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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



【特集】USJ任天堂エリアに、東京ディズニーリゾートは勝てるのか?

12月12日、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する(株)ユー・エス・ジェイは、任天堂のキャラクターとその世界観をテーマにしたエリア「SUPER NINTENDO WORLD」をオープンさせることを発表しました。

 

 

今回はUSJに新しく登場する「任天堂エリア」に対して、東京ディズニーリゾートは勝てるのかどうかについて、独自の視点で考えていきたいと思います。

 

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任天堂エリアは「東京五輪前の開業」

ユー・エス・ジェイから発表されたプレスリリースには、以下の内容が書かれています。

 

  • 任天堂のキャラクターとその世界観をテーマにしたエリア「SUPER NINTENDO WORLD」を新たに開業
  • 大阪のUSJが、世界で初めて導入
  • オープン時期は「東京オリンピックより前(2020年7月より前)」
  • 総投資金額は、約500億円
  • ライド・アトラクション(最新鋭技術を活用した世界初ライド)、インタラクティブ・エリア、ショップ、レストランを有する二層構造の巨大複合エリア
  • パーク敷地内の駐車場と、将来の拡張用地の一部にパークエリアを拡張した上で建設

 

今回の発表では「東京五輪前の開業」とされ、具体的な開業時期は示されませんでした。ただ、大型投資となった「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター(ハリポタエリア)」は、2014年7月15日、夏休みシーズン前に開業しています。今回の任天堂エリアも、五輪直前の開業になる可能性はあるでしょう。

 

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国内外で話題になった「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」

 

また、客足が落ち込む4月~ゴールデンウィーク前に開業させて、五輪が開催される7月に備える、というスケジュールも十分考えられます。

 

任天堂エリアへの総投資金額は、約500億円となります。2014年のハリポタエリアのときは、約450億円が投資されていますので、今回はそれを上回る金額となります。

 

ユー・エス・ジェイの2014年度の決算を見ると、売上高が1,385億円、営業利益が390億円となっています。つまり、任天堂エリアは、ユー・エス・ジェイ1年分の営業利益を上回る投資となるのです*1

 

どこにできるの?

さて、今回発表された「任天堂エリア」ですが、パークのどこに造られるのでしょうか。

 

ユー・エス・ジェイのプレスリリースでは「パーク敷地内の駐車場と、将来の拡張用地の一部」としか書かれておらず、具体的な場所は示されていません。

 

ただし、ヒントとなる情報は出ています。2016年3月の産経新聞の記事によると、正面ゲートを入って左側、ステージ18(旧MBSスタジオ in USJ)とステージ33、ホンダのUSJ納車センターがある場所に、任天堂エリアが建設されるというのです。

 

 

これについては、正式に発表されていませんので、まだ何とも言えません。ただ、産経新聞が記事として書いているということ、その後USJから訂正要求といった抗議がないことから、かなり確度の高い情報ではないかと思うのです。

 

では、衛星写真でその場所を見てみることにしましょう。

 

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面積を計算してみると、約24,500平米となっています。ちょうど東京ディズニーシーのアラビアンコーストと同じくらいの大きさです。

 

USJの場合、パークのエントランスは周りよりも高くなっています。これは、隣接するユニバーサル・シティウォーク大阪との接続や、下にバックヤード施設(ユー・エス・ジェイの本社など)があるためです。

 

衛星写真をよく見ると、エントランスからパーク敷地の外側に向かって、高低差があることが分かります。プレスリリースでは「二層構造の巨大複合エリア」と書かれていますので、この高低差を利用して、収容能力を高める構造にすると考えられます。

 

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「ステージ18」の横側を拡大したもの。手前(北方向)に向かって、バックヤード道路が下がっていることが分かる。

 

ステージ18は、もともと毎日放送のスタジオとして使われていた施設で、現在は期間限定イベントの会場となっています。隣接するステージ33も、期間限定での使用となっており、解体してもパーク運営に支障はありません。

 

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かつては生放送も行われていた「MBSスタジオ in USJ」2014年3月末で閉鎖されている。

 

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パークのマップに、エリア建設が噂されている場所を当てはめたもの

 

