この記事はディズニー関連ブログ Advent Calendar 2020 - Adventarに参加しています。
2020年10月1日、東京ディズニーリゾートは、これまで無料で配布してきた買い物袋(お土産袋/ショッパー)を有料化しました。
いつも何気なく見ているパークの買い物袋。今回は、1983年の東京ディズニーランド開園から現在に至るまでの歴史、さらには海外にあるディズニーパークの買い物袋について、少し考えていきたいと思います。
開園当時は「紙製」だった
1983年4月の東京ディズニーランド開園当時、買い物袋は紙製でした。たくさんお土産を買う場合は、現在も販売されている有料の「ショッピングバッグ」に入れて持ち運んでいたのです。
開園当時に販売された有料ショッピングバッグ(左)と紙袋(右)
その後、アニバーサリーイベントやクリスマスに合わせて、様々なデザインの袋が登場。2000年には東京ディズニーリゾートの誕生に合わせて、デザインも一新されました。
今では当たり前になった、プラスチック製の袋が登場したのは、2001年9月の東京ディズニーシー開園からです。持ち手付きの買い物袋の登場によって、有料のショッピングバッグを買う必要がなくなり、以前よりも利便性が向上しました。
買い物袋は「動く広告」としても
2001年9月から提供が始まった、プラスチック製の手提げ袋。当初は東京ディズニーシー単独のデザインで、アニバーサリーイベントなどのデザインはありませんでした。その後、東京ディズニーランドでも導入され、通年デザインに加えて、イベント限定デザインの袋の提供も始まりました。
実はプラスチック製の袋の導入によって、ある変化が起きたのです。
それまでの紙袋は、帰りの電車で持ち運んだり、家に帰ってきた後に日常生活の中で使ったりすることは、あまりありませんでした。しかし、プラスチック製の導入によって、買い物袋を見かける機会が多くなった結果、「ディズニーの袋かわいいね」「もうイベントやってるんだ」というように、袋が「動く広告」としての役割を果たすようになっていったのです。
もちろん、地方の人にとっては、ディズニーの買い物袋は「行ってきた」というステータスにもなります。昔はデパートの包装紙が一種のブランドになっていたように、繰り返し使えるディズニーの袋が重宝されていった可能性はあるでしょう。
イベントデザインは「廃止」に
長年、東京ディズニーリゾートの動く広告として活躍してきた、プラスチック製の買い物袋。しかし、急速に進んだ「プラ製品の削減」の動きを受けて、オリエンタルランドも対応を迫られることとなります。
2019年3月26日から、これまで5種類だった買い物袋が、以下の3種類に統合されました。
- Lサイズ(高さ)約57.5cm(幅)約53cm(マチ)約18cm
- Mサイズ(高さ)約45cm(幅)約41cm(マチ)約12.5cm
- Sサイズ(高さ)約30.5cm(幅)約23cm
また、イベントごとに変わっていたデザインは、イベントがない時期に提供される「通年デザイン」に一本化されることとなりました。さらに、ダッフィーフレンズのショップで提供されていた買い物袋は、当初はサイズ統合のみでしたが、その後デザインは廃止となり、通年デザインに一本化されています。
一部のショップ限定で配布された買い物袋。最終的には通年デザインに一本化された。
このサイズ統合と通年デザインへの一本化に合わせて、有料の小分け袋の販売が開始されました。手提げが付いたショッピングバッグや、ラッピングバッグの販売は行われてきましたが、小分け袋の販売を行うのは今回が初めてとなります。
2019年3月から販売が始まった、有料の小分け袋
有料の小分け袋は、1セット5枚入りで300円。サイズは(高さ)約23cm(幅)約15cm(マチ)約3cmとなっています。片面は透明で中が見えるようになっており、袋の口には両面テープが付いているので、プレゼント用にも使うことができます。
オリエンタルランドとしても、プラスチックの使用量削減に加えて、膨大なコスト削減も考えていたのでしょう。イベントデザインの買い物袋は、イベントが終わればただの「ごみ」に変わります。通年デザインであれば、在庫でも繰り返し使用できるため、そのぶん経費を浮かせることができるからです。
この発表当時、ファンからは「通年デザインも一新されるのでは?」という声がありました。当時使われていたデザインは、2006年頃に導入されたものでしたので、かなりの時間が経っていたからです。
2006年頃まで使われた通年デザイン
ただ、このときは大きなデザイン変更はなく、公式アプリのQRコードが追加されたり、スタージェットやストームライダーといった、クローズしたアトラクションが削除されたりするなど、マイナーチェンジに留まりました。
左側が旧デザイン、右側が新デザイン。よく見比べないと違いは分からない。
休園明けからエコバッグの販売も開始に
