舞浜新聞

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独自分析!10年後の東京ディズニーリゾートを考える

11月28日、オリエンタルランドは、東京ディズニーランドの入園口「メインエントランス」のリニューアルと、東京ディズニーランド・パーキングに、新しく立体駐車場を建設することを発表しました。

 

東京ディズニーランド®
メインエントランスのリニューアルおよび立体駐車場の新設について(PDFファイル)

http://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/20171128_01/main/0/link/20171128_01.pdf

 

また、翌29日~30日にかけて、大手メディアが一斉に、東京ディズニーリゾートの拡張計画について報じました。しかし、この報道について、オリエンタルランドは「当社として発表したものではない」と、肯定も否定もしていません。

 

今回は公式に発表されている開発計画に加えて、大手メディアの報道内容から、東京ディズニーリゾートの10年後の姿について、分析してみようと思います。

 

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©Disney

 

入園口には自動券売機も導入へ

東京ディズニーランドのメインエントランスでは、来年(2018年)4月からリニューアル工事が行われます。工事内容は以下の通りです。

 

  • 48か所あるゲートを、6つ増設して54か所に増設
  • 棒を回転させるターンスタイルから「フラッパーゲート」に変更
  • 年間パスポートの本人確認に、顔認証システムを導入
  • チケット販売窓口を、32か所から18か所に縮小
  • 18か所のうち、自動券売機は12台/対面窓口は6か所に

 

朝の開園時間帯は、どうしてもゲストが集中してしまい、入園に時間がかかっていました。ゲートの増設によって、処理能力が上がり、多くのゲストがスムーズに入園できるようになるでしょう。

 

また、今回のリニューアルでは、棒を回転させる「ターンスタイル」から「フラッパーゲート」に変更されることも決まりました。フラッパーゲートとは、駅の自動改札などで使われているタイプのゲートを指します。

 

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フラッパーゲート(フラッパーゲート|高千穂交易株式会社より引用)

 

車いすやベビーカーのゲストが入園する場合、チケットを通してから、棒を人数分回して、中央にある扉をわざわざ開ける必要がありました。フラッパーゲートの導入によって、そういった時間のロスが少なくなりますので、入園時間の短縮につながると思われます。

 

年間パスポートの本人確認は、これまで顔写真をキャストが目視で確認していました。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、すでに顔認証技術が導入されており、迅速な入園処理を行っています。舞浜にも顔認証システムが導入されることで、より迅速な入園に加えて、将来的には、キャストがいなくても入園できるような仕組みを目指しているかもしれません。

 

 

アメリカ・カリフォルニアのディズニーランド・リゾートでは、2日間以上有効のマルチデーパスを使う場合、初日に顔写真を登録されます。2回目以降の入園では、登録した顔写真と同じかどうか、チェックされる仕組みになっています。

 

もしかすると、東京でも、不正使用防止のために、マルチデーパスのゲスト全員が顔データを登録して、入園の際に照合する仕組みに変わる可能性もあります。ただ、これについては、逆に時間がかかることも予想されますので、推測の域を出ません。

 

今回のリニューアルでは、チケット販売窓口が、32か所から18か所に縮小されることも発表されました。最近ではキャストの人員不足や経費削減のため、すべての窓口を開けることはほぼありません。オリエンタルランドとしても、当日券を購入するのではなく、コンビニチケットやディズニーeチケットなどの、前売り券を買って欲しい狙いがあるのかもしれません。

 

 

あくまでも推測の域を出ませんが、将来的にはスマートフォンなどを活用した、電子チケットの導入も視野に入れている可能性はあります。事前にウェブで決済、後はスマホをかざすだけで入園できる仕組みを整えれば、今よりもさらに人員削減につながります。

 

また、販売窓口18か所のうち、有人窓口は6か所のみ、それ以外の12か所は自動券売機が導入されます。日本語に加えて、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語・インドネシア語の6か国語対応となり、急増する外国人ゲストもスムーズにチケットを買えるようになるでしょう。

 

今回のメインエントランスのリニューアルは、約120億円が投資される予定です。ランドの35周年イベント終了後の、2019年春から一部オープン、全面オープンは2020年春を予定しています。2020年の東京五輪・パラに向けて、より多くのゲストを処理できる仕組み、外国人ゲストに対応する仕組みを整えたいという思いを感じます。

