのテーマパーク、2つのウォーターパーク、直営ホテル、ショッピングエリア、ゴルフ場など多種多様な施設が広がっています。
©Disney
ディズニーファンにとってウォルト・ディズニー・ワールドはまさに「聖地」今回はこのオーランドで進められているある計画から、舞浜の将来について考えてみたいと思います。
オーランドにはファストパスがない!?
ディズニーパークのアトラクションといえば、乗るまでに長蛇の列で長時間待たなくてはいけません。しかし、そんなときに活躍するのが「ファストパス」東京でも人気のアトラクションで発行されていますね。あらかじめファストパスを受け取ると、決まった時間内に戻ってくれば短時間でアトラクションに乗れる仕組みです。
待ち時間を短くしてくれる「ディズニー・ファストパス」東京では2000年7月から導入されている。©Disney
実はオーランドでは、従来の時間帯が指定された紙のファストパスは廃止されています。その代わりに「ファストパスプラス」という仕組みが導入されているのです。
以前発行されていた紙のファストパスチケット ©Disney
オーランドの場合、テーマパークのチケットは従来の紙のものに代わって、ICチップの入ったチケットか「マジックバンド」と呼ばれるリストバンド型のチケットになっています。直営ホテルの宿泊者がマジックバンド、それ以外のゲストはICチップ入りのチケット、というように分けられています。
従来のファストパスはアトラクションの近くにある発券機に行き、あらかじめ時間帯の指定されたチケットを受け取る仕組みでした。一度受け取ると、一定時間は次のファストパスを取ることができず、有効時間帯が過ぎてしまえば無効になってしまいました。
ファストパスプラスでは事前に3つまで*1、アトラクションやショーのファストパスを予約することができるのです。通常チケットの場合は30日前から、直営ホテル宿泊者は60日前から予約することができます。
予約はウォルト・ディズニー・ワールドのウェブサイトやスマホのアプリ「My Disney Experience」を通じて行うことができます。また、当日ホテルやパークでも予約や変更をすることもできます。
iPhoneとAndroidどちらも配信されている「My Disney Experience」日本からはダウンロードできないようになっている。©Disney
今年4月28日からは、パーク内のキオスク(ファストパスプラスの端末)で追加のファストパスを取ることもできるようになりました。つまり最大4つまで、ファストパスを取ることができるのです。時間の有効利用を考えれば、これはかなり大きいと思います。
直営ホテルの宿泊者に渡される「マジックバンド」これはテーマパークのチケットやファストパスのチケットとしてだけではなく、ホテルのルームキー、レストランのバウチャー*2としても使えるのです。さらにクレジットカードのデータと連動させれば、財布を持ち歩かなくてもパークやホテルで買い物をすることができます。
また、ウェブサイトではレストランの予約やホテルの事前チェックイン、マジックバンドの色などのカスタマイズも行うことができます。ウェブでほぼすべての手続きが完了してしまうのです。
東京のファストパスはどうなるの?
では、東京に話を戻しましょう。東京では従来と同様に紙のファストパスが発行されており、一定数がなくなれば終了します。
一方でオリエンタルランドが企画・提供している旅行プラン「バケーション・パッケージ」では、時間帯に制限のないファストパスチケットがあらかじめ組み込まれており、プランによっては希望するショーを事前に予約して優先鑑賞エリアで見ることもできます。
バケーション・パッケージに組み込まれている時間帯無制限のファストパスチケット。「有料でもいいからチケットだけ販売してほしい」という声は多い。©Disney
オリエンタルランドが4月28日に発表した中期経営計画の中で、ランド・シー共通の課題として「快適な環境づくりに向けた整備」が挙げられていました。現段階ではあくまでも推測にすぎないのですが、将来的には東京でも「ファストパスプラス」つまりファストパスの事前予約制が導入されるのではないかと思うのです。
すでにバケーション・パッケージの利用者には、時間帯無制限のファストパスがあらかじめプランの中に組み込まれています。これをウェブでの事前予約制に切り替えることは、十分可能です。事実、現在もショーの鑑賞予約はウェブで受け付けているからです。ホテルのルームキーにパークチケットやファストパスの情報を連動させることは、技術的に十分可能でしょう。
オーランドのように、一般ゲストにもファストパスプラスのサービスを展開するのは難しいかもしれません。東京の場合、関東近県から来るワンデーパスポートのゲストの数が多いためです。一般ゲストにもファストパスの事前予約を広げれば、通常の待ち列であるスタンバイの待ち時間が長くなりすぎてしまいます。
オリエンタルランドにとって、宿泊を伴う地方からのゲストは消費額も多く、お得意様と言えるでしょう。そんなお得意様が利用するバケーション・パッケージ向けに、ファストパスプラスのサービスを導入してもまったく不思議ではありません。
さて、東京ディズニーリゾートの将来像はどうなることやら。すべてのゲストが快適に過ごせるパークになることを、心から願っています。