1月29日、オリエンタルランドは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーのチケット料金改定を発表しました。
このチケット値上げと合わせて発表されたのが「駐車場料金の改定」今回は東京ディズニーリゾートの駐車料金について、少し考えていきたいと思います。
©Disney
いくらになるの?
これまでは普通車2,000円、大型車(バスなど)4,500円、オートバイ(50㏄以上)500円となっていました。東京ディズニーリゾートの場合は時間制ではありませんので*1、一度入場すると駐車料金は一日変わることはありません*2。
今年4月1日からは、以下のように値上げされます。
(オリエンタルランドのプレスリリース*3より引用)
私が一番驚いたのが、新しく作られた「土日祝日料金」これまでは平日・休日問わず料金は同じでしたが、4月からは休日のほうが高くなります。
値上げによる影響は?
駐車料金の改定は、これまでに何度か行われています。
- 1999年4月 普通車:1,500円→1,700円
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2001年2月 普通車:1,700円→2,000円
2014年4月には消費税率が引き上げられましたが、そのときは駐車料金は据え置かれました。今回の料金改定は、実に14年ぶりとなります。
東京ディズニーリゾートを訪れる場合、電車やバスといった公共交通機関を利用するか、それとも車を利用するのかに分かれます。
小さな子供を連れた方ですと、どうしても電車より車を利用することが多いと思います。家族の電車代と高速代+駐車料金を比べて、車のほうが安ければ、そちらを利用するでしょう。
今回の値上げで普通車の場合、平日は500円、土日祝日は1,000円の値上がりとなります。週に1回、月に4回お休みを使って行く方の場合、4,000円の負担増となります。平日でも2,000円の負担増です。これはかなり大きいですね。
どうして値上げを決めたの?
チケット料金の値上げと一緒に発表された、今回の駐車料金の値上げ。舞浜新聞では、オリエンタルランドが車による来園者数を抑えようとしているのではないか、そう考えています。
以前からそうなのですが、パークが閉園する午後10時以降、周辺道路はかなり混雑します。首都高速湾岸線の舞浜入口に向かって、長い渋滞が発生するのです。
首都高舞浜入口。ここが造られる前は、国道357号から葛西出入口まで行く必要があったため、舞浜大橋で激しい渋滞が起きていた。建設費はオリエンタルランドが負担している。
パーク周辺道路が渋滞すると、パークとホテルを結んでいるバスや、路線バス、ツアーバスも渋滞に巻き込まれるため、遅れが発生してしまいます。また、舞浜地区は住宅街が広がっていますので、地域住民の移動にも影響が出てしまいます。
また最近ではランドの「ワンス・アポン・ア・タイム」の開催などによって、ゲストの滞在時間が伸びる傾向があります。閉園間際までいるゲストが増えれば、それだけ渋滞もひどくなり、駐車場を管理するキャストの人件費も増えてしまいます。
公共交通機関で来るゲストが増えれば、渋滞も減らすことができますし、何より管理コストを抑えることができるのです。
駐車料金の値上げは、パーク拡張の準備?
オリエンタルランドは今後10年間で、5,000億円という大規模な金額をパークに投資しようとしています。具体的にはランドのファンタジーランド再開発や、シーの新テーマポートの建設です。それ以外にも、バックステージの施設整備も計画の中で明らかにされています。
オリエンタルランドが発表した新ファンタジーランドのコンセプトアート ©Disney
今後10年間で投資される「5,000億円」のうち、新規施設に投入されるのは約2,500億円とされています。しかし、舞浜新聞ではこれだけの計画で2,500億円を使い切るのか?と考えています。2,500億円といえば、パークを丸ごと造りかえられるほどの予算規模。まだ発表されていない計画があるのではないでしょうか。
東京ディズニーリゾートの場合、パークの拡張に使える土地はあまりありません。しかし、東京ディズニーランドホテルのように、平面駐車場の立体化によって土地を作り出すことはできるのです。
もし今後、土地造成のために駐車場の立体化に手をつけるとすれば、一時的に収容台数は減ることになります。
オリエンタルランドとしても「車で来たのに止められない」というゲストを出すわけにはいきませんので、どうしても車で来るゲストを減らさなくてはいけない。そこで、今回の駐車料金の値上げを決めたのではないか。舞浜新聞ではそう考えているのです。
今後、駐車場はどうなるの?