 

なお、メインエントランスの改修工事に伴って、パークの入園方法と、ディズニーホテル宿泊者向けに行われている「ハッピー15エントリー(15分前入園)」の運用が変更される予定です。

 

 

混雑状況によっては、一般ゲストも開園時間前に入園を開始して、ワールドバザールやシンデレラ城前のプラザで待機できるようになる予定です。パーク開園までは、アトラクションやレストランは利用できません。ショップについては「未定」となっていますので、売り上げ向上を目指して、ショップだけオープンする可能性はあるでしょう。

 

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東京ディズニーリゾート公式ウェブサイトより引用)

 

ディズニーホテル宿泊者は、2か所の専用入園口から、対象アトラクションに行けるようになる予定です。また、現在はメインエントランス中央にある、ディズニーホテル宿泊者専用の入園ゲートも、工事期間中は仮設の専用ゲートになる予定です。

 

ハッピー15エントリーは、実際に工事が始まってから、運用が変更される場合もあります。また、キャラクター・グリーティングについても、現時点では何も発表されていません。今後の最新情報に注意していく必要があるでしょう。

 

立体駐車場を新設へ

メインエントランスのリニューアルに加えて、東京ディズニーランド・パーキングに新しく立体駐車場が建設されることも発表されました。地上3階建て、工事は2017年度中から始まり、2019年度に運用を開始する予定です。

 

東京ディズニーランド・パーキングでは、すでに旧ミッキー区画(ランドホテル横)に、地上4階建て・約1,800台収容の立体駐車場が建設されています。今回3階建てにしたのは、今後のパーク拡張を見越して、園内から立体駐車場が見えないようにするためでしょう。

 

オリエンタルランドからは、どこに立体駐車場を建設するのか、詳細な場所は発表されていません。舞浜新聞では、現在のドナルド区画とグーフィー区画の一部に建設されるのではないか、と見ています。

 

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パークに近いティンカーベル区画には、身体障がい者用の駐車スペースや、送迎用スペースがあるため、活用は難しいでしょう。また、トゥモローランド裏手には、大型バス用の駐車場や、バスターミナル・アネックスがあるため、こちらも今すぐの建設は難しいと思われます。

 

駐車場のゲートや既存の立体駐車場、リゾートラインのルートなどを考慮すると、現在のドナルド区画とグーフィー区画の一部が、建設候補地として可能性が高いのです。

 

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今年7月1日から新しくスポンサー契約を結んだダイハツ工業。「パーキング」への協賛は史上初。駐車場の立体化に貢献してくれればいいのだが…。

 

突然の報道…。真実はどこに?

さて、11月29日~30日にかけて、大手メディアは、東京ディズニーリゾートの拡張計画について一斉に報じました。しかし、この報道に対して、オリエンタルランドは「当社として発表したものではない」というプレスリリースを出して、肯定も否定もしていません。

 

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(オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

 

おそらく今回の報道は、オリエンタルランドが意図的に情報をリークした可能性が高いでしょう。

 

オリエンタルランドのような上場企業の場合、企業の業績に関する情報は、即座に投資家や市場に公表しなければいけません。これを「適時開示」といいます。

 

しかし、計画がまだ正式に決まっていないときや、株価を引き上げたいときなどに、意図的にメディアに情報を流し、スクープのように報道してもらうのです。メディアとしては特ダネをつかめますし、企業側としてもより大きな宣伝効果を生みます。

 

スクープの裏側 読者が絶対に知らないリーク依存症という重病 | ダイヤモンド・オンライン

 

今回、大手メディアは、パークの拡張計画について、以下のように報道しています。

 

  • 日本経済新聞*1
    3000億円超を投じて、2023年をメドに新施設を開業。総面積を約3割拡張。独自のアトラクションやエリアを導入。映画『アナと雪の女王』関連施設も検討。100億円超を投じて、約4000台収容の立体駐車場を新設。駐車場建設で空いた土地を、ランド・シーに均等に配分する可能性も。

 

  • 共同通信*2
    投資額3,000億円。新たなキャラクターや大型アトラクション施設を導入。2025年までの着工を目指す。来年5月までに詳細を詰める。日本的なテーマも検討。

 

