いよいよ4月15日から東京ディズニーランドの開園30周年を祝うスペシャルイベント「東京ディズニーリゾート30周年"ザ・ハピネス・イヤー"」が始まりましたね。
©Disney
「史上最大」という言葉を使っていますが、コアなファンからは「キャッスルショーがないのはおかしい」とか「エンタメがあまりにも貧弱」という嘆き節も聞かれます。私としても、以前の記事で、かなり厳しい意見を書かせてもらいました。でも、なんだかんだ言っても行くのがディズニーファンというもの。
今回はそんな祝祭ムード一色の東京ディズニーリゾートに忍び寄る「2015年問題」について書いていこうと思います。さて、2015年問題とはなんでしょうか?
2013年 香港ディズニーランドの拡張
まず一つ目は計画より1年前倒しされた香港ディズニーランドの拡張工事です。香港がオープンした当初「中国大陸の客は香港に取られるのでは?」という意見もありましたが、入園者数の減少にはなりませんでした。オープン当初に客のマナーや従業員のサービスといった悪い面ばかりが報道されたのも、大きく影響したのでしょう。
パークの小ささもオープン当初はよく指摘されていました。当時は「世界で一番狭いディズニーランド」と揶揄する報道も目立ちました。
しかし、2011年11月に「トイ・ストーリーランド(アジア初)」、2012年7月に「グリズリー・ガルチ(世界で唯一)」と、続々とテーマランドの拡張を行ってきたのです。そして今年(2013年)5月に「ミスティック・ポイント」がオープンします。このテーマランドも世界のディズニーパークの中では、香港だけのものとなります。
香港はさらにほかのディズニーパークにあるアトラクションの導入も検討している、と言われています。中国や台湾、東南アジアの客が香港に流れることは、東京ディズニーリゾートを抱えるオリエンタルランドにとっても脅威となるでしょう。
2014年後半 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの拡張
さて、香港の拡張については「大丈夫。だって東京の入園者数に占める外国人の割合はわずかだから」という指摘もできます。しかし、これは無視できないでしょう。
実は大阪にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパンが2014年後半に拡張するのです。それが「The Wizarding World of Harry Potter(ハリー・ポッターの魔法の世界)」です。
ハリー・ポッターと言えば日本でも人気が高いです。そのハリー・ポッターのエリアがUSJにできるのです。投資額は450億円。東京ディズニーランドホテルの建設費が駐車場の改修費も含めて約440億円でしたので、それとほぼ同規模となる投資です。もちろんこれだけの金額はUSJ史上最大規模。
実はハリー・ポッターのエリアの導入は日本が初めてではありません。実はアメリカ・フロリダにあるユニバーサル・オーランド・リゾートで2010年6月「The Wizarding World of Harry Potter」がオープンしています。
実はエリアオープンによって、ユニバーサル・オーランド・リゾートの入園者は30%以上急増したのです。日本でもフロリダのパークと同規模のエリアができると考えられています。一部では日本オリジナルのアトラクションも導入されるのでは?という声もありますが、真偽については分かりません。
フロリダの成功もあり、日本でもハリー・ポッターに対する期待はすでに大きくなっています。入園者と宿泊需要の増加を見越して、地上28階、高さ約100m、客室数約600室の「ホテルユニバーサルグランドタワー(仮称)」が2013年度内にも着工することが決まっています。場所はユニバーサル・シティウォーク大阪の南側。USJ開業以来、空き地となっていた場所です。
「ホテルユニバーサルグランドタワー(仮称)」完成予想パース
AECOMがまとめている世界のテーマパークの入園者数データによると、2011年度のUSJの入園者数は850万人。単純にこれがフロリダと同じように30%増えると、1,000万人を楽に超えます。
2パーク合わせて2,000万人を超えている東京ディズニーリゾートにとっては、あまり影響がないとみる向きもできます。しかし、日本国内のテーマパークの需要をいつも争っているUSJが入園者数を伸ばせば、必然的に東京ディズニーリゾートの入園者の落ち込みは避けられないと思われます。
ちなみに、同じアメリカ・フロリダにはウォルト・ディズニー・ワールドがあります。その中のテーマパークの一つ、マジックキングダムでは2014年の完成に向けてファンタジーランドの拡張工事が行われています。
これは一説には入園者数を伸ばしたユニバーサルへの対抗措置と言われています。アメリカのディズニーパークが影響を受けるということは、日本でも同様の状態になることは十分予想できるのです。
マジックキングダムのファンタジーランド再開発コンセプトアート ©Disney
2015年 上海ディズニーランドの開業
さらに東京にとって悪いニュースが続きます。なんと、2015年12月には上海にディズニーランドができるのです。
上海ディズニーランドのコンセプトアート ©Disney
長らく建設が噂されてきた上海ディズニーランド。建設工事は2011年4月から始まっています。場所は上海浦東国際空港からほど近くの場所。マジックキングダムをモデルとし、規模はほかのディズニーパークよりも小さくなる見通しです。
©Disney
オープン当初は規模やアトラクション数も少なく、人気が出ないかもしれません。しかし、それは東京や香港も同じ道を通ってきました。同じディズニーランドが飛行機でわずか3時間の距離にできることは、東京にとってかなり脅威になるでしょう。
消費税もアップ!
忘れてはいけないのが消費税。2014年4月には8%、そして2015年10月には10%まで引き上げられる予定です。かつて3%から5%へ引き上げられたとき、消費が冷え込んでのちに多くの政治家が批判を受けました。経済状況によっては延期とも言われていますが、現在の上げ調子の経済を見ていると、おそらく引き上げられるでしょう。
そのとき、真っ先に絞られるのが遊興費。レジャー関連の支出です。東京ディズニーリゾートにとってもこれはかなりの脅威です。「不況に強い」とよくメディアは書いていますが、実際その状況になってみないことには分かりません。
さて、立ち向かう方法は?
当ブログだけではなく、様々なディズニー関連ブログで、この2015年問題が取り上げられています。当然オリエンタルランドの経営陣も認識しているはずです。私は以下のイベントでオリエンタルランドから何らかの発表があると期待しています。
- 6月 オリエンタルランドの株主総会
- 8月 D23 Expo(米カリフォルニア)
- 10月 D23 Expo Japan(東京)
特にオリエンタルランドが持っている中期経営計画は2013年度まで。2014年度から2016年度の次期計画はまだ発表されていません。おそらくこの計画の中に、2015年問題への対策が含まれると思われます。
2016年にはシーが15周年、2018年にはランドが35周年を迎えます。さて、オリエンタルランドはどう動くのか。この時期を目標とした何らかの発表があると期待しています。