舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



ワインセットにファン激怒!? TDSスプリングフードフェア騒動について考える

2019年5月24日~26日まで、東京ディズニーシーで「スプリングフードフェア」というイベントが行われました。イベントの内容は、パーク内にある6か所のレストランで、3日間限定のワイン・テイスティング・セットが販売される、というもの。東京ディズニーランドとは違って、アルコールが飲めるシーらしい取り組みでした。

 

f:id:Genppy:20190526221130j:plain


しかし、このワインセットに対して、多くのゲストが怒りの声を上げました。どうしてそんな騒動になってしまったのでしょうか。今回はスプリングフードフェアに関する動きから、東京ディズニーリゾートが抱える問題点について、少し考えていきたいと思います。

 

f:id:Genppy:20190331142721j:plain

 

「バケパ限定」として発表されたイベント

「スプリングフードフェア」の開催が発表されたのは、2019年3月のこと。東京ディズニーシーでは、かつて食に関するイベントを行っていたものの、近年はほとんど実施されていませんでした。久しぶりに大人向けの「食」がテーマになったイベントということで、SNSでは大きな話題になったのです。

 

しかし、このとき公開されたウェブサイトを見ると「バケーションパッケージのゲスト限定」と受け取れる内容でした。バケーションパッケージとは、東京ディズニーリゾートが販売している宿泊プランのことです。

 

ウェブサイトには「東京ディズニーシーの6つのレストラン施設で、世界各国のワインと店舗おすすめの一品料理を楽しむことができる、特別なバケーションパッケージのプランです」と書かれており、明らかにバケパ限定の内容として書かれていました。レストランメニューに関する情報もなく、普通に考えれば、スプリングフードフェアに参加するためには、ホテル宿泊などが必要になる、と読み取れました。

 

これに対して「バケパじゃなかったら参加したかった」「年間パスポート持ちだから、ちょっと参加できない」という反応も見られました。ただ「予約しました」「当日が楽しみ」という肯定的な声もありましたので、バケパ優遇に対する批判的な声は少なかったと思います。

 

事態が一変したのが、イベント開催の数日前のことでした。

 

開催直前になって、一般ゲストへの販売を発表

スプリングフードフェア開催の数日前になって、当初は「バケパ限定」とされてきたワイン・テイスティング・セットが、一般向けにも販売されることが発表されたのです。

 

f:id:Genppy:20190526221036j:plain

東京ディズニーリゾートの公式サイト。ひっそりと「ワイン・テイスティング・セット」が掲載されている。

 

この発表に対して、SNSでは不満の声が一気に爆発しました。

 

「バケパ限定のはずなのに、どうして一般販売するの?」「わざわざ高いお金を払って予約したのに、一般の人も買えるなら意味がない」「専用の待ち列やテーブルなども用意されていないみたいだし、バケパのメリットってあるの?」など、予約サイトではバケパ向けイベントとされていたにも関わらず、予約していないゲストも買えてしまうことに、多くの方が怒りを覚えたのです。

 

f:id:Genppy:20190526221201j:plain

「特別なワイン」という文言も強調され、いかにもバケパ限定という感じがしていたのだが…。

 

この一般販売については、以下の理由が考えられます。

 

  1. 予約が目標数を下回ったため、準備したワインが余りそうになったため。
  2. 「一般客にも販売してほしい」という要望があったため。
  3. SNS向けの話題作りのため。

 

1つ目が一番可能性としては高いと思います。今回のバケパは3日間限定、しかも10連休だったゴールデンウィーク明けという、入園者数が少ない時期に設定されていました。内容もワインのテイスティングとフードメニューという、いかにもコアなファン向けのもの。オリエンタルランドが考えていた数よりも、予約数が下回ったのではないでしょうか。

 

せっかく準備したワインを余らせるのはもったいない。もちろん、ワインメーカーの顔も立てたい。それなら一般のゲスト向けに販売してしまおう。今のパーク運営を眺めていると、そう考えるのが一番自然だと思います。アルコール以外にも、フードメニューを注文してくれれば、必然的に客単価は上がりますからね。

 

2つ目は3月のプラン発表時から言われてきたことです。先ほども書いた通り、シー開園から5周年頃までは、大人向けの「食」をテーマにしたイベントが行われていました。バケパに絞ったのは、どれぐらい販売できるか見通せなかったからかもしれません。多くのゲストから「一般向けにも販売してほしい」という声が上がったからこそ、今回の対応になった可能性はあります。

 

3つ目はパークの広報宣伝とは、切っては切り離せないSNSとの関係です。「ディズニーシーでワイン飲んだよ!」「昼間からワイン美味しい!」これって、SNS映えしませんか?これを見て、パークでアルコールを飲むという、新しい楽しみ方を知るゲストが増えるかもしれません。もしこれが拡散していけば、既存のアルコールメニューの販売も伸びるかもしれない。そう考えた可能性はあります。

 

f:id:Genppy:20180702120702j:plain

 

今回の対応はあまりにも…

バケーションパッケージ専用のプランとして、発表された「スプリングフードフェア」。イベント当日は、バケパのゲストにだけワインリストが配られ*1、専用の待ち列や飲食エリアが提供されることとなりました。しかし、あまりにも後味の悪いイベントになってしまったのは事実でしょう。

 

オリエンタルランドにもクレームが殺到したのか、今回のプランは直前でもキャンセル料不要で、全額返金の対応がとられたそうです。しかし、それなら最初から「バケパ限定」とも受け取れる内容にしなければ、こんな騒動にはならなかったはずです。

 

SNSで話題になったからなのか、テイスティングセットを販売するレストランには、一部で長蛇の列ができました。18時までの販売予定だったのが、早めに売り切れになったところもありました。オリエンタルランドとしては「予約数が計算しやすいバケパだけ」「ホテル宿泊と抱き合わせにすれば客単価も上がる」と考えたのかもしれませんが、年に1~2回訪れるような、ライト層のゲストにも絶対にウケると思うのです。

 

アメリカ・フロリダにあるエプコットでは、「フラワー&ガーデンフェスティバル」や「フード&ワインフェスティバル」のように、食を前面に打ち出したイベントが行われています。東京でも、アルコールと期間限定メニューを組み合わせたイベントに対するニーズはあると思うのです。

 

f:id:Genppy:20141207153427j:plain

 

最近のキャスト不足やレストランの混雑、9月~10月のハロウィーンイベントの混雑を考えると、「秋の夜長にみんなでワインを楽しむ」といった優雅なイベントは難しいかもしれません。それでも、オリエンタルランドには、パークの楽しみ方が広がるイベントの開催を期待したいのです。

 

近年は春のイースターに始まり、秋のハロウィーン、そして冬のクリスマスという歳時記イベントに、一種のマンネリ感も出てしまっています。季節イベントの流れに変化が来るのか。オリエンタルランドの今後の動きを注視していきたいと思います。

 

あわせて読みたい

*1:一般のゲストでも、レストランのキャストが持っているワインリストを見たり、撮影したりすることができました。