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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



ダッフィー誕生秘話とその悲しい運命とは?

今では大人気キャラクターとなった「ダッフィー」東京ディズニーリゾートへ行くと、多くの人がその愛らしい熊のぬいぐるみを抱っこしているのをよく目にします。

 

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©Disney

 

実はこのダッフィーには、知られざる誕生秘話があるのです。今回はそんなダッフィー誕生までのお話と、ダッフィーが背負っている悲しい運命について、ひも解いていきたいと思います。

 

https://s.cir.io/PryFta

 

ダッフィーの生みの親は日本人

もともとダッフィーは「ディズニーベア」と呼ばれるテディベアのぬいぐるみでした。アメリカ・フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドで売られていたのですが、元となる映画やテレビ番組などがなかったため、知名度が低く、あまり売れていませんでした。

 

2003年2月、当時オリエンタルランドの商品開発部でマネージャーを務めていた後藤達美さんが、出張でディズニーワールドを訪れました。そのとき彼が出会ったのが「ディズニーベア」だったのです。

 

後藤さんはテディベアをモチーフにしながらも、あまりキャラクターぽくないディズニーベアのデザインに惹かれました。そして、この熊のキャラクターをベースにした新商品の展開を思いつきます。

 

帰国した後藤さんは早速、ディズニーベアを東京ディズニーリゾートで展開するために動き始めます。当時開園したばかりの東京ディズニーシーに、ランドとは違った何かが欲しい。このディズニーベアなら、ディズニーシー独自のキャラクターとして売り出せる。そう考えたのです。

 

当初は提案が通らなかったものの、後藤さんの熱意もあって、なんとかディズニーベアの商品開発が決まります。アメリカでは赤や緑といったカラフルなぬいぐるみも売られていたのですが、日本人が「熊」と聞いてイメージする淡い茶色に統一することに。

 

生地は手触りや色にもこだわり、約10万ものサンプルの中から、現在のふわふわ感のあるものが選ばれました。さらには、中に詰める綿の量も調節して抱き心地にまでこだわったのです。

 

「ディズニーベア」がデビュー

2004年12月、東京ディズニーシー限定グッズとして、ついに「ディズニーベア」が発売されました。サンタ姿のディズニーベアは当初、クリスマス当日の25日まで販売される予定でしたが、数日で完売になるほどの人気を集めました。

 

ホッと胸をなでおろしていた後藤さんたちに、当時商品本部長を務めていた入江教夫さんは発破をかけました。「まだ甘い」「ミッキーたちみたいに、長く愛されるキャラクターに育てよう」こうしてオリエンタルランドによる独自のキャラクター開発が始まります。

 

社内で検討を重ねた結果、ディズニーベアに東京ディズニーシー独自のストーリーを与えるという手法にたどり着きます。クリスマスイベントでの上々な売れ行きもあり、ディズニー社もオリエンタルランド側の意見や提案を尊重しながら交渉は進められていきました。

 

ディズニー社とオリエンタルランド双方が、数か月にも及ぶ交渉の末にまとめたのは「航海に出るミッキーマウスが寂しがらないようにと、ミニーマウスがプレゼントした手作りのテディベア」というコンセプトでした。アメリカの漁村がモデルになっている、東京ディズニーシーの「ケープコッド」の世界観が反映されたのです。

 

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©Disney

 

「ダッフィー」という名前は、オリエンタルランドではなく、ディズニー社のスタッフが名づけました。「ミニーがダッフルバッグに入れて渡すから『ダッフィー』」当初はこの安直なネーミングに反対した後藤さんでしたが、徐々にその名前に愛着がわき、ダッフィーしかないと思うほどになりました。

 

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©Disney

 

