9月4日に講談社から「30年のハピネス」という一冊の本が出版されました。私も発売当日に書店で購入しました。
どんな本なの?
この本はゲストからの約600通、東京ディズニーリゾートで働いているキャストからの約150通、合わせて約750通の中から選ばれた87の心温まるエピソードが掲載されています。
短いエピソードが集められていますので、すぐに読み終わると思います。これまでメディアやウェブなどで、東京ディズニーリゾートに関する様々な感動エピソードは取り上げられてきましたが、今回ランド30周年を記念して公式に書籍として出版されました。
©Disney
「おわりに」で書かれているのですが、小学校低学年の子どもでも読めるように、本文はすべてルビが振ってあります。これはより多くの人に読んでもらいたい、という思いからでしょう。
長年働いている方なら誰しも経験がある
取材でオリエンタルランドの社員の方や、現場で働いているキャストの方に話を聞く機会があります。
そのときに、ほとんどの方が、こういったゲストとの心温まる交流の経験をお持ちです。中には涙を流しながら語る方もいて、こちらももらい泣きしてしまうこともありました。
東京ディズニーリゾートは、多くの日本人にとって特別な場所であると思います。それは日常から切り離され、夢と魔法で支配されている空間だからでしょう。ときにそれは奇跡を生む場所となります。
©Disney
こう書いてしまうと、どこか宗教じみた場所のように感じますが、実際にパークを訪れて元気をもらう方は多いのではないでしょうか。一日中歩き疲れて、でもそれでもなんだか心地よい。やはりディズニーパークには何か不思議な力があるのだと思います。
人は城、人は石垣、人は堀
そんなディズニーパークを支えているのはオリエンタルランドの社員の皆さんであり、現場のキャストの皆さんであり、バックステージや営業時間外でも汗を流している方々だと思います。海外のディズニーパークと比べても、東京のキャストの皆さんのレベルの高さやホスピタリティーの高さは世界一だと思っています。
感動や幸福を生み出すのは「人」だと思います。しかし、どうも最近のオリエンタルランドの姿勢を見ると、そんな「人」を軽視する動きを感じるのです。ハッキリとはここでは書けないのですが、経費削減のために、キャスト一人あたりの仕事量は数年前と比較して確実に増えています。
今では海外のパークでも行われている「カストーディアル・アート」これはもともと東京のキャストが始めたもの。東京のホスピタリティーの高さが分かる。©Disney
もし現場から悲鳴が上がれば対応するつもりなのでしょうが、そうなってしまっては、もはや手遅れではないでしょうか。心に余裕がなければゲストに最高のサービスは提供できません。オリエンタルランドにはもう少し、人材の大切さを考えてもらいたいものです。
ちなみに、ランド25周年のときにも社内向けにキャストの体験談をまとめた「Making dreams come true~これが私たちの仕事」という文集が製作されています。著作権侵害で絶版・回収となった「最後のパレード」で話題になりました。
盗作疑惑が報じられた「最後のパレード」ネット掲示板や「Making dreams come true」からの無断転載だったことが判明して絶版・回収となった。