2013年9月9日に東京ディズニーランドであるグッズが発売されました。そのグッズの名前は「マジカルドリームライト」一見すると、これまでパークで売られていた光るグッズとあまり変わらないように思います。
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しかし、このグッズにはある秘密が。それは夜のパレード「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」のフロートに反応して、ライトの光る色や光かり方が変化するのです。
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私もご縁があって、発売初日の体験キャンペーンに参加させてもらいました。私がいたのは事前に用意された鑑賞エリアだったのですが、無数のライトが同じ色・同じ光り方で点灯するのはなんとも幻想的でした。
今回の記事ではこの「マジカルドリームライト」がパークのエンターテイメントを変える可能性について、少し考えてみたいと思います。
もともとはアメリカが発祥
実はこういったパークのエンタメと連動して光るグッズは、東京が初めてではないのです。もともとアメリカのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーでは「Glow with the Show Ears」というグッズが販売されていました。
これは夜の水上ショー「World of Color」の音楽に合わせて、帽子の耳に付けられているライトの色が変化していくというもの。数多くの耳の色が変化していく様子は、本当に幻想的ですよ。
カリフォルニアで導入されていたこのグッズ。今ではフロリダのマジックキングダムとディズニー・ハリウッド・スタジオでも導入されています。フロリダ版の「Fantasmic!」では、ゲストが作り出す光の波が新しい演出となっています。
アメリカの場合、ミッキーの耳の形をした「イヤーハット」が販売されています。様々な種類があるので、お土産として買ったり、パーク内でかぶったりしているゲストを多く見かけます。東京の場合、開園当初はこういったイヤーハットを販売していたのですが、最近ではカチューシャや飾りの大きいファンキャップに取って代わっています。
イヤーハットが馴染んでいるアメリカのパークだからこそ、「Glow with the Show Ears」が導入できたのでしょう。東京の場合は、後ろにいるゲストが見えにくくなるために、園内放送でも「大きな帽子やカチューシャは外してお楽しみください」と言っているくらいです。当然、公演中に帽子をかぶるのは難しい。だからこそ、ドリームライトが導入されたのだと思います。
ドリームライトの特徴
ドリームライトがこれまでの光るグッズと決定的に違うのが、エンタメと連動している点でしょう。
これまでシー10周年の「マジカルワンド」やランド30周年の「ハピネスシェアペンダント」など、ゲストが反応を楽しむグッズはありました。しかし、ドリームライトは夜のパレードのときしか連動しません。つまり、パレードをその場で見なければ意味がないのです。
私も実際に何度かドリームライトを使って、パレードを見たことがあります。そのときは自分がまるでパレードに参加しているような、そんな感覚になりました。あっという間に時間が過ぎてしまうくらいです。
これまでパレードは「見るだけ」ゲスト参加型のものも過去にはありましたが、基本的にゲストは鑑賞場所でキャラクターやダンサーが乗ったフロートを鑑賞するというものでした。しかし、ドリームライトの登場によって、新しいパレードの見方が加わったのです。
ゲストによる新しい楽しみ方も
ドリームライトの発売から2か月後の11月18日。この日はディズニーファンなら常識ともいえるミッキーマウスとミニーマウスの誕生日です。実はこの日、twitterを通じてある企画が行われました。それが「光るミキ誕」ドリームライトを持ってパレードルートに集まり、みんなでミッキーとミニーの誕生日をお祝いしようというものです。
当日は多くのゲストがドリームライトを持ち、誕生日のお祝いをしました。通常ではどうしてもライトを持っているゲストが少なく、まばらにしか光っていないのですが、この日は本当に光の波になっていました。ミッキーやミニーも驚いたことでしょう。
#光るミキ誕 pic.twitter.com/wzg76BjR44
— イズ (@PonteVecchio_iz) 2013年11月18日
パーク内ではゲストが集まる「集会行為」は禁止されています。しかし、今回の場合、ゲストが自主的に呼びかけ、ドリームライトを手に持ってパレードを鑑賞したので特に問題はありませんでした。
むしろドリームライトによって、新しいパレードの鑑賞の仕方が作られたと言ってもいいでしょう。オリエンタルランドが企画したものではないということに、私もビックリさせられました。
パークの貸し切り営業でも
今年(2014年)1月31日にランドで「ディズニー★JCBカード スペシャル・ナイト」が開催されました。これは閉園後のパークを貸し切って行われる特別営業。キャンペーンに当選した人*1と事前にチケットを購入した人*2だけが入れる特別なものでした。
ディズニーのカードと言えば「JCB」今回の貸し切り営業はディズニー★JCBカードの誕生から5周年を記念して企画されました。このイベントの目玉だったのが、通常雨天時のみ行われる「ナイトフォール・グロウ」と「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」が同じ日に行われるというもの。
