東京ディズニーランドと東京ディズニーシーに入園するとき、必ず手荷物の中をキャストに見せなくてはいけません。どうしてこんな手荷物検査があるのでしょうか。
元々は「テロ対策」
ランドやシーに入園するときに必ず受ける手荷物検査。実はこれ、開園当時はありませんでした。手荷物検査が始まったのは2003年3月から。アメリカがイラクに攻撃をしかけ、イラク戦争が始まったことをきっかけに、テロ対策として行われるようになったのです。
基本的にはすべての手荷物を開いて、キャストにその中身を見せなくてはいけません。底が見えなかったり、ものが詰められていてよく見えなかったりした場合は、キャストが手荷物を触って確認することもあります。
世界各国にある、ほかのディズニーパークでも、東京と同様にゲスト一人一人の手荷物検査を行っています。
本当に意味があるの?
飛行機に乗るときには、金属探知機のゲートをくぐり、機内に持ち込む荷物もX線による厳重な検査を受けます。これはハイジャックといったテロを防止するためです。しかし、パークで行われている手荷物検査は中身を見るだけ。隠そうと思えば隠せるような簡単な検査になっています。
これを見ると「本当にテロ対策になるの?」と疑問に感じる人も多いと思います。実はパークの手荷物検査は、単にテロ対策だけではないと考えられるのです。
手荷物検査の目的って何?
実はパークで行われている手荷物検査には、テロ対策以外に3つの目的があると思われます。
- 「手荷物を見ますよ」という犯罪抑止効果
- 入園ゲート周辺での犯罪抑止効果
- パーク内への持ち込み禁止物品の摘発
まずは一つ目。パークの開園前ともなると、手荷物検査場には多くのゲストが列を作ります。なかなか一人一人、丁寧に検査を行うことは難しいでしょう。危険物を見逃してしまう可能性もあります。しかし「手荷物を見ますよ」というメッセージは「もしかして、見つかるかも」というように、犯罪抑止に十分効果があると思われます。
二つ目は一つ目とも関係しています。手荷物検査場は通常のキャストではなく、制服姿のセキュリティキャストやセキュリティオフィサーが担当しています。ゲート付近でのスリ・ひったくりや、チケット転売などのダフ屋行為といった犯罪の抑止効果もあると思われます。
三つ目はパーク内への持ち込み禁止物品の摘発。パーク内には危険物のほかにも、以下のようなものの持ち込みが禁止されています。
- アルコール類*1
- お弁当
- 飲み物(ビン、カン)
- カート類
- 三脚等の撮影補助機材
「東京ディズニーリゾートでは、お弁当の持ち込みはできない」というのは有名だと思います。これは開園当時、お弁当をパーク内で広げて食べる行為が「日常的」「夢や魔法を壊す」として、禁止されたのがきっかけです。またパーク内のレストランで飲食してもらうことで、物販の売り上げを確保しようというねらいもあると考えられます。
また意外なものではビン・カン類ですね。ふたができるペットボトルの持ち込みはできますが、リサイクルしにくく、ふたもできない、危険物にもなりうるビン・カン類の持ち込みは禁止されています。
さらにスーツケースやキャリーケース、キャリーカートの持ち込みも禁止されています。これはゲストに当たってケガをする可能性があること、アトラクションには載せられないこと、などがその理由として考えられます。こういったカート類を持っていると、手荷物検査場でコインロッカーに預けるよう声をかけられるのです。
最後は一脚や三脚などの撮影補助機材。セルカ棒や自撮り棒とも言われる、スティックタイプの一脚の持ち込みも禁止されています。これは「安全確保のため」と言われていますが、もともとはパーク内のショーやパレードを撮影して、それを無許可でDVDにして販売していた人間が逮捕されるという事件があったのが、持ち込み禁止のきっかけになっています。
大型の撮影機材を持ち込んでいる方もパーク内ではちらほら見られますが、どの方も柵の上に置いたり、肩に担いだりして撮影しています。
これら持ち込み禁止物品を未然に摘発する。手荷物検査にはこのような目的もあると思われるのです。
ちょっと嫌な気持ちはするけど…
自分の手荷物を検査されるのは、あまりいい気持ちはしません。しかし、すべてはゲストの安全確保のため。パークへ入園するときには、手荷物は少なめにして、開けやすいバッグにしておくと検査場をスムーズに通れますよ。
*1:東京ディズニーシーでは、パーク内で購入したもののみ飲むことができます。