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、東京ディズニーリゾートは2月から6月まで、臨時休園を余儀なくされました。両パークは7月1日から営業を再開しましたが、このとき容器包装リサイクル法の省令改正に伴って、全国の小売店などで一斉に「レジ袋有料化」がスタートしました。
あくまでも推測ですが、東京ディズニーリゾートもこのタイミングに合わせて、買い物袋の有料化を検討していたと思います。営業再開前の6月には、すでに「将来的な有料化」について発表がされていたからです。しかし、結果的にコロナ禍の休園明けと重なってしまったため、この時点での有料化は見送られました*1。
東京ディズニーリゾートの買い物袋は、バイオマス素材を40%配合しており、有料化の対象外となっていました。ただ、関係法令に合わせて、無料配布に関する説明書きがゲストに渡されました。
2020年7月~9月までゲストに配布された説明書き
一方で、買い物袋の有料化に向けて、動きもありました。それはワンコイン500円で買える、新しいショッピングバッグの発売です。
これまでのショッピングバッグはサイズも大きく、値段も少し高めでした。新しく発売されたものは、普段使いもできるエコバッグタイプで、値段も手ごろであったことから、一時販売中止になるほどの人気に。今でも買い求める人は多いですね。
ついに「有料化」へ
7月から買い物袋の無料配布は続いていましたが、ついに10月1日から「有料化」が実施されることとなりました。この有料化に合わせて、これまでの3種類から以下の2種類に絞られています。
- Lサイズ(高さ)57cm(幅)53cm(マチ)9cm
- Mサイズ(高さ)46cm(幅)29cm
どちらも1枚20円。1枚からの購入が可能で、枚数制限などはありません。また有料化に合わせて、デザインも一新されました。片方は東京ディズニーランドをイメージした背景とミッキー、反対側は東京ディズニーシーをイメージした背景とミニーが描かれています。
2020年10月1日から導入された、新しいデザインの買い物袋
なお、有料化に伴って、これまで無料配布されてきた旧デザインの買い物袋は、東京ディズニーリゾートの公式アプリ通販で販売されています。こちらは複数枚をセットで購入する形です。
法令上は、東京ディズニーリゾートでは買い物袋の有料化をする必要はありません。ただ、最近の脱プラスチックの流れや、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも有料化されたこと、コロナ禍でのさらなるコスト削減など、様々な要因が重なって「有料化」を決断したのでしょう。
ゲスト目線だと、買い物袋を有料で買うことに抵抗を感じたり、マイバッグを持参する手間は増えたりします。ただ、地球環境の保護を考えると、当然の流れかもしれません。
海外のディズニーパークはどうなってるの?
アメリカ(カリフォルニア・フロリダ)
プラスチック製の手提げ袋の無料配布は、続けられています。ただ、ディズニー社はストローなどの、使い捨てプラスチックの使用を中止。プラスチック製の袋も段階的に削減する方針ですので、今後東京のように無料配布はなくなるでしょう。
パーク内やショッピングエリアなどの公式ショップでは、再利用可能なショッピングバッグが販売されています。S・M・Lの3種類があり、値段も手ごろ。お土産としてもピッタリですね。
パリ
これまでプラスチック製の手提げ袋を無料配布していましたが、2019年4月23日から全面的に廃止されました。ゲストはマイバッグを持参するか、有料のショッピングバッグ(S・M・L)を購入する必要があります。こちらはアメリカで販売されているものと、同じ素材になっています。
香港
香港では2015年4月1日から、一般の小売店などでもプラスチック製のレジ袋が有料化されました。これに合わせて、パークでも買い物袋は有料となっています。当初は1枚50セント(約7円)でしたが、今は1ドル(約14円)に値上げされています。
2015年11月から始まった10周年イベント。この年から買い物袋が有料に。
なお、香港でも、アメリカやパリと同じ素材のショッピングバッグが販売されています。
上海
中国本土では、2008年6月からレジ袋規制条例「ポリエチレン製のレジ袋の生産・販売・使用の制限に関する通知」(通称「限塑令」)が施行されていて、小売店でのレジ袋の無料配布は、原則禁止されています*2。
上海では2016年6月の開園当初から、プラスチック製の買い物袋(3種類)は、有料で販売しています。サイズによって値段は異なりますが、紙袋は無料で提供されています。
身近な場所から、地球環境保護へ
7月1日にレジ袋有料化が始まった当初は「面倒くさい」「万引きが増えるのでは?」といった否定的な声もありましたが、5か月が経った今、コンビニでもマイバッグを使うのが日常になりました。
紙製ストローが一気に普及したように、身近なレジ袋からもプラスチックの削減が進んでいくでしょう。東京ディズニーリゾートを訪れたときは、そんな身近な場所から始める環境保護について、少し考えてみてはいかがでしょうか。