ついに「ダッフィー」が誕生

2005年のクリスマスイベントを機に「ディズニーベア」から新しく生まれ変わった「ダッフィー」2006年3月には単独のキャラクターとして初めて、東京ディズニーリゾートの公式サイトに専用ページが立ち上げられました。2007年にはパーク内に、ぬいぐるみを置いて写真撮影ができる専用の台座を設置。2008年ごろからはメディアでたびたび取り上げられるようになり、パーク内を抱っこして歩くゲストの姿が増えていったのです。

 

そしてついに、ダッフィーの知名度は全国区になりました。レギュラーショーやスペシャルイベントの主役になったり、ダッフィーがキーアイテムとなるスペシャルドラマが制作されたり*1と、ますますその人気は高まっています。フジテレビの月9ドラマの主人公のセリフにも登場するくらいになっているのです*2

 

2009年にはダッフィーのお友だちとして、女の子の「シェリーメイ」も登場しました。そして今年7月には、新しく猫の男の子「ジェラトーニ」も登場しています。発売初日には多くのゲストが列を作り、一部のグッズはすぐに売り切れという事態も起きるほどでした。

 

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ダッフィーとシェリーメイ ©Disney

 

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猫の男の子「ジェラトーニ」 ©Disney

 

グッズの売り上げをけん引するダッフィー

オリエンタルランドの『アニュアルレポート2013』には、こんなページがあります。

 

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直近10年間で、ゲスト一人当たり売上高は、約12%増の約10,601円となりました。この成長を大きくけん引したのが東京ディズニーシーのオリジナルキャラクター「ダッフィー」。関連商品の販売は好調に推移しています。

 

これを見ると「ダッフィーの関連商品がゲスト一人当たりの消費金額を押し上げた」と読むことができます。また「大人向けパーク」というコンセプトで開園当初は低迷していたディズニーシーが、入園者数を増やすことができたのは、ダッフィーの力もあったのではないか、とする分析もあります。それだけオリエンタルランドにとって、ダッフィーはまさに「救いの神」だったのです。

 

今では世界デビューも

ダッフィーはその活躍の場を、東京から世界へと広げています。

 

今ではカリフォルニア、フロリダ、パリ、香港などの海外のディズニーパークや、ディズニーのリゾートホテルであるハワイ・アウラニでもグッズが売られているのです。

 

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カリフォルニアで売られているダッフィーのリュックサック ©Disney

 

では、どうして海外でもダッフィーが売られることになったのでしょうか。もちろん東京での人気に目を付けたディズニー社が、自社直営のパークでも販売しようと考えたのは当然かもしれません。実はディズニーパークでは、商品の売り上げが最近苦戦しているのです。

 

そんな苦戦しているグッズの売り上げを少しでも伸ばしたい。ディズニー社がそう考えて、ダッフィーの世界展開に手を付けた可能性はあります。最近のディズニー社は「ローカル化」を掲げて、その地域に合わせた商品開発を行っています。最近では日本で生まれた「ディズニーツムツム」のグッズが、アメリカのディズニーストアでも売られるなど、日本発祥のものが世界で展開される事例が増えてきているのです。

 

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アメリカで売られている「ディズニーツムツム」のクッション ©Disney

 

ダッフィーは誰のもの?

さて、ここで一つの疑問が生まれます。オリエンタルランドとディズニー社によって生まれた「ダッフィー」この権利は一体誰が持っているのでしょうか。

 

ダッフィーに関しては、もともとディズニー社が開発した「ディズニーベア」をベースにして作られました。詳しい契約内容については分かりませんが、おそらくディズニー社がダッフィーの権利を持ち、オリエンタルランドがライセンス契約を結んでグッズを販売していると思われます。これは、ほかのグッズも同様の契約になっているからです。

 

オリエンタルランドはダッフィーの売り上げに応じたロイヤリティーを、ディズニー社に支払っていると思われます。ですが、もしかするとほかの商品に比べて、ロイヤリティーは低く設定されているかもしれません。また海外のディズニーストアとは違い、ダッフィーは東京ディズニーシーでのみ売られています。オリエンタルランドには日本国内での独占販売権が認められている可能性はあります。

 

「東京ディズニーシーでしか買えない」というのが、ダッフィーの希少価値を高めています。事実、ダッフィーのぬいぐるみや期間限定の関連商品を買うために、ディズニーシーを訪れるという人は少なくありません。もしパーク以外でも買えるようになってしまえば、ディズニーシーの入園者数は減ってしまう可能性があります。

 

ダッフィーとそっくりのぬいぐるみ?

