舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



都市伝説「ディズニーランドの地下には迷路がある」って本当なの?

世の中には東京ディズニーリゾートにまつわる「都市伝説」として、様々な話が伝えられています。その中でも、こんな話を聞いたことはありませんか。

 

東京ディズニーランドの地下には「迷路」がある

 

今回は知られざるディズニーパークの地下の秘密について、ちょっと見ていきたいと思います。

 

地下通路はランド4本・シー1本

東京ディズニーランドの地下には迷路はありませんが、レストランに物資を運んだり、ごみを運び出したりするための通路があります。

 

東京ディズニーランドでは、バックステージ(ゲストからは見えない業務用エリア)に隣接していない施設がいくつかあります。パークでは現実を感じさせてしまうトラックや、ごみ収集車を横付けするわけにはいきませんから、地下通路が必要になるのです。

 

衛星写真を見ると、パークのバックステージで少し坂になっている部分があるのが分かります。これが地下通路への入り口になっています。

 

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衛星写真を見ると、東京ディズニーシーでは、ランドのような地下通路に加えて、高低差を利用して巧みにバックステージにつなげていることがよく分かります。

 

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上の写真は東京ディズニーシーを上空から撮影したものです。中央にあるマーメイドラグーンに向かって、火山横に橋が架けられているのが分かります。この橋は業務用で、ゲストからは見えないようになっているのです。

 

マジックキングダムの地下通路

東京ディズニーランドはアメリカ・フロリダにある、マジックキングダムをモデルにしてつくられました。実はマジックキングダムの地下には、広大なバックステージと通路が広がっているのです。

 

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米フロリダ・オーランドにあるマジックキングダム 

 

パークが建設されたオーランドは、もともと湿地帯が広がっており、大規模な地盤改良工事が必要でした。そのためディズニー社は、近くの土地を掘って、そこで出た土を盛ることで、安定した土地を確保したのです。パーク周辺には、大きな湖がたくさんあるのですが、これは土を掘った後にできた人造湖なのです。

 

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マジックキングダムの前に広がる「セブンシーズ・ラグーン」かなり広大に見えるここも人造湖。

 

地盤改良工事を行って建設されたマジックキングダム。ゲストのための施設だけではなく、地下施設も合わせてつくることができました。これが現在、物資の搬入やキャスト、キャラクターの移動、そして管理施設として使われています。

 

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マジックキングダムの地下通路

 

東京でもマジックキングダムのように、地下施設をつくる計画はありました。しかし、埋め立て地のため、地盤沈下や液状化の可能性があること、莫大な工事費用がかかること、などから断念せざるを得ませんでした。

 

もし東京もマジックキングダムのように地下施設が整備されていれば、シンデレラ城にレストランがつくられていた、という話もあります。

 

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マジックキングダムにある「シンデレラ・ロイヤルテーブル」シンデレラ城の中で食事が楽しめるレストランとして、多くのゲストから人気を集めている。

 

ディズニー・ユーティリドー・システム

では、もう少しマジックキングダムの地下通路について見ていくことにしましょう。

 

カリフォルニアのディズニーランドでは建設当時、地下に移動用の通路や管理施設はありませんでした。しかしあるとき、ウォルト・ディズニーは、カウボーイの姿をしたキャストがトゥモローランドの中を歩いている姿を見て「これでは世界観が壊れてしまう」と危機感を覚えたのです。

 

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米カリフォルニア・アナハイムにあるディズニーランド

 

そこでウォルトはマジックキングダムの設計時に、違う世界観のキャストが交じらないように、バックステージとして地下施設を考えました。

 

マジックキングダムにある地下通路は「ディズニー・ユーティリドー・システム(Disney utilidor system)」と呼ばれています。utilidorとは、英語で共同溝を意味する「utility corridors」を縮めた造語です。マジックキングダムの地下通路は世界最大級の共同溝として知られています。

 

en.wikipedia.org

 

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建設中のマジックキングダム。写真中央が共同溝。現在は地下通路として使われている部分。

 

マジックキングダムでは「Automated Vacuum Collection」 (AVAC) と呼ばれる仕組みを導入しています。これは24時間・365日、自動的にごみを収集するものです。マジックキングダムの場合は地下施設を使ってごみを回収し、処理・リサイクルしているのです。

 

かつてはキャストやキャラクター用のコスチュームも、地下施設で管理されていました。2005年からはキャスト用駐車場に新しく建てられた施設へ移転しています。

 

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マジックキングダムの地下には管理施設以外にも、キャスト用の福利厚生施設があります。食堂や「Kingdom Kutters」と呼ばれる理容室、更衣室、リハーサル室などがあります。

 

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地下通路への入り口。キャストはバスでここまで移動してくる。

 

地下通路では、キャストは徒歩かゴルフカートに乗って移動します。ガソリン車の通行は禁止されているため、トラックからゴルフカートに積み替えて運んでいます。

 

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地下通路はエプコットにも

マジックキングダムと同じ、ウォルト・ディズニー・ワールドにあるエプコットでも、建設時に地下通路がつくられました。

 

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エプコットにある地下通路への入り口

 

エプコットは世界各国のパビリオンが並ぶ「ワールド・ショーケース」と、未来の世界をテーマにした「フューチャー・ワールド」の2つのエリアに分かれています。地下通路があるのはフューチャー・ワールドで、エリアを取り囲むようにトンネルがあり、ゲストの目に触れることなく移動できるようになっています。

 

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ディズニーの夢と魔法は、私たちには見えないバックステージでも働くキャストさんによって支えられているのですね。ちなみに、ウォルト・ディズニー・ワールドでは、バックステージを見学できるツアーも行われています。縁の下の力持ちに興味がある方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

 

maihama.hateblo.jp