一つ気になるのは、2013年9月にオープンしているホンダの「USJ納車センター」です。この施設は、ホンダの車を購入した客が、新車を受け取り、USJで遊んでから車に乗って帰れる、というものです。テーマパークにこのような納車センターが併設されたのは、世界初のことです。

 

この納車センターは、オープンしてからまだ3年しかたっていません。そのため、任天堂エリアの建設のために、今すぐに閉鎖されるとは思えないのです。

 

 

ホンダとUSJの契約が5年だと考えて、2018年10月から解体→2020年開業でも、スケジュールとしてはギリギリ間に合います。ハリポタエリアのときも、駐車場エリアの閉鎖が始まったのが2012年8月、開業が2014年7月でしたので、特に問題はないかもしれません。もちろん、納車センターを残したまま、任天堂エリアを造る可能性も、十分考えられます。

 

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ただ、これらの推測は、あくまでも産経新聞の情報が「正しい」と考えたら、というものです。USJには、拡張用地や平面駐車場が残っていますので、ここ以外に任天堂エリアが建設される可能性も、わずかではありますが残っています。

 

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ハリーポッターエリアの衛星写真。2013年頃の撮影だと思われる。もともと、この場所には平面駐車場が広がっていた。

 

何ができるの?

さて、任天堂エリアには、どんな施設ができるのでしょうか。プレスリリースには、コンセプトアートとともに、以下のように書かれています。

 

  • ライド・アトラクション(最新鋭技術を活用した世界初ライド)
  • インタラクティブ・エリア
  • ショップ
  • レストラン

 

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エリアのコンセプトアート(プレスリリースより引用)

 

ライド・アトラクションは、このエリアのメインアトラクションになると思われます。コンセプトアートを見る限り、マリオに登場する世界観を再現したライドになるでしょう。

 

インタラクティブ・エリアは、実際にマリオの世界を体験できるものではないかと思います。最近流行している「VR(仮想現実)」を利用したものや、実際に触れて感じることができるものが考えられます。

 

ショップはマリオの世界にも出てくるお店になるかもしれません。レストランは、ピーチ姫の城がピッタリではないでしょうか。

 

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コンセプトアートの施設配置を、衛星写真に当てはめてみたもの。エリアが広大なことがよく分かる。

 

ただし、いずれの施設も詳細な発表はありませんので、あくまでも推測です。今後のユー・エス・ジェイと任天堂、ユニバーサル・パークス&リゾーツとの交渉によって、計画は大きく変わるかもしれません。

 

なお、ハリポタエリア(約42,300平米)の施設構成は、以下のようになっています。

 

  • メインアトラクション「フォービドゥン・ジャーニー」約300億円(推定*2
  • サブアトラクション「ヒッポグリフ」約100億円(推定)
  • ショップ 8か所(アトラクション内含む)
  • レストラン 2か所
  • レストルーム 2か所

 

任天堂エリアでも、メインアトラクションは300億円規模になる可能性が高いでしょう。東京ディズニーランドのファンタジーランド拡張で、新しく建設される予定の『美女と野獣』ライドは、約320億円となっています。それに負けないものに仕上がるのは、間違いないでしょう。

 

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2020年春オープン予定の『美女と野獣』ライドのコンセプトアート(オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney)

 

東京ディズニーリゾートは勝てるのか?

正式に発表された、USJの任天堂エリア。任天堂のゲームは世界的な人気を誇っていますので、東京オリンピックをきっかけに、USJを訪れる外国人観光客は、ますます増えていくでしょう。

 

問題は、ライバルである東京ディズニーリゾートの動向です。

 

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©Disney

 

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2016年4月、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの開発計画を発表しています。

 

開発計画の詳しい内容については、こちらをどうぞ。

 

もともと発表していた計画より、少し規模が縮小となってしまいましたが、『美女と野獣』や『ベイマックス』のライドは、世界で唯一の施設になる予定です。シーの「ソアリン(仮称)」は2019年度、ランドの『美女と野獣』や『ベイマックス』のライドは、2020年春の開業を予定しています。

 

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東京ディズニーランドの開発計画。オリエンタルランドが発表している建築模型をもとに、舞浜新聞が目測で位置を描いた。

 

では、東京ディズニーリゾートは、USJの任天堂エリアに勝てるのでしょうか。

 

