舞浜新聞

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予約しないと、東京ディズニーリゾートのレストランが利用できなくなるって本当?

3月9日、オリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートのパーク内レストランで行われている「プライオリティ・シーティング(優先案内)」について、内容を変更することを発表しました。

 

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©Disney

 

今回はどのように制度が変わるのか、そしてその変更の背景について、独自の視点で分析してみたいと思います。

 

何が変わるの?

東京ディズニーランドや東京ディズニーシー、ディズニーホテル内にあるレストランでは、事前に予約を受け付け、優先的に案内してくれるサービスがあります。これを「プライオリティ・シーティング」といいます。

 

 

レストランの予約ではなく「プライオリティ・シーティング(優先案内)」と呼んでいるのは、あくまでも時間帯の枠を予約するのであって、座席を予約するわけではないからです。当然、混雑する時間帯は、少し待たなくてはいけません。

 

レストランの待ち時間を減らしてくれる「プライオリティ・シーティング」現在、このサービスの対象となっているレストランは、ランドに5か所・シーに6か所あります。4月15日から、これらのレストランは、事前にプライオリティ・シーティングを予約したゲストしか、利用することはできなくなります。

 

 

これまでは予約していなくても、レストラン前で待てば案内してくれました。しかし、4月15日からは、待って入ることはできなくなってしまうのです。

 

オリエンタルランドの発表によると、前日までは20時59分まで、当日は公式ウェブサイトで9時から受け付けを行い、ウェブで空きがある場合、10時からレストランの店頭でも受け付けを行う、とのことです。

 

これまでは、事前にウェブで予約が取れなければ、朝一にパークへ行き、レストランの店頭で予約することもできました。4月15日からは、もし空きがあれば9時からはウェブで、それでも空きがあれば、10時からはレストランで、というように変わります。

 

どうして、こんな変更をするの?

東京ディズニーランドにある「クリスタルパレス・レストラン」ここでは、2016年1月11日から3月18日まで、スペシャルイベントに合わせて「フローズンファンタジー・スペシャルブッフェ」が行われています。

 

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©Disney

 

2015年は映画『アナと雪の女王』の人気も相まって、パーク内は閑散期とは思えないほど、多くの人で賑わいました。2016年も多くの人出が予想されたことから、クリスタルパレス・レストランでは混雑緩和のため、事前予約制が導入されたのです。

 

この制度変更により、長時間待つゲストはいなくなりました。パークにとって、ゲストの待ち時間は「お金を使わないムダな時間」です。これまでにも、アトラクションのファストパスや、ショーの抽選制度など、待ち時間を減らす様々な取り組みが行われてきました。

 

 

「事前予約したゲストだけ案内する」という仕組みも、混雑緩和のため、無駄な時間を減らすために導入されたのでしょう。

 

おそらくクリスタルパレスの事前予約制は、ほかのレストランにも広げるために実験的に行ったのだと思います。特に目立った混乱は起きませんでしたので、4月15日から対象を広げることを決めたと考えられます。

 

「ヴィランズの手下たち」も影響?

昨年(2015年)のハロウィーンに、東京ディズニーシーのセイリングデイ・ブッフェで「ヴィランズ・ハロウィーン・パーティー」が行われました。これは、ディズニー作品に登場する悪役たち(ヴィランズ)の手下が、レストラン内でグリーティングやアトモスフィアショーを行うというものでした。

 

 

しかし、この「手下ブッフェ」が大きな反響を呼びました。若い女性を中心にして熱狂的な人気を集め、事前予約は争奪戦に、しかもそれらの予約の権利がオークションサイトで高値で取引される、という事態にまで発展しました。それ以外にも、開園とともにレストランに向かって走るゲストや、長時間並び続けるゲストも現れました。

 

この異常なまでの手下人気は、セイリングデイ・ブッフェのテコ入れに大きく貢献しました。ただ、今後同じようなプログラムを行うときに、また2015年のような混乱が起きかねません。

 

オリエンタルランドとしても、混乱を防止するために事前予約制にして、異常な待ち時間が発生しないように対策を考えたのだと思われます。

 

ゲストよりも経費削減のため?

プライオリティ・シーティングは、レストランでの待ち時間を減らしてくれる便利なサービスです。オリエンタルランドにとっても、待っているはずだった時間をショップやフードワゴンで使ってくれれば、それだけ売り上げを伸ばすことができます。

 

しかし、今回の事前予約制は、ゲストのためを考えて導入されたのでしょうか。舞浜新聞ではオリエンタルランドの本当の狙いについて、以下の3つを考えています。

 

  1. 客数の事前把握
  2. キャストの人員に合わせた予約枠の操作
  3. バケーション・パッケージのゲスト向けの予約枠確保

 

それでは一つずつ見ていくことにしましょう。

 

1. 客数の事前把握

テーマパーク、特にレストランの客数を予測することは、非常に困難です。これは街中にある飲食店やファミリーレストランを考えてみても同じです。曜日や天気、時期などによって、客数は大きく変わってしまいます。

 

以前は事前予約のゲストに加えて、どれだけのゲストが並びに来るのか、予測することは難しかったはずです。事前予約のゲストだけであれば、食材の準備やキャストの人員配置の計画も立てやすくなります。食材の無駄も減れば、それだけ経費を削ることができます。

 

