東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは毎年、12月31日から1月1日にかけて、年越し特別営業「ニューイヤーズ・イヴ」を開催しています。
年越し特別営業のチケットは、事前抽選に当たったゲストと、31日から1日にかけて、パーク周辺にあるディズニーホテル、オフィシャルホテルの宿泊予約があるゲストしか、購入することができません。
事前抽選は倍率が高く、ネットオークションでも高値で取引されてしまうほどです。2018年の特別営業チケットは、本日9月11日から、事前抽選の受け付けが始まりました。
実は2018年の年越しは、これまでの年越しとは少し仕組みが変わっています。今回はそんな制度変更から、オリエンタルランドのねらいを考えていくことにしましょう。
郵便はがきによる受け付けは廃止に
これまで、年越し特別営業のチケット事前抽選は、東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトに加えて、郵便はがきでも受け付けていました。しかし、今回からウェブのみの受け付けとなっています。
これはおそらく、パソコンやスマートフォンが普及し、ウェブ環境がない家庭が減少したことが大きな理由でしょう。また、郵便はがきに書かれた情報を、コンピューターに入力する事務的な手間も大きかったと思われます。
また気になるのが、支払方法が「クレジットカード(一括払い)のみ」になっていることです。これまでは郵便はがきで当選すると、振込用紙が送られてきて、それを使って支払っていました。しかし、オリエンタルランドからすると、入金確認や口座管理に手間がかかっていたと思われます。
今回からクレジットカード払いになることで、当選したゲストに、より迅速にチケット料金を決裁してもらうことができるでしょう。
ランドとシー 閉園時刻がずれることに
これまで12月31日は、午前8時に開園→午後6時に閉園という流れでした。これは、午後8時からの特別営業に向けて、一度ゲストを退園させ、準備を行うためです。
2018年はランドは午後5時で閉園、シーは午後6時で閉園に変わっています。これはおそらく、ランドのエントランス工事の影響で、ゲートの数が減っているためでしょう。工事前と比べて、半分以下しかゲートがありませんので、ゲストの退園がずれ込むのを防ぐ狙いがあるのだと思います。
エントランス工事は、2019年春に一部オープン、2020年春に全面オープンの予定です。2018年の年越しの状況によっては、2019年もシーより閉園を1時間早める可能性はあるかもしれません。また、ゲストの入園に時間がかかるようであれば、年越し特別営業の入園開始時刻を、ランドだけ繰り上げることも考えられます。
チケット価格は据え置きで、元日夜まで滞在可能に!
これまでの年越し特別営業は、12月31日午後8時から1月1日午前7時まででした。午前7時で一度閉園となり、1日午前9時からの通常営業では、また別にチケットを買う必要がありました。
2017年までの営業時間。年越し特別営業は午前7時までで、一度パークから出なければいけなかった。
しかし2018年は、特別チケットを持っているゲストは、1月1日午後10時までパークに滞在できるように変わります。
1月1日の通常営業は、閉園をはさまずに、午前2時から始まります。通常のワンデーパスポートや、年間パスポートでも入園することができます。午前4時からは、年越し専用チケットを持っていれば、ランド・シーどちらも行き来することができます。
この制度変更は、おそらく一度閉園してゲストを出すよりも、そのまま営業を続けるほうが手間が減ると考えたからかもしれません。また、これまでは1日午前9時から行っていた通常営業を、午前2時からにすることで、ディズニーホテルやオフィシャルホテル以外のホテル宿泊者や、首都圏に住むゲストが入園しやすくして、売り上げや客単価を向上させたい、と考えている可能性はあるでしょう。
2010年まで行われていた、ランド「カウントダウン・パーティー」とシー「ニューイヤーズ・イヴ・セレブレーション」では、閉園をはさまずに、1月1日午前2時から通常営業を行っていました。2018年はそれを復活させるのでしょう。
昔のようなカウントダウンは、もうできない?
2010年まではランドとシーで、特別営業だけのショーやパレードを行っていました。しかし、2011年の東日本大震災以降、ゲストの安全が確保できないという理由から、レギュラーショーや花火のみのプログラムとなっています。
2010年のシー「ニューイヤーズ・イヴ・セレブレーション」のトゥデイから。年越しだけの特別プログラムが行われていた。
オリエンタルランドとしては、開発費や人件費などのコストが大きい特別プログラムをやるよりも、できるだけアトラクションやグリーティング施設にゲストが流れてくれれば、売り上げを伸ばすことができます。
2010年まではチケット価格もかなり高く、ゲストにとっては少し手を出しにくい金額になっていました。特別プログラムをカットすることで、パークの収容可能人数が増え、値下げを行って、より多くのゲストに販売できるようになったと思います。
震災前までは、一人15,000円という高額チケットだった。パレードルートやハーバーは人で埋め尽くされ、さながら難民キャンプのように…。
ただ、年越しそばや雑煮といった、年末年始ならではのレストランメニューも、年々縮小傾向にあります。わざわざパークの中で年を越す魅力が、薄れてきているのは事実かもしれません。
かつては年越し限定グッズも販売されていた。たった数時間のためのグッズに、開発コストや在庫リスクを抱えたくないのだろう。
果たして、今回の制度変更が吉と出るか、それとも凶と出るか。2019年以降の仕組みも注意して見ていきたいですね。