9月27日、オリエンタルランドは、報道関係者向けに2019年度の東京ディズニーリゾート年間プログラムを発表しました。
それでは、オリエンタルランドから発表されたプレスリリースをもとに、舞浜新聞独自の視点で、東京ディズニーリゾートの将来像を読み解いていきたいと思います。
2018年度のスケジュールは、こちらをどうぞ。
東京ディズニーランド
まずは東京ディズニーランドから見ていきましょう。
2019年
- 4月4日~6月2日 ディズニー・イースター
- ~4月26日 ナイトタイムスペクタキュラー「Celebrate! Tokyo Disneyland」
- 6月6日~7月7日 ディズニー七夕デイズ
- 7月9日~9月1日 ドナルドのホット・ジャングル・サマー
- 9月10日~10月31日 ディズニー・ハロウィーン
- 11月8日~12月25日 ディズニー・クリスマス
- ~12月13日 ワンマンズ・ドリームⅡ-ザ・マジック・リブズ・オン
2020年
- 1月1日~1月5日 お正月のプログラム
- 1月10日~3月19日 スペシャルプログラム(名称未定)
イースターは「うさたま」が復活
すっかり春の定番イベントとなったイースター。2018年度は東京ディズニーランド35周年イベントの開催に伴って、シーのみの開催となりましたが、再びランド・シー両方での開催に戻ります。
プレスリリースには「ウサギの耳がついたヘンテコなタマゴのキャラクター“うさたま”が2年ぶりに登場」という説明もありますので、パレードはおそらく2017年に公演された「うさたま大脱走!」を再演すると思われます。
耳に残るメロディも話題になった「うさたま大脱走!」
うさたま大脱走は、期間限定パレードとしては史上初めて、日本航空が協賛しています。2019年度も引き続き、パレードの最後に、日本航空のロゴフロートが登場するでしょう。
期間限定のオリジナルパレードに、スポンサーがついたのは「うさたま大脱走!」が初めて。今後も同様の動きが広がっていくのか。
4月26日には、35周年イベントの夏の目玉として登場した、ナイトタイムスペクタキュラー「Celebrate! Tokyo Disneyland」が終演します。個人的には、35周年イベント終了後も、夜のショーとして公演が続くと思っていたのですが、わずか10か月あまりでの終了には驚きました。
あくまでも個人的な推測ですが、このあと紹介する夏イベントのキャッスルショーとの関係や、オリエンタルランドが想定していたよりもゲストの反応が良くなかったこと、などが考えられます。サーチライトや噴水など、このショーのために整備された装置もいくつかありますので、今後の有効活用を望みたいですね。
なお、ランドのエントランスでは現在、新型ゲートと自動券売機の導入に向けて、改修工事が進められています。2019年春には駐車場側の新エントランスが稼働開始となり、残っている舞浜駅側の工事が始まると思われます。
開園以来初めてとなる、エントランスの大規模工事。完全オープンは2020年春になる予定だ。
夏は七夕&ドナルド
2019年も2018年に引き続き、七夕イベントが1か月間開催されます。梅雨で落ち込みやすい集客を確保できることに加えて、物販収入が好調なこと、東京独自イベントによる外国人観光客の集客などが念頭にあるのでしょう。
イースターと夏イベントをつなぐ七夕イベント。グリーティングも人気が高い。
夏イベントは、これまでの「和の夏祭り」というテーマを一新して、ドナルドダックを前面に打ち出した「ドナルドのホット・ジャングル・サマー」を開催します。
プレスリリースには、以下のように書かれています。
テーマは、パークに出現したカラフルなジャングル。夜には6年ぶりにシンデレラ城前でステージショーを実施します。ドナルドダックを中心としたディズニーの仲間たちが登場し、大量の水しぶきと熱く燃え上がる炎を使用した、熱気あふれる新たなエンターテイメントをお送りします。
2013年に公演された「爽涼鼓舞」以来、シンデレラ城前のキャッスルフォアコートステージは、一切使われていません。今回、6年ぶりにキャッスルショーが帰ってくることになります。2019年はドナルドダック誕生85周年の節目の年でもあります。ドナルドらしいパワフルなショーを期待したいですね。