  • 朝日新聞*3
    投資額は数千億円。2020年代前半に、現在の敷地を約3割拡張。

 

  • 東京新聞*4
    投資額3,000億円。新たなキャラクターや大型アトラクション施設を導入。2025年までの着工を目指す。来年5月までに詳細を詰める。日本的なテーマも検討。駐車場の立体化で空いた土地や、隣接地の買収で拡張へ。この拡張計画は、2020年度までの中期経営計画には含まれず。

 

  • 読売新聞*5
    3,000億円規模の投資。総面積を約3割拡張。2018年春までに詳細を詰める。パークに隣接する平面駐車場の用地を活用。第3パークを作る案に加えて、ランド・シーそれぞれを拡張する案も。

 

  • 日経MJ*6
    総面積を約3割拡張。ランド・シーに続く、新たな成長ステージに。映画『アナと雪の女王』のアトラクション計画が具体化する可能性も。アナ雪エリアは2019年開業予定だったが、混雑緩和のために先送りに。

 

日経はこれまでも、オリエンタルランドの決算や開発計画について、正式発表前にリーク記事を載せています。今回も、オリエンタルランドから、かなり感度の高い情報を手に入れているのでしょう。

 

大手メディアの報道をまとめると、以下のようになります。

 

  • 投資額は、約3,000億円規模
  • パークの敷地面積は、現在の100ヘクタールから約3割拡張
  • 東京だけの独自アトラクションやエリアを導入
  • 日本的なテーマの導入も検討
  • 来年(2018年)5月までに詳細を詰める

 

引っかかるのが「2023年をメドに新施設を開業」としている日経に対して、ほかのメディアが「2025年までの着工を目指す」としている点です。同じ計画を指しているのか、それとも別の計画を指しているのか、現時点では何とも言えません。ただ、日経だけに独自の情報を流している可能性はあります。

 

また、「ランド・シーに続く、事実上の第3パークと位置付けた投資」としている報道に対して、読売新聞だけが「第3パークを作る案」に言及しています。このあたりは、オリエンタルランドとディズニーで、協議が続いている可能性があるでしょう。

 

オリエンタルランドは当初、東京ディズニーシーのポートディスカバリー西側の用地に、北欧をテーマにしたエリアを導入して、映画『アナと雪の女王』をテーマにした施設を新設する計画でした。しかし、その後、計画は先送りになっています。

 

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オリエンタルランドが発表した「アナ雪エリア」のコンセプトアート。のちに計画は白紙撤回、先送りされている。©Disney

 

すでに香港ディズニーランドでは、アナ雪エリアの導入が決まっています。映画の長編続編は、2019年11月に全米で公開される予定ですので、再び日本でヒットすれば、日経新聞や日経MJが触れているように、東京オリジナルのアナ雪エリアが展開される可能性は高いでしょう。

 

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ディズニー社が発表した、香港ディズニーランドのアナ雪エリアのコンセプトアート。2020年のオープンを予定している。©Disney

 

拡張用地について、日経では地図で具体的な場所を示しています。報道が正しければ、リゾートラインよりも西側に立体駐車場を建設して、東側のトゥモローランド裏手を拡張用地として使う、ということになります。

 

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東京ディズニー3割広く「アナ雪」も 3000億円投資 :日本経済新聞より引用)

 

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日経が報じた拡張用地には、ゲスト用駐車場が広がる。約20ヘクタールの土地が、オリエンタルランドにとって新たな成長の源泉となるか。

 

スター・ウォーズ?それともジブリ?

さて、拡張用地には、どんなものがつくられるのでしょうか。舞浜新聞では、アメリカのパークで導入が進められている、映画『スター・ウォーズ』シリーズをテーマにしたエリアが、最も可能性が高いと睨んでいます。

 

「Star Wars: Galaxy’s Edge」(スター・ウォーズ ギャラクシーズ・エッジ)と呼ばれているテーマエリアは、カリフォルニアのディズニーランドと、フロリダのディズニー・ハリウッド・スタジオで建設が進められています。どちらも2019年にオープンする予定です。

 

 

映画『スター・ウォーズ』シリーズは、日本でも多くのファンに愛されています。東京の場合、映画『美女と野獣』をテーマにしたエリアの導入に伴って、トゥモローランドの敷地がかなり縮小しています。現在の駐車場用地を拡張して、「近未来」「宇宙」というテーマに合う、ギャラクシーズ・エッジを導入する可能性は高いでしょう。

