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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



アトラクションの待ち時間が、パーク内でしか見られなくなる?

東京ディズニーリゾートの分析・考察

明日5月19日から、東京ディズニーリゾートのモバイルサイトで新しいサービスが提供されます。今回は新しく提供されるサービスの内容と問題点について、見ていきたいと思います。

 

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©Disney

 

どんなサービスが始まるの?

東京ディズニーリゾート・モバイルサイトに新たなサービスが追加されます|東京ディズニーリゾート

 

以下はこれまでモバイルサイトで提供されていたサービスの一覧です。

 

  • アトラクション運営状況
  • キャラクターグリーティング運営状況
  • プライオリティ・シーティング受付状況
  • ガイドツアー受付状況 

 

明日5月19日からは以下のサービスが新しく始まります。

 

  • パレード/ショー運営状況
  • ショップ運営状況(一部の施設)
  • レストラン運営状況(一部の施設)
  • ディズニースナップフォト運営状況
  • 各施設の当日の運営時間

 

これまで東京ディズニーリゾートのモバイルサイトでは、アトラクションやキャラクターグリーティングの待ち時間、レストランの優先案内である「プライオリティ・シーティング」の受け付け状況などを確認することができました。

 

5月19日からは、これまでのサービスに加えて、パレードやショー、ショップ、レストランの運営状況も確認することができるようになります。

 

しかし、サービスの開始案内には、以下の注意事項が書かれています。

 

以下のサービスをご利用いただく際は、スマートフォン、フィーチャーフォンのGPS機能を利用して、お客様の現在地が東京ディズニーリゾート内※であることを確認させていただきます。

 

なお、東京ディズニーリゾート内であっても屋内などで利用する場合は、現在地が正しく計測されないことがあります。その際は、屋外で再度お試しください。

 

※「東京ディズニーランド」、「東京ディズニーシー」、「東京ディズニーリゾート・ウェルカムセンター」、「ボン・ヴォヤージュ」、「ディズニーリゾートライン」、「ディズニーホテル(3ホテル)」、「オフィシャルホテル(6ホテル)」、「イクスピアリ」、「舞浜アンフィシアター」、「駐車場」

 

これまでモバイルサイトは、パーク内にいなくてもアトラクションの待ち時間を確認することができました。しかし、明日からはパーク内やその周辺にいないと、確認できなくなります*1

 

大阪にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも、アトラクションの待ち時間を調べられる専用アプリは、GPSによる閲覧制限があり、パーク内でしか使えないようになっています。

 

 

そもそも、どうしてこのような、GPSによる閲覧制限を行うのでしょうか。

 

混雑予想サイトや非公式アプリの一掃が目的?

一番の目的は、混雑予想サイトや、スマートフォンの非公式アプリの一掃ではないかと思われます。

 

最近ではウェブでパークの混雑状況を予想するサイトが多くなりました。東京ディズニーリゾートの場合は年間を通じて混雑していますので、同じお金を払うのなら、できるだけ空いている日に行きたいですよね。そういった方々のために、独自に混雑予想をする方も多くなっています。

 

その混雑予想で重要となるのが「アトラクションの待ち時間」です。モバイルサイトでアトラクションの待ち時間情報が提供される前は、実際にパーク内へ行って、インフォメーションボードなどで調べるしか方法はありませんでした。

 

しかし、モバイルサイトでパークにいなくても待ち時間を調べられるようになると、いちいちパークへ行く必要はなくなります。そのぶんだけ、データを集めやすくなり、予想もしやすくなっていました。

 

ただ独自の混雑予想サイトが多くなると、パークにとっては「この日は混むよ!」「この日は空くよ!」という情報によって、客足が大きく変わってしまいます。また「この時期の混雑はすごいよ!」という情報が出回ると「早くアトラクションのファストパスを取らなきゃ」「ガイドツアーを予約しなくちゃ」といったように、ゲストを焦らせることにもつながります。

 

また、最近では「東京ディズニーリゾートの待ち時間が見られます!」という非公式のスマートフォンアプリも多くみられるようになりました。

 

公式サイトとは違って、独自の機能がついているものもあり便利なのですが、それだけ待ち時間情報を提供するデーターサーバーに負荷がかかっていると考えられます。

 

モバイルサイトでGPSによる閲覧制限が設けられるのは、こういった理由ではないかと思われるのです。

 

ビッグデータの活用も?

最近メディアで取り上げられるようになった「ビッグデータ」例えば、通信大手のソフトバンクは、携帯電話の膨大な通信記録を分析して、電波の改善に生かしています。

 

 

実はこういったビッグデータの活用も、GPSによる閲覧制限と関係しているのではないかと思われるのです。

 

2007年に「事業用電気通信設備規則」が施行され、これ以降製造された携帯電話にはGPS機能の搭載が義務づけられました。これは、110番や119番のような緊急通報で、通報者の現在位置を素早く調べるためです。

 

通常は位置情報が特定されるGPS機能をオフにしている、という方も多いと思います。プライバシーの問題もあり、自分がどこにいるのか特定されるのは嫌だ、という方が多いのではないでしょうか。

 

モバイルサイトがGPS機能をオンにしていないと見られなくなると、パーク内ではGPS機能をオンにする方が多くなると思います。そうなると、どの場所にどれだけのゲストがいるのか、という情報をすぐに集めることができるようになると考えられるのです。

 

東京ディズニーリゾートでは現在、ランドのファンタジーランド再開発、シーの新テーマポート建設を控えています。

 

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東京ディズニーランドに建設される『美女と野獣』エリア(オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney)

 

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東京ディズニーシーに建設される『アナと雪の女王』エリア(オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney)

 

ファンタジーランドの再開発については、パークのキャパシティが一時的に減る可能性が高く、混雑が激しくなる可能性もあります。

 

もしゲストの位置情報を素早く収集できれば、空いているエリアへのゲストの誘導策や、混んでいるエリアの改善(ワゴンの移動や通路の確保など)も可能になるでしょう。通行量調査のように、人がカウンターで数えるより、早く・正確に・低コストで情報を集められますからね。

 

でも、本当に大丈夫なの?