駐車場の立体化によって空いた土地に、東京ディズニーランドホテルが建てられたというのは先ほども書いた通りです。
市街地の中に造られたカリフォルニアのディズニーランドでは、立体駐車場の建設によって空いた土地を使って、第2パークである「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー」が造られました。東京も駐車場の立体化によって、パークを拡張する可能性は十分あります。
1995年当時のディズニーランドの駐車場案内図*4。手前の駐車場エリアには現在、カリフォルニア・アドベンチャーが建っている。
パーク近くにある「Mickey and Friends Parking Structure」それぞれの階にディズニーのキャラクターが描かれている。
以下は東京ディズニーリゾートにある立体駐車場の収容台数*5です。
- ランドの立体駐車場 4階建て 約1,340台
- シーの立体駐車場 5階建て 約3,500台
- リゾートパーキング第7 7階建て 約3,860台
東京ディズニーリゾート全体では、臨時駐車場を含めると収容台数は約2万台と言われています。バスなどの大型車は難しいと思いますが、普通車の場合、立体化によって収容台数を変えずに、かなりの敷地面積を絞ることができるのではないかと思います。
千鳥地区にある「リゾートパーキング第7」遠くから見ても、その巨大さがよく分かる。
舞浜駅の拡張も?
東京ディズニーリゾートの最寄り駅はJR京葉線の舞浜駅です。以下は2013年度の舞浜駅の乗車人数です*6。
JR東日本が発表しているのは「1日平均の乗車人数」ですので、1年間の乗車人数は単純に日数の365をかけて計算しました。
定期利用者は地元住民*7や東京ディズニーリゾートで勤務している方、通勤・通学定期でパークを訪れている方が含まれています。定期以外の利用者すべてがパークを訪れているわけではないと思いますが、パークの年間入園者数が約3,130万人*8であることを考えると、入園者数に占める電車利用者の割合はかなり高いと思われます。
駐車料金の値上げによって車を利用するゲストが減れば、その分、電車やバスを利用するゲストが増えます。最寄り駅の舞浜駅はいつも混雑していますが、今後乗降客が増えれば、現在の駅の処理能力では対応できなくなる恐れがあります。
舞浜駅には実は、ホームをもう一つ作れるだけの土地は用意されています。もし今後、乗降客が増えて線路への転落事故といった危険性が高まれば、舞浜駅の拡張も検討されていくのではないでしょうか。
写真中央、現在は駐輪場になっている場所がホーム用地。左の茶色くなっている土地はオリエンタルランドが所有している。
駐輪場の有料化は?
さて、今回は駐車料金の値上げについて考えてみました。
舞浜新聞が一つ気になっているのは「駐輪場の有料化」現在、東京ディズニーリゾートへ自転車を使って来る場合、パーク近くにある駐輪場に止めています。駐輪は現在無料なのですが、今後自転車の利用客が増えれば、駐輪場の有料化やキャストの常駐なども考えれます。自転車で気軽に通っている方にとっては、死活問題になりそうです。
車で来るゲストにとっては、手痛い出費となる駐車料金の値上げ。オフィシャルホテルの駐車料金も今後値上げされる可能性もありますので、注意して見ていく必要がありそうです。
参考リンク
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株式会社オリエンタルランド「東京ディズニーランド®」「東京ディズニーシー®」料金改定について(PDFファイル)
*1:時間制料金にするとそれだけ管理コストが増えますし、出庫に時間がかかるため、今後も一律料金が続くと思われます。
*2:ただし、ランドからシーといったように、駐車場を移動するために一度出庫してしまうと、再び料金を支払う必要があります。一度出庫して、再び同じ駐車場に入る場合は、料金を払う必要はありません。
*3:株式会社オリエンタルランド「東京ディズニーランド®」「東京ディズニーシー®」料金改定について http://www.olc.co.jp/news/olcgroup/20150129_04.pdf (PDFファイル)2015年1月29日発表。
*4:Yesterland Parking Lotより引用。
*5:公式発表ではなく、舞浜新聞の独自取材によるものです。
*6:乗車人数のデータは各駅の乗車人員 2013年度 ベスト100:JR東日本より引用。
*7:舞浜地区の人口は約3,600人ですので、定期利用者数は多くても、定期外利用者数へ与える影響は少ないと思われます。人口のデータはhttp://www.city.urayasu.chiba.jp/secure/30183/azabetuH261231.xls(Excelファイル)を参照。
*8:2013年度のデータ。オリエンタルランドグループ「入園者数データ」より引用。