 

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2020年春オープン予定の新エリアのコンセプトアート ©Disney

 

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再開発工事が進む東京ディズニーランド。トゥモローランドの面積は、かなり小さくなっている。

 

ディズニー・ハリウッド・スタジオでは、スター・ウォーズをテーマにしたホテルの建設も進められています。東京にあるディズニーホテルは、いずれもキャラクターが前面に押し出されています。スター・ウォーズがテーマのホテルを導入すれば、既存のホテルと差別化できるだけではなく、さらなる客単価の引き上げが狙えますね。

 

また、上海ディズニーランドに導入されている、映画『トロン:レガシー』をテーマにした、バイク型のコースターを導入する可能性もあるでしょう。フロリダのマジック・キングダムでは、トゥモローランドの拡張計画として、2021年に上海と同じコースターの導入が決まっているからです。

 

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上海ディズニーランド「トロン・ライトサイクル・パワーラン」©Disney

 

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ディズニー社が発表したコンセプトアート。既存のスペース・マウンテン横に新しくつくられる。©Disney

 

シーの場合は、先ほども触れたとおり、映画『アナと雪の女王』をテーマにした施設が導入される可能性が高いでしょう。問題は場所と面積ですね。香港と同規模のエリアになれば、差別化を図るのは難しくなります。外国人ゲストの獲得を目指すためには、より大規模に展開する必要があると思います。

 

あくまでも妄想の域を出ないのですが、「日本的なテーマ」ということで、スタジオジブリ作品をテーマにしたエリアの展開も考えられます。ジブリはディズニー社と日本国内でのビデオ販売と、海外での作品配給に関わる事業提携を結んでいて、良好な関係を保っています。このあたりは、今後の交渉次第と言えるでしょう。

 

それ以外にも、拡張用地に導入が考えられるものは、以下の通りです。

 

  • トイ・ストーリー・ランド(パリ・香港は導入済、フロリダ・上海は建設中)
  • ピクサー映画をテーマにした「ピクサー・ピア」(カリフォルニアで計画中)
  • 映画『アバター』エリア(フロリダで導入済)
  • 海賊がテーマの「トレジャー・コーブ」(上海で導入済)
  • 映画『ズートピア』エリア(フロリダで導入検討?)

 

トイ・ストーリー・ランドの導入は、かなり現実的だと思うのですが、ランド・シーにある既存のアトラクションとのすみ分けが難しいかもしれません。海がテーマのシーに、上海にある「トレジャー・コーブ」の導入も考えられますが、ランドの「カリブの海賊」をどうするのか、という問題がありますね。

 

ほかにも拡張できる土地はあるの?

さて、今回は平面駐車場の活用について考えてみました。東京ディズニーリゾートには、ほかにもパークの拡張に使える土地が残っています。

 

  • ランド アメリカ河周辺
  • シー ソアリン(仮称)建設地周辺
  • シー ポートディスカバリー西側

 

アメリカ河周辺には、オリエンタルランドの本社棟などの運営施設があります。現在、パーク運営に関係しない部署は、新浦安駅前にあるオフィスに移転しています。機能移転・集約を進めれば、アメリカ河周辺も、拡張用地として活用できそうです。ただ、花火の打ち上げ場をどうするかが問題ですね。

 

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シーのソアリン(仮称)建設地周辺も、運営施設の移転・集約で、拡張を進められそうです。また、一度はアナ雪エリアの計画が発表されたものの、白紙撤回になってしまったポートディスカバリー西側の土地も、今後の拡張用地になるでしょう。

 

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東京ディズニーシーのポートディスカバリー西側に広がる拡張用地。長年、施設の建設が噂されているが、未だに手がつけられていない。

 

ほかにも、オリエンタルランドが第一生命から買収した、東京ベイNKホール跡地や、舞浜地区に点在するリゾートパーキングの活用も気になるところです。

 

2018年7月に終演が決まった「プラザパビリオン・バンドスタンド」をどうするのか、35周年イベントに向けた受け入れ態勢など、今後も東京ディズニーリゾートの動きを注視していく必要がありそうですね。

 

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©Disney

 

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参考資料