しかもゲストには一人一つ、限定デザインのドリームライトが配られました。通常はドリームライツとしか連動しないのですが、今回のイベントではナイトフォール・グロウともドリームライトが連動したのです。私も現地へ取材に行ったのですが、本当に鳥肌が立ちました。
パートナーズ像のウォルトとミッキーのつないぐ手の下から。30周年とナイトフォール・グロウ。 pic.twitter.com/A7IGKSDI3S
— YOSHI (@yoshi_e) 2014年2月1日
このイベントを見ていて私が感じたことは以下の3つです。
- 新しい付加価値を付けた特別営業
- ほかのパレードやショーでのドリームライトの連動
- エンタメにゲストを振り向ける新しいやり方
今回のイベントでは「ナイトフォール・グロウがお天気のいい日でもやる!しかもドリームライトと連動する!」というのが目玉でした。チケットの値段は一人7,900円。ライトの値段2,500円が含まれているとはいえ、パーク貸し切り3時間としてはちょっと高いような気がします。
しかし、実際に行ってみて感じたのは、この体験は値段にはかえられないということでした。パークにいるゲスト全員がドリームライトを持っている、そしてそんなゲストは当然パレードの時間になるとパレードルートに集まってくる。幻想的な光の波は、ゲストに新しい感動を生み出すのです。今後も、こういった新しい感動や体験が加わった特別営業が行われると思われます。
二つ目は今後のドリームライトの展開について。現在、ランドの夜のパレードとしか連動していませんが、ナイトフォール・グロウとの連動が示すように、ほかのパレードやショーとの連動も技術的には可能だと思われます。可能性が一番高いと思われるのが「ファンタズミック!」実は東京のハーバーはカリフォルニアやフロリダのパークと比べて、船とゲストの距離が広いのです。
東京の場合、船から遠い場所や360度どこから見ても大丈夫なようにショーが作られています。しかし、ここにゲスト参加型のドリームライトが加わったらどうでしょうか。かなりハーバーが幻想的になると思いませんか?
三つ目はエンタメへの集客について。長年続いているショーやパレードの場合、ついつい「また今度見ればいいや」という人が多くなります。変化がない以上、当然と言えば当然でしょう。しかし、ドリームライトがあればどうでしょうか。ドリームライトはその場にいなければ楽しむことはできません。つまりパレードを見なければ楽しめないのです。必然的にパレード自体に変化がなくても、ゲストはライトをもって見に来るでしょう。
twitterキャンペーンの意味は?
さて今回ドリームライトの記事を書くきっかけになったのが、オリエンタルランドによる「光の魔法再び!『マジカルドリームライト』Twitterキャンペーン」でした。これは3月14日に開催されたもので、当選したゲストがドリームライトをもって鑑賞エリアに集まり、夜のパレードを鑑賞するというものでした。
【フォロワー限定】東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード・ドリームライツに合わせて光る「マジカルドリームライト」を使ったキャンペーンを実施します。夜のパークにみんなで一緒に魔法をかけましょう!キャンペーンの詳細はこちら http://t.co/7oStna9YO1
— 東京ディズニーリゾートPR【公式】 (@TDR_PR) 2014年2月26日
白雪姫フロート #ディズニー魔法のお手伝い pic.twitter.com/7u0ZcoS5xe
— とまてと (@misatomatoooo) 2014年3月14日
発売当日のキャンペーンではドリームライトが無料で配られたのに対して、今回はなし。当選したゲストは自分のライトを持ってくるか、パークで購入しなければいけませんでした。
私はこれにはガッカリさせられました。いくら販売促進のキャンペーンとはいえ、ゲストにただ鑑賞エリアを準備するだけでは経費削減と思われても仕方がないと思います。
しかも今回のキャンペーンに外れてしまった人や、興味を持った人は鑑賞エリア以外でライトを持って集まっていました。オリエンタルランドはこういったゲストも想定してキャンペーンを企画したのかもしれません。
一部では「ドリームライトが思うように売れていないのでは?」「年度末までの販売目標があるのでは?」「ドリームライトの様子を撮影するためではないのか?」「鑑賞エリアの需要を調べるためでは?」「Twitterの影響力を調べるためでは?」といった様々な意見が出されました。これに関してはあくまでも想像の域を出ません。
ただ私としては、ドリームライトを持っているゲスト向けに鑑賞エリアを準備してもよいのでは?と思っています。あくまでも先着順で閑散期限定になってしまうかもしれませんが、ライトは集まってこそきれいだと思いますし、何よりそれが一番の販促につながると思うからです。
さて今後の展望は?
今回の記事のタイトルは「マジカルドリームライトはパークのエンタメを変えるのか?」その答えはドリームライトの売れ行きにかかっていると思います。変える可能性は十分秘めていますが、ゲストに買ってもらわなければ意味がありません。ドリームライトの良さに気付くゲストが増えることを願ってやみません。
ちなみに、香港ディズニーランドに新しく導入される夜のエンターテイメント「Disney Paint the Night」このエンタメ*3は、ゲストがフロートやダンサーの色や光かり方を自由に操作できる、そんなグッズを販売するのでは?という情報があります。
もしこれが実現すれば、Glow with the Show Earsやマジカルドリームライトよりも、さらにゲスト参加型の色が強くなります。さてどうなるのでしょうか。香港のDisney Paint the Nightは2014年内にも導入される予定です。