モバイルサイトに導入されるGPSによる閲覧制限。パークを運営するオリエンタルランドにとってはメリットが多いと思うのですが、私たちゲストにとって、あまりメリットは多くないと思われます。

 

GPS機能をオンにすると、個人の位置情報は特定されてしまいますし、通信量も多くなりますので、電池の減りも早くなってしまいます。

 

またGPS機能をどうやってオンにすればいいのか、知らない方も多いのではないでしょうか。キャストへの問い合わせも増えるのではないかと予想されます。

 

さらに、携帯電話のGPS機能は、携帯電話の基地局とのやり取りで情報を補正しています。そのため、電波が届かなかったり、届きにくかったりする場所では、GPS機能が使えない・うまく認識できないという可能性もあります。

 

パーク内ではアトラクションやレストランのように、屋外の場所も多くなっています。座ってゆっくり待ち時間を確認したいのに「見られません」じゃあ、困りますよね。

 

これまでは日中の混雑状況を見て「今日は空いているから、学校帰りに行こうかな」という使い方もできたのですが、今後はSNSで混雑状況を調べたり、自分なりに予想したりしなければいけなくなります。

 

オリエンタルランドは何を考えているの?

今回新しく導入されるGPSによる閲覧制限ですが、オリエンタルランドは将来的なパーク内Wi-Fiの導入を考えているのではないか、と舞浜新聞では見ています。

 

先ほど、携帯電話のGPS機能は、基地局とのやり取りで位置情報を補正していると書きました。実はWi-Fiの通信機(ルーター)を使うと、より正確な位置情報を特定できるのです。

 

米フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドでは「My Disney Experience」というスマートフォンアプリが提供されています。これを使うと、アトラクションの待ち時間だけではなく、パーク内施設の情報を調べることができます。

 

ディズニーワールドではパーク内や周辺ホテルで、無料のWi-Fiサービスが提供されています。私も昨年12月に行ったときに使ったのですが、パソコンで動画のストリーミング再生ができるほど、早くて快適でした。

 

Wi-Fiサービスについては、米通信大手のAT&Tが「オフィシャル・ワイヤレス・スポンサー」として、独占的に提供しています。もちろん、AT&T以外の通信会社を使っている人もWi-Fiは利用できます。

 

また「My Disney Experience」を起動すると、トップページにAT&Tのロゴマークが表示されます。AT&Tにとっては、パーク内でWi-Fiの通信機を設置する代わりに、ディズニーパーク内での広告宣伝効果を狙っているのでしょう。

 

 

 

ディズニーワールドと同じように、東京ディズニーリゾートでも、オフィシャルスポンサーであるNTTドコモが「docomo Wi-Fi」をパーク内で提供する可能性は十分あります。

 

 

東京のパーク内ではNTTドコモ、au、ソフトバンクなどのキャリアを使うことができます。しかし、Wi-Fiサービスをドコモが独占すれば、それだけ広告宣伝効果も大きくなるでしょう。

 

またデータ通信をWi-Fiに流せば、そのぶん電波に空きが生まれます。通信速度の向上にもつながりますし、ドコモユーザーの囲い込みもできるでしょう。

 

ただ「docomo Wi-Fi」でドコモユーザー以外を締め出ししてしまうと、オリエンタルランドが積極的に誘致している外国人観光客が不便になるという課題もあります。

 

外国人観光客が日本に来て不便に感じるのは「無料Wi-Fiスポットが少ないこと」欧米では客向けに無料のWi-Fiサービスを提供している場所が多いのですが、日本ではやっと普及が始まったところです。

 

観光庁「外国人旅行者の日本の受入環境に対する不便・不満」

http://www.mlit.go.jp/common/000205584.pdf

 

ドコモユーザー以外にもWi-Fiサービスを開放する可能性もありますが、巨額の費用がかかるWi-Fiサービスの整備に、どれだけドコモが積極的になるのか、オリエンタルランドがどこまで資金を投入するのか、少し不透明なところでもあります。

 

GPSによる閲覧制限 順序が逆なのでは?

東京ディズニーリゾートを訪れると、人口密度が多い場所は通信速度がどうしても落ちてしまうことがあります。また、屋内の場合は電波が弱くなることもあります。

 

モバイルサイトのGPSによる閲覧制限を設ける前に、まずはパーク内の基地局増設や、Wi-Fiサービスの整備が先ではないでしょうか。パーク内で一気にWi-Fiサービスの導入が難しいのであれば、テーブルサービスのレストランなど、一部エリアで先行導入してもいいと思うのです。

 

今回のGPSによる閲覧制限は、オリエンタルランドにとってメリットはあるのかもしれませんが、私たちゲストにとっては不便になることが予想されます。ぜひ、サービス価値の向上をお願いしたいところです。

 

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©Disney

 

参考資料 

*1:NTTドコモが提供しているスマートフォンアプリ「東京ディズニーリゾート待ち時間ナビ」も、パーク内でしか使えなくなるようです。