ゲームセンターのクレーンゲームに、ダッフィーやシェリーメイとよく似たぬいぐるみが並んでいることがあります。もちろん、それらのぬいぐるみはディズニーシーで売られているものとは違います。実はこれ「Mickey's Toy Bear(ミッキーズ・トイ・ベア)」と呼ばれる、ダッフィーやシェリーメイとよく似ているものなのです。

 

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クレーンゲームの商品になっているミッキーズ・トイ・ベア

 

ミッキーズ・トイ・ベアは東南アジアにある会社が、ディズニーのライセンスを受けて製造・販売しているものです。決して偽物というわけではなく、正真正銘のディズニー公式グッズなのです。ただ中国製で値段も安く、ディズニーシーで売られているものとは質で大きく劣ります。

 

つまりこのような類似品、しかもディズニー公式の類似品が存在するということは、ダッフィーの権利はオリエンタルランドではなく、ディズニー社が持っているということになります。

 

おそらく日本国内でミッキーズ・トイ・ベアが売られていたとしても、オリエンタルランドが訴えることは難しいでしょう。それは権利を持っているディズニー社が、きちんと認めて作られているものだからです。

 

ちなみに、東京ディズニーシーで販売されているダッフィーやシェリーメイ、ジェラトーニといったグッズには、製造番号が分かるようにタグが付けられています。これは偽造品との識別という目的もありますが、ミッキーズ・トイ・ベアのような、ディズニー公式の類似品と見分ける目的もあるのかもしれません。

 

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グッズに付けられている製造番号のタグ

 

ツムツムにダッフィーとシェリーメイ?

先日、こんなツイートを見かけました。

 

香港ディズニーランドでも米国のディズニーストアと同様に、ディズニーツムツムのグッズが売られています。実は最近、香港限定でダッフィーとシェリーメイが新しく登場したのです。もちろん、日本のディズニーストアでは販売されていません。

 

もし東京ディズニーリゾートがディズニー直営のパークであれば、香港と同じようにダッフィーとシェリーメイのツムツムが売られていたでしょう。人気のあるダッフィーとツムツムのコラボ商品であれば、売れるのは間違いありませんから。

 

しかし、東京のパークはオリエンタルランドによるフランチャイズ経営。今のところ、パーク内でツムツムのグッズは販売されていません。同じように日本のディズニーストアでは、ダッフィーやシェリーメイのグッズは販売されていません。

 

このあたりの事情でも、ダッフィーの権利はディズニーが持っていることが推測できますし、東京ディズニーリゾートが直営ではないことの弊害が見て取れるのです。

 

2015年はダッフィー誕生10周年 

東京ディズニーシー復活の立役者ともなったダッフィー。誕生から来年で10年になりますが、今でも期間限定のコスチュームやグッズには長い行列ができます。シェリーメイ、ジェラトーニといったキャラクターも増えており、今後さらに仲間が増えていくとも言われています。

 

オリエンタルランドとディズニー社の協力の末に生み出されたダッフィー。その権利がディズニー社に握られているのは仕方がないことだとはいえ、なんだか寂しい限りです。

 

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©Disney

 

参考資料

*1:2013年12月に日本テレビ系列で放送された『恋するイヴ』というドラマです。溝端淳平さんと佐々木希さんが出演しました。

*2:2009年に放送された『東京DOGS』第6話で、刑事を演じる小栗旬さんと水嶋ヒロさんの掛け合いの中でダッフィーが登場しています。