舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



少ない投資でパッと効くものはないのか?

東京ディズニーリゾートの場合「○○周年」のようなアニバーサリーイベントが行われる年は、地方からの宿泊を伴ったゲストが多く訪れます。家族連れなどの大人数で訪れる人が増えるため、必然的に入園者数は大きく伸びるのです。

 

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©Disney

 

しかし、上がれば下がるのが数字というもの。東京ディズニーリゾートの過去の入園者数を見ていると、アニバーサリーの翌年はどうしても落ち込んでしまうのが現状です。

 

入園者数が減ってしまうと、株主に対しても「人気が落ちたのか?」と思われるかもしれませんし、メディアに「入園者数が減った」と書かれれば、どうしてもマイナスイメージにつながってしまいます。

 

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ランド開園から2013年度(予想)までの入園者数の推移。アニバーサリーイベントの翌年は入園者数が落ち込む傾向がある。

 

「少ない投資でパッと効くものはないのか?」

 

今回の記事のタイトルですが、おそらくオリエンタルランドの経営陣も同じことを考えているのではないかと思います。オリエンタルランドは2013年度中もしくは2014年度早々にも、新しい中期経営計画の発表を控えています。2014年度からの3年間、オリエンタルランドがどのような経営をするのか、それについて発表するのです。

 

舞浜新聞では以前から、30周年イベント終了後に東京ディズニーリゾートにとって厳しい状況がやってくること、そしてそれを乗り越えるためにはパークへの大規模投資が必要なことを論じてきました。

 

 

オリエンタルランドは2013年度までの3年間で、1,864億円ものフリー・キャッシュ・フローを積み上げる見通しです。これは、かなり平たく言うと、企業が自由に使える資金のこと。東京ディズニーシーの総工費が約3,380億円(当時)ですから、その半分以上の金額です。

 

おそらく、今後3年間でこの潤沢な資金を使って、パークやそれ以外の事業への投資を行うと思われます。ここまでの業績もかなり好調ですし、30周年イベント終了後のテコ入れに対して、株主の納得は十分得られると思います。

 

しかし、ここで重要になってくるのが、未だにパークへの大規模な投資計画が発表されていないということです。これは30周年イベントの期間中にこれを発表してしまうと、来園の先送り、つまり「できてから行けばいいや」という人が増えるためだと考えられます。

 

オリエンタルランドの上西京一郎社長は日本経済新聞の記事の中で、このように答えています。

 

30周年は一つの転換期。13年度中もしくは14年度早々に新規事業を含めた会社の成長戦略を打ち出す。拡張を含めて投資計画を考えている。周辺の土地に限りがあり、現在のディズニーランドや東京ディズニーシーと同じ規模の第3のパークをつくるのは難しい。

 

ランド、シーに続く第3パークの建設は否定しながらも、拡張を含めた投資計画を検討していることを明らかにしています。しかし、大規模な投資は発表から、実際に完成するまでにかなりの時間を要します。実際、シーの大規模なエリア開発となった「トイ・ストーリー・マニア!」は2009年5月に計画発表・2012年7月にオープンという流れになっています。

 

ここで今回の記事のタイトルに戻るのです。今後3年間でパークへの投資は強化される。しかし、その結果が出るまでには時間がかかる。なんとかそれまでに、少ない投資で入園者数を引き上げる、もしくは横ばいにすることはできないだろうか。オリエンタルランドの経営陣はそう考えていると思うのです。

 

以下は2014年1月現在でオリエンタルランドから発表されている、エンターテイメントおよびアトラクションの導入計画です。

 

  • ワンス・アポン・ア・タイム 2014年5月29日
  • ジャングルクルーズ 2014年秋
  • マーメイドラグーンシアター 2015年春
  • スティッチ・エンカウンター(仮) 2015年夏

 

ワンス・アポン・ア・タイムは東京では初めてとなるプロジェクションマッピングを使ったショーになります。シンデレラ城を使った幻想的なショーになると思いますし、2014年はオリエンタルランドとしても、これを前面に押し出してくると思います。

 