ただし、引っかかるのが「夜には」という部分です。今回のプレスリリースでは、昼のショーやパレードについては、一切言及がありません。最近は猛暑が続き、屋外で行われるプログラムは、高気温バージョンで行われることも増えてきました。
猛暑が目立つ中でも行われた「燦水!サマービート」
キャラクターやパフォーマー、ダンサーに加えて、現場のゲストコントロール・キャストの負担を考えると、日中屋外の公演は厳しいのかもしれません。今後の続報を待つことにしましょう。
一説には「シンデレラ城を使った婚礼プログラムを優先するために、キャッスルショーを廃止した」という声もあった。夏にショーを復活させるのは、この時期に婚礼を行わないからだろう。
ハロウィーン/クリスマスは前年踏襲
ハロウィーンのパレードについて、プレスリリースでは「ゴーストたちが披露する“ゴースト流の東京ディズニーランド”をテーマに開催」という表現があります。おそらく2018年から始まった「スプーキー“Boo!”パレード」が2019年も行われると思われます。
通常とは逆の進行、ダンサーの途中合流、衣装チェンジといった新要素も話題になった「スプーキー“Boo!”パレード」
パーク西側で建設が進められている、新しい立体駐車場の工事は、2019年8月末に終わる予定です。おそらく、ハロウィーンイベントの期間中には、供用が開始されると思います。パーク周辺の車の流れや、リゾートパーキングの運用も変わると思われますので、車で舞浜へ行く方は注意が必要です。
建設が進む新立体駐車場。工事は大手ゼネコンの竹中工務店が担当している。
クリスマスのパレードについて、プレスリリースには「ストーリーブックからあふれ出したディズニーの仲間たちのクリスマスの物語」という表現がありますので、おそらく2015年から始まった「ディズニー・クリスマス・ストーリーズ」を引き続き行うと考えられます。
なお、クリスマス・ストーリーズは、2017年から日本航空が協賛しており、すでに2018年の協賛も決定しています。このまま2019年もスポンサー契約は継続される可能性が高いでしょう。
12月13日には、2004年から公演が続いていた「ワンマンズ・ドリームⅡ-ザ・マジック・リブズ・オン」が、いよいよ終演します。私も大好きなショーの一つでしたので、別れが辛いですね。終了直前には、多くのゲストで賑わいそうです。
東京でウォルト・ディズニーを感じられたショー「ワンマンズ・ドリームⅡ-ザ・マジック・リブズ・オン」15年の歴史に幕を下ろす。
2020年の閑散期には何が来る?
お正月プログラムは、例年通りのグリーティングになると思われます。2020年の干支は「子(ねずみ)」12年ぶりにミッキーたちが主役の年になります。グッズ展開などが気になりますね。
外国人観光客からも人気を集める、お正月グリーティング。着物姿のキャラクターに会えるのは、東京ならでは。
さて、2019年度のスケジュールで一番引っかかるのが、お正月明けから春休み前まで予定されている、名称未定のスペシャルイベントです。
プレスリリースには、以下のように書かれています。
東京ディズニーランドでは、新しいプログラムを実施します。ディズニーの仲間たちと一緒に盛り上がるショーベースでの期間限定のエンターテイメント・プログラムの実施や、グッズやメニューを販売します。
唯一分かっているのが、ワンマンズ・ドリームⅡ終了後に空いている、ショーベースを使ってショーを行うということだけです。おそらくミッキーマウスやその仲間たちによる、オリジナルショーになると思われます。
ただ、ショーベースは2020年春にオープンする、新しいエンターテイメントシアターの稼働に伴って、クローズされる可能性が濃厚です。2020年度以降は再演しないと考えると、企業向けの貸切プログラムで行われている「ミッキー&ヒズ・パルス・タイムオフ」をそのまま公演することも考えられるでしょう。
【TDL】パーク・ファン・パーティー 2018/5/19 ②ミッキー&ヒズ・パルス・タイムオフ
エンターテイメントには力を入れず、グッズやレストランメニューなどの物販・飲食に力を入れる。閑散期らしい取り組みになるかもしれません。新ファンタジーランドオープン直前に、何を持ってくるのか。このあたりは、オリエンタルランドの出方を見極めたいと思います。
東京ディズニーシー
次は東京ディズニーシーを見ていきましょう。
