10月の三連休に開催された「D23 Expo」前編では、ディズニーからの発表と、東京ディズニーリゾートの将来像や今後の投資計画について考察しました。
後編ではD23 Expoで開催されたイベントについて、舞浜新聞の考察を交えながらまとめていきたいと思います。
©Disney
「Happiness Takes People」は東京の底力
メイン会場となった舞浜アンフィシアターでは、数多くのショーやプレゼンテーションが行われました。中でも舞浜新聞が注目したのは、何といっても「東京ディズニーリゾート30周年スペシャルプログラム“Happiness Takes People”」です。
私は残念ながら見ることはできなかったのですが、新しいアトラクションやショー*1についての発表に加えて、30年分のショー・エンターテイメントプログラムの蓄積をいかんなく発揮したステージだったそうです。まさにオリエンタルランドの本気を見せつけられた感じでした。
その一方で、一抹の寂しさも感じました。オリエンタルランドはゲストのニーズ、つまりどういったショーやエンターテイメントが求められているのかが分かっているということです。なのにそれをやらない。やろうとしない。やりたくても、できないのかもしれません。
舞浜新聞ではこれまでの記事の中で、東京ディズニーリゾートのショー製作費が削減傾向にあることを指摘してきました。豪華なショーは固定費も大きく、天候に左右されやすい。投資額に見合った収益は生まれにくいのかもしれません。
しかし、ディズニーパークがショーを削っていけば、ただの乗り物がある遊園地になってしまうのではないでしょうか。
大きな反響をいただいている、過去10年間のショー製作費を表しているグラフ。近年のパークでいかに削減が続いているかが分かる。
豪華なパレードやショーは、一部のマニアしか喜ばないのかもしれません。しかし今投資を惜しめば、30年後、今回のようなイベントを行ったとき、ゲストの満足が得られるショーを開催できるでしょうか。目先の利益だけにとらわれて、将来の芽を摘むようなことをしているのではないでしょうか。
オリエンタルランドには今一度考えていただきたいと思います。工夫と手抜きは違います。経営努力と手抜きも全く違います。ゲストの期待を上回るものをぜひお願いしたいものです。
ウォルト・ディズニー・アーカイブス展は「地獄絵図」
ホテルミラコスタで開催されたのが「ウォルト・ディズニー・アーカイブス展-未来へつづく、90年の魔法-」ウォルト・ディズニー・アーカイブスが保有する貴重な資料を日本で初めて公開するという、なかなか面白い取り組みです。
ただ、注目が集まったのは展示物よりも「ミュージアムショップ」記念グッズは朝から争奪戦で、まさに「地獄絵図」となりました。これについては、日本らしいと言っていいでしょうね。アメリカから来ているスタッフはどう思ったのでしょうか。
ちなみに、争奪戦となったソーサラーぬいぐるみのMサイズについては、来年3月から松屋銀座を皮切りにスタートするウォルト・ディズニー・アーカイブス巡回展でも販売されることが決まっています。「買えなかった!」という方は、ぜひこちらでご購入ください。
東京ディズニーリゾート30周年展はぜひ常設で!
アンバサダーホテルで開催されたのが「東京ディズニーリゾート30周年展“Happiness Takes People”」これは1983年の東京ディズニーランド開園から、現在までの30年を振り返るというものです。
これは鳥肌が立ちました。過去の新聞広告や駅の広告・ポスターなどをはじめとして、グッズやパークの模型(1/400スケールは圧巻!)など貴重な品々が多数展示されていました。ビックリしたのがダッフィーの壁面広告。2012年3月に渋谷駅に展示されたものの一部が会場内に展示されており、実際に触ることもできました。
本物のぬいぐるみの生地が使われている広告。会場では上の写真と同じダッフィーの顔のみ展示されていたが、触ることもできた。©Disney
これまでのグッズやレストランメニュー、ポップコーンバケットの展示には「懐かしい!」の一言。ぜひオリエンタルランドには、常設でこのような展示を行うミュージアムやアーカイブのような施設を作っていただきたいと思います。できれば過去のガイドマップやTodayなども見られたらいいのですが…。
私としては、会場の入り口で東京ディズニーランド誘致に多大な貢献をした川崎千春・高橋政知両氏の名前が書かれていたことが非常に感動的でした。今でこそ日本にディズニーランドがあるのは当たり前のようになっていますが、実際に誘致するまでには途方もない時間と労力がかかっています。
そんなディズニーランド誘致に尽力した2人のお名前がきちんと展示されているのは、ちょっと安心しました。会場内には高橋氏の名前が刻まれている「タウンセンター・ファッション」2階のショーウインドウも展示されていました。
会場の出口近くには「Happiness Takes People」と題した映像と東京ディズニーリゾートのダイジェストムービーが流されていました。またこれが感動的で、私も思わず泣きそうになりました。
中身としては、開園当時まだ小さかった一人の女の子が、時代とともにパークと成長していくというストーリー。両親と一緒に、友人と一緒に訪れていたのが、やがて恋人と、我が子と一緒に訪れる…。
なかでも歴代のキャストさんの衣装がきちんと再現されており、それだけでも鳥肌が立ってしまいました。BGMが「Remember the Magic」というのも心憎い演出です。
30年という大きな時代の流れと、パークは人、つまりキャストが支えているというメッセージなのでしょう。これが最後になっているということは、オリエンタルランドとしてもキャストの重要性をきちんと分かっているということなのかもしれません。
今後も定期的な開催を!
今回、米国以外では初めての開催となった「D23 Expo」本場アメリカでは2年に一度、カリフォルニアで開催されています。今年も8月に開催されました。
メイン会場となったカリフォルニア・アナハイムのコンベンション・センター ©Disney
実は2013年はウォルト・ディズニー・カンパニー90周年、ディズニー・チャンネル10周年、ディズニー・モバイル5周年、ディズニー★JCBカード5周年、Dlife1周年、そして東京ディズニーリゾート30周年というアニバーサリーが重なる年だったのです。そのため、今回は日本でもD23 Expoが開催されることとなりました。
多くの人出があり、相乗効果でパークも大いに賑わった今回のD23 Expo。今後もディズニーファン向けのイベントとして、定期的な開催をぜひお願いしたいものです。
*1:2014年5月スタートの「ワンス・アポン・ア・タイム」のロゴマークやマーメイドラグーンシアター、ジャングルクルーズのリニューアルの詳細などが発表されました。