ジャングルクルーズはリニューアル、しかし、新しい効果や夜にはナイトクルーズなども行われるようになりますので、こちらも期待できるでしょう。世界で初めて、アトラクション全体にオリジナルの音楽も導入されます。

 

マーメイドラグーンシアターもリニューアルですが、こちらも舞台装置が一新されますので、新しいミュージカルショーに生まれ変わります。

 

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©Disney

 

私としては驚きだったのが「スティッチ・エンカウンター(仮)」の導入。これはシーのタートル・トークのスティッチ版と言えます。ランドにはスティッチのアトラクション*1がありますので、てっきり東京での導入はないと思っていました。

 

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香港の「スティッチ・エンカウンター」パリにも同様のアトラクションがある。©Disney

 

場所はキャプテンEOの跡地に作られます。スティッチは日本での人気が高いですし、ランドのコンセプトにも見事に合っています。ここは人気アトラクションになるでしょう。

 

さて、ここまでオリエンタルランドから発表されている、エンターテイメントおよびアトラクションの導入計画について見てきました。ちなみに、投資額を見ると以下のようになります。

 

  • ワンス・アポン・ア・タイム 約20億円
  • ジャングルクルーズ 約16億円
  • マーメイドラグーンシアター 未定
  • スティッチ・エンカウンター(仮) 約20億円

 

どれも20億円前後の小粒の投資であることが分かります。あくまでもこれらは、入園者数の落ち込みをカバーするための投資であって、入園者数を引き上げる投資ではないと舞浜新聞では見ています。

 

今後も大規模なパークへの投資に向けた「少ない投資でパッと効くもの」が増えると思われます。以下は舞浜新聞が考えるものです。あくまでも独自見解であって、正式発表はありません。

 

  • 既存アトラクションのリニューアル(特にスポンサーがついており、近年リニューアルされていないもの)
  • エンタメのリニューアルおよびテコ入れ(「ドリームライツ」のフロート新設・増設や「ファンタズミック!」の新しい演出の導入など)
  • 屋内型グリーティング施設の新設(特にプリンセスのグリーティング施設)
  • テーマ型休憩施設およびレストルームの新設
  • テーマ型レストランの新設

 

独自見解と書きましたが、海外のディズニーパークで導入されている施設などもあり、必ずしも妄想ではありません。特に下の3つは、今後東京での導入の可能性が高いと思われます。

 

最近はグリーティングに対する需要がかなり高く、それに伴ってゲスト同士のトラブルも発生しています。プリンセスに関してはフリーグリーティングが大半で、必ずしもお目当てのプリンセスに会えないという現状があります。また近年の猛暑で、キャラクターやゲストの体調管理という意味では、屋内型のグリーティング施設新設は急務であると考えられます。

 

今後日本は少子高齢化がますます加速します。それに伴って、高齢者のゲストが今よりも増えることが予想されます。このとき、広大なパークの中で休憩できるスポットとして、テーマ型休憩施設およびレストルームの新設が考えられるのです。先ほども触れた猛暑とも関係してくる問題です。

 

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マジックキングダムにある「塔の上のラプンツェル」をテーマにしたレストルーム。かなり細かい設定がある。©Disney

 

テーマ型レストランの新設に関しては、既存のレストランのリニューアルという形で導入されると思われます。これまでのレストランのテコ入れといったら、キャラクターグリーティングを入れるしかなかったのですが、もっと抜本的なリニューアルが必要になってくると思います。

 

特にランドはシーと比べてメニュー単価が低いので、ここにも改善の余地がありそうです。

 

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マジックキングダムにある「Be Our Guest Restaurant」美女と野獣をテーマにしている。2012年12月にオープンしたが、人気が高く夜は予約で満席のことが多い。©Disney

 

さて、いかがだったでしょうか。オリエンタルランドから新しい中期経営計画が発表されるのは時間の問題。おそらく、2013年度の決算発表の前後で「過去最高になりました!パークへの大規模な投資をやります!」と発表するのではないかと睨んでいるのですが…。

 

果たしてどうなることやら。果報は寝て待て。慌てず、じっくりオリエンタルランドからの発表を待つことにしましょう。

*1:「魅惑のチキルーム:スティッチ・プレゼンツ “アロハ・エ・コモ・マイ!”」です。