「任天堂のゲームユーザー」と聞くと、男性と女性、どちらを先にイメージするでしょうか。もちろん、ソフトによっても変わると思いますが、多くの人が「男性」をイメージすると思います。特にマリオは、女性よりも男性が多く遊ぶタイトルというイメージがあります。

 

「でね、もっと面白いのが、3DSのハード購入者の属性。全体の男女比は男性69%、女性31%という偏りなんですが、どうぶつの森と本体を同時に買った人に限定すると、男性44%、女性56%になる。これね、ちょっと唖然(あぜん)とするほどの数字なんです」

日経新聞によるインタビューでの、任天堂の岩田聡社長(当時)の発言。3DSの購入者は男性のほうが多いことが分かる*3

 

ただ、実需化できていない部分というのが女性層で、任天堂はニンテンドーDSやWiiの時代には、お客様の男女比がほとんど1対1でしたが、ニンテンドー3DSでは、やや男性寄りとなっています。

 

それでも、女性のお客様は他社さんのゲーム機と比べると多いのですが、私たちの強みとして、年齢性別を問わず受け入れていただけるというゲーム人口拡大路線以降の流れからすると、やはりその面が少し弱いと思います。

 

ですから、「国内の課題は実は女性のお客様で、それも年齢の低いお子様から一定以上の年齢の大人の女性、あるいはシニアの女性までアピールできるかどうか」ということが、これからの伸びしろを決めると思っています。

2015年5月8日の任天堂「2015年3月期 決算説明会」での、岩田聡社長(当時)の発言。任天堂としても、女性ファンの獲得は至上命題だと言えるだろう。

 

セガのゲームスタイル研究所の記事によると、家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機の場合、女性よりも男性のほうがユーザーが多いことが分かります。スマートフォンになると、男女関係なく持っていることもあり、男女比がほぼ均等になるのです。

 

 

2014年にオープンしたハリポタエリアと比べると、任天堂エリアはどうしても「男性」「男の子」のイメージがあるエリアなのです。一方の東京ディズニーリゾートを見ると、『ベイマックス』は男女関係ないタイトルですが、『美女と野獣』は典型的なプリンセス・ストーリー、つまり「女性」「女の子」向けのタイトルです。

 

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ディズニーファンから、根強い人気を誇る『美女と野獣』2017年3月には、エマ・ワトソン主演による実写版の公開も控えている。

 

東京ディズニーリゾートの場合、ゲストの約70%は女性です。最近のパーク運営を見ていると、男性よりも、女性や女の子向けの施策が目につきます。営利企業であれば、より多くの客に合わせて、運営を変えていくのは当然でしょう。

 

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オリエンタルランドが発表している、東京ディズニーリゾートの男女別来園者比率。近年の男女比は3:7で推移している。(オリエンタルランド公式ウェブサイトより引用)

 

つまり、USJの任天堂エリアと、東京ディズニーリゾートの開発では、客層がすみ分けられているのです。もちろん、実際に開業してみないと、どんな客が訪れるのかは分かりません。2016年12月に登場した「スーパーマリオラン」のように、今後は任天堂もスマートフォン向けにコンテンツを供給していくと思われます。あと4年後には、女性ファンを獲得している可能性すらあります。

 

 

果たして、USJの任天堂エリアはどうなるのでしょうか。東京ディズニーリゾートにとって、脅威になりうるのでしょうか。個人的には、東京五輪が終わる2021年から、東京ディズニーランド開園40周年の2023年に向けて、東京ディズニーリゾートがどう変化していくのか、それによってUSJに勝てるかどうかが決まるのではないか、と考えています。

 

まだまだ先の話ですが、これからのUSJと東京ディズニーリゾートに期待したいですね。

 

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©Disney

 

参考リンク

*1:2015年度の決算については、米コムキャストによる買収のため「非公表」となっています。2016年7月1日「USJ、28年3月期の決算開示せず 「今年は義務なし」 - SankeiBiz」より。

*2:米オーランドにある同様の施設は、約2億6,500万ドル、日本円で約300億円となっています。

*3:2013年1月6日・日本経済新聞「任天堂・岩田社長が語る“本当の”ソーシャルゲーム「3DS」「Wii U」の逆襲(前編)」より引用。