2019年
- ~3月31日 アウト・オブ・シャドウランド
- 4月4日~6月2日 ディズニー・イースター
- 6月6日~7月7日 ディズニー七夕デイズ
- 6月6日~8月27日 ダッフィーのスペシャルプログラム
- 夏 新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」
- 夏 ハンガーステージ新ショー「ソング・オブ・ミラージュ」
- 7月9日~9月1日 ディズニー・パイレーツ・サマー
- 9月10日~10月31日 ディズニー・ハロウィーン
- 11月8日~12月25日 ディズニー・クリスマス
2020年
- 1月1日~1月5日 お正月のプログラム
- 1月10日~3月19日 ピクサー・プレイタイム/ダッフィーのスペシャルプログラム
イースターはテーマを一新
シーのイースターイベントは2015年から始まりましたが、その目玉になっていたのが、ハーバーショー「ファッショナブル・イースター」でした。今回のプレスリリースでは「イベントのテーマを一新」という表現がありますので、新しいショーに切り替わると思われます。
4人のデザイナーも人気を集めた「ファッショナブル・イースター」
プレスリリースには「ディズニーの仲間たちと一緒に楽しむ、かわいらしくヘンテコなイースターの世界にゲストを誘います」という表現もありますので、ランドとは違うシーらしいイースターを期待したいですね。
6月からは七夕&ダッフィー
七夕はランドと同様、前年度に引き続いて1か月の公演となります。例年通りのハーバーでのグリーティングになると思われます。プレスリリースで目を引くのが、七夕と一緒にスタートする、ダッフィーのスペシャルプログラムです。
プレスリリースには、以下のように書かれています。
夏の太陽のもと、キラキラと輝くケープコッドの海辺で楽しく過ごすダッフィーたちをイメージしたグッズやメニュー、デコレーションが登場し、新たなダッフィー&フレンズの世界をお楽しみいただけます。
おそらく1月~3月の閑散期に行われている「ダッフィーのハートウォーミング・デイズ」と同様に、期間限定のグッズが数多く投入されるのでしょう。7月からの夏イベントは、2017年から引き続き「ディズニー・パイレーツ・サマー」が開催される予定です。「海賊」が前面に打ち出されていますので、キャラクター好きの若い女性をターゲットにして、夏のダッフィーを新たな集客の目玉にしたいと考えているのでしょうね。
また、2020年はダッフィー誕生から15年という節目を迎えます。2005年には10周年プログラム「ジャーニー・ウィズ・ダッフィー」も行われましたので、2019年から地ならしをしていく意味合いもあるかもしれません。
若い女性から人気を集めるダッフィー。フレンズたちのグッズも売れ行きが好調だ。
時期は未定ですが、夏には待望の新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」がオープンします。また、ハンガーステージでは、ミッキーたちが主役になった新しいショー「ソング・オブ・ミラージュ」がスタートする予定です。
ソアリンは、すでにアナハイム、オーランド、上海に同様のアトラクションがありますが、東京はオリジナル要素が強くなると思われます。今からオープンが楽しみですね。
「ソアリン:ファンタスティック・フライト」コンセプトアート
遊覧飛行の意味合いが強い米国パークと比べて、ファンタジー要素が強い上海のソアリン。東京はプレショーもオリジナルという話だが…。
ソング・オブ・ミラージュについては、プレスリリースに以下のように書かれています。
ミッキーマウスやディズニーの仲間たちが、かつて多くの冒険家たちの間で話題となった幻の都市、黄金に輝く川の都「リオ・ドラード」を目指して時空を超えた大冒険を繰り広げます。
ロストリバーデルタやハンガーステージの世界観に合った、ミッキーたちのショーになりそうです。2019年3月末に終演する「アウト・オブ・シャドウランド」と同様に、開始直後は抽選制が導入されるでしょう。
ハロウィーンはテーマを一新
2015年から始まったハーバーショー「ザ・ヴィランズ・ワールド」は、ディズニーの悪役たち「ヴィランズ」を前面に打ち出し、ディズニーシーらしいハロウィーンを演出してきました。ヴィランズの手下たちによるアトモスフィアも、これまでのパークファンとは異なる層のファンを獲得しています。
今回のプレスリリースでは「テーマを一新」という表現がありますので、おそらくヴィランズに代わる、新しい要素が前面に打ち出されると思われます。シーらしいハロウィーンを期待したいですね。
決算低迷の原因として、やり玉にもあがった「ザ・ヴィランズ・ワールド」結局はヴィランズ人気もあって、4年間行われた。
実は2018年度のスケジュールが発表されたときに、一つ話題になったことがありました。それは、人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」が、ハロウィーンの期間だけスペシャルバージョンになる、というものでした。
しかし、その後プレスリリースからは、説明が削除されてしまったのです。結局、2018年のハロウィーンでは通常版のままでした。あくまでも推測ですが、2019年に期間限定のスペシャルバージョンが行われる可能性はあるでしょう。
クリスマスについては、プレスリリースで以下のように書かれています。
メディテレーニアンハーバーでは、ディズニーの仲間たちやシンガー、ダンサーがクリスマスの音楽と本格的なライブパフォーマンスにあふれたレビューショーを披露するほか、夜には水上のクリスマスツリーが幻想的に光り輝くショーをお楽しみいただけます。
おそらく、昼は「イッツ・クリスマスタイム!」夜は「カラー・オブ・クリスマス」という2018年と同じプログラムになると思われます。イッツ・クリスマスタイム!は一部の鑑賞エリアが抽選になっていますので、今年の運用がどうなるのか注目していきたいですね。
カラー・オブ・クリスマスは、2012年から公演が続いています。クリスマスイベントの夜はエンターテイメント・プログラムに力を入れなくても、例年多くのゲストで賑わっています。ただ、マンネリ感は否めませんので、そろそろ新しいプログラムの導入を望みたいですね。
閑散期は前年踏襲
お正月のプログラムは、例年通りのハーバーグリーティングになると思われます。2020年の干支は「子(ねずみ)」ですので、ランドと同様にミッキーたちが主役になるでしょう。
船の上から行う「お正月グリーティング」
1月~3月は、2018年から始まった「ピクサー・プレイタイム」を2019年に引き続いて行う予定です。また、ダッフィーのスペシャルプログラムも合わせて実施する予定です。おそらく「ダッフィーのハートウォーミング・デイズ」が継続されるのではないでしょうか。エンターテイメント・プログラムの実施はなく、物販・飲食に力が入っていくのでしょう。
全体を振り返ってみて
東京ディズニーランドでは、2020年春のオープンを目指して、ファンタジーランドの拡張工事が進められています。2019年は周年イベント明け、新エリアオープンまでの谷間の年となります。
ハロウィーンとクリスマスは前年と同じプログラムですが、春は人気を集めた「うさたま大脱走!」の再演になると思われます。また夏のドナルドイベントや閑散期イベントにも、集客が落ち込むことへの危機感を感じます。
できるだけ経費を抑え、集客の目玉を用意して、物販・飲食収入を伸ばす。ゲストからのキャッシュフローを、パークの開発工事へと投資していく。まさにオリエンタルランドの経営姿勢が表れた結果だと思います。
一方のシーは、イースターの一新、夏のダッフィー、ソアリン、新ステージショー、ハロウィーンの一新と、ランドと比べると新要素に力が入っています。拡張工事の影響で収容能力が下がっているランドよりも、シーに若い女性や家族連れを誘導したいと考えているのでしょう。
2020年春はランドの新ファンタジーランドがオープン、夏には東京オリンピック・パラリンピックが行われます。また、2022年度中の完成を目指して、シーの新エリアや5つ目のディズニーホテルの建設も進められています。
周年イベント明けで、地方からのゲストは減少すると見込まれます。急増する外国人観光客への対応、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの動きを見据えた、チケット価格の値上げなど、オリエンタルランドが抱える経営課題は数多くあります。2019年度の東京ディズニーリゾートの動きにも、注目していきたいですね。