2. キャストの人員に合わせた予約枠の操作

こちらは前述の「客数の事前把握」と関係しています。もし、事前予約で客数が多ければ、それだけキャストを多く配置すれば問題ありません。

 

ただ、最近のパークではキャストの成り手が不足しており、特にレストランのキャストが大きく不足しているという状況です。

 

事前予約のゲストに絞れば、キャストが少ない時間帯は、受け入れるゲストを少なくして、反対にキャストが多い時間帯は、受け入れるゲストを多くすることができるようになります。また、より少ない人員で、現場を回すことができるようになれば、それだけ人件費を削ることができるのです。

 

3. バケーション・パッケージのゲスト向けの予約枠確保

東京ディズニーリゾートでは、ホテル宿泊とパークチケットなどを組み合わせた「バケーション・パッケージ」を販売しています。最近では旅行代理店向けの予約枠を減らして、バケーション・パッケージ向けの予約枠を増やしているという話も聞こえてくるくらいです。

 

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©Disney

 

バケーション・パッケージはオリエンタルランドが旅行代理店となって、ゲストに販売しています。自社で様々な付加価値をつけることができますので、それだけ利益率が高い商品になっているのです。

 

バケーション・パッケージには、パーク内のレストランがプランに入っているものがあります。事前予約のゲストだけになれば、それだけバケーション・パッケージのゲスト向けに、枠を確保しやすくなります。

 

また予約なしで待つゲストがいなくなれば、それだけ優先的にレストランへ案内することもできるようになります。バケーション・パッケージは、消費金額が大きい地方からのゲストが多く利用していますので、今後もバケパ向けの施策が増えていく可能性は高いでしょう。

 

事前予約がいらないレストランが混むのでは?

4月15日から制度が変わるのは、現在プライオリティ・シーティングを導入しているレストランだけです。それ以外のレストランでは、事前に予約する必要はありません。

 

これまで並んで入っていたゲストが並べなくなれば、その分だけ、ほかのレストランに人が流れるでしょう。おそらく、今以上にカウンターやバフェテリアのレストランの混雑が激しくなると思います。

 

最近のパークの様子を見ていると、食事の時間帯になると、レストランの地べたや外に座って食べているゲストの姿を多く見かけます。いわゆる「食事難民」と言われているのですが、今後はますますこういったゲストが増えるかもしれません。

 

東京ディズニーリゾートでは、今後10年間で5,000億円もの大規模な投資が予定されています。ランドではファンタジーランドの再開発、シーでは新テーマポートの建設が予定されています。

 

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(オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

 

ファンタジーランドの再開発では、パレードを座って見ることができるレストランの増設が計画されています。あくまでも個人的な見解ですが、シーの新テーマポートにも、映画『アナと雪の女王』をテーマにしたレストランが新設されるかもしれません。

 

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建設が計画されている新テーマポート(オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

 

オリエンタルランドとしても、レストランの混雑が激しくなっているのは認識しているはずです。ただ、レストランの拡張や新設をする前に、事前予約のないゲストを締め出すことには、少し疑問が残ります。せめて混雑しやすいブッフェレストランに対象を絞るなど、妥協策はあったはずです。

 

ネットが使えない人・カードを持っていない人は来るな?

東京ディズニーリゾートでは、インターネットに接続できない人のために「総合予約センター」で電話による予約を受け付けています。

 

しかし、総合予約センターでは、レストランの予約は「前日まで」の受け付けとなっており、当日に電話して申し込むことはできません。

 

今でこそ多くの家庭に普及しているインターネットですが、今でもネット環境やパソコンを持っていない家庭はあります。また、スマートフォンを持っていない人も多いです。

 

そんな人にとって、東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトで予約する、というのは至難の業です。まして事前のユーザー登録すら、抵抗を感じる人も多いと思います。

 

加えて、公式ウェブサイトでの予約には、クレジットカード番号の入力が必要になります。これは、あくまでも本人確認のためであって、精算時は現金・カードどちらも使うことができます。

 

学生や未成年の方、カードに抵抗があって持っていない方は多いと思います。そんな人はネット環境があっても、予約することはできません。これは大きな問題だと思います。

 

本当に上手くいくのか?

今回発表されたプライオリティ・シーティングの事前予約制。朝一に予約をするために走るゲストはいなくなるかもしれませんが、混雑緩和を差し引いても、問題点が多いのが正直なところです。

 

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©Disney

 

オリエンタルランドとしては、さらなる経費削減、業務の効率化、客単価の向上を目指しているのかもしれませんが、果たして思惑通りに上手くいくのかは、実際に運用してみないと何とも言えません。

 

プライオリティ・シーティングについては、予約金(デポジット)などを取られることもありませんので、すっぽかしてもゲストは何も損はしません。

 

とりあえずレストランの予約はしたけど、アトラクションやショー・パレードへ行っていて、やっぱり行けなくなっちゃった…。4月以降は、そういったゲストも増える可能性があります。これでは、業務の合理化には程遠いでしょう。

 

アメリカ・フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドの場合、一部のレストランは予約と同時にカードで全額決済、それ以外のレストランでも連絡なしに行かなかった場合は、キャンセル料が発生します。

 

おそらく、今後東京ディズニーリゾートでも、予約金やキャンセル料が導入されるかもしれません。果たして、レストランの混雑はどうなるのか