6月20日発売の週刊文春(6月27日号)で「東京ディズニーランドの食品が危ない!」という記事が出ました。新聞広告や電車の中吊り広告で大きな見出しを読んだ人も多いと思います。
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/06/20
- メディア: 雑誌
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まさか週刊誌に記事が載るとは!
私としては、オリエンタルランドが株主総会を1週間前に控えているこのタイミングで、大手週刊誌がここまで大きな扱いでディズニーの批判記事を載せることに驚きを隠せませんでした。
文春や新潮といえば「電車で職場まで通うおじさまが読むもの」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。それだけに、若者や家族連れに人気のあるディズニーの批判記事を載せやすかった(=オリエンタルランドからの圧力や今後の影響が少ない)のではないかと思います。
しかし、広告でも大きく記事の見出しが使われているように、ディズニーにとってもかなりのマイナスイメージにつながったと考えられます。
記事ではディズニーホテルで明らかになった食材誤表記問題から、人気のギョウザドッグの問題点、これまでの食品に関する不祥事などについて、かなり細かく報じられています。では、そんな中で私が気になった文章について引用していきます。
ギョウザドッグは本当に危険なの?
「業者からも『子供が食べるのに、中国産でいいのか?』という意見がオリエンタルランドに寄せられたそうです。しかし同社の担当者は『米国本部へのロイヤルティーや新しいアトラクションを作る工事代のため、コスト削減が至上命題。上層部は聞く耳を持ってくれない』と嘆いていたそうです」(奥野氏*1)
東京ディズニーシーで販売されており、今では多くのガイドブックやテレビ番組でも紹介されたギョウザドッグ。そんな人気商品の食材には中国産の食材が多く使われています。
オリエンタルランドは記事やプレスリリースで安全性を強調していますが、中国産を使用している理由が「コスト削減」とすれば驚きです。
中国産が必ずしも悪いとは言いません。毒物入り冷凍ギョウザ事件以降、食品を扱う会社は今まで以上に「中国産」を慎重に扱っています。ただし、取り扱いをやめたわけではありません。
私たちが日頃口にしている安価な食品の多くは、中国などの海外から輸入された食材によって支えられているからです。それにしても、オリエンタルランドがコスト削減を理由に、食の安全をないがしろにしているとするならば、かなり問題があると言えるでしょう。
内部調査の部署は「有名無実」?
表に出ないボヤ騒ぎも多いし、食中毒がいつ起こってもおかしくない衛生管理のホテルだってある。問題が明るみに出て上層部が考えを変えてくれたらいいなとみんなが思っても、犯人探しをされるのが嫌だから沈黙してしまう(別の元従業員)
「別の元従業員」というのが、情報源としては心もとないのですが、事実とすればかなり驚きの内容です。内部調査の部署はあくまでも従業員を「粛清」するための部署に過ぎない、とまで記事には書かれています。
今回、文春にこのような記事が掲載されたのは、現在のオリエンタルランドの経営、特に現在の経営陣・上層部に対して何らかの不満を持っている人間が関係している可能性は高いでしょう。そうでなければ、このようには書かないと思われます。
結局は「コスト削減」が悪いのか?
今回の誤表記*2は、故意かどうかは別にしても、高級食材に偽装して安い食材を使っていたことが露呈しました。安い食材ほど安全性は低下します。しかもそれを高値で売っていたのですから、安全性よりもコスト削減を優先し、利益追求に走っていると批判されても仕方がない。
記事の最後に、食品表示アドバイザーの垣田達哉氏は以上のように書いています。記事では、商品名や具体的な場所を挙げて問題を追及していますが、結論としてはオリエンタルランドによる食の安全を無視した利益追求を断罪しているといえるでしょう。
これまで舞浜新聞も、近年のコスト削減を続けるオリエンタルランドに対して、批判的な記事をいくつか書いてきました。営利企業、株式会社であるオリエンタルランドが、利益を追求し、株主や従業員にその利益を還元するのは当然のことです。しかし、今回のように、食の安全まで無視したコスト削減には、到底納得できません。
小さな声に過ぎないかもしれませんが、東京ディズニーリゾートを愛する人間として、今後もオリエンタルランドの経営に対して厳しい姿勢で臨みたいと思います。
いよいよ明日はオリエンタルランドの株主総会。さて、今年の株主総会はどうなることやら。今から楽しみです。
ちなみに、今回からお土産の配布はなくなりました。これは「コスト削減」ではなく、お土産目的で出席する株主が多かったため。報道によると、今年度の総会からお土産配布を中止にしたのは、オリエンタルランドを含めて41社*3。平日開催のため、総会に出席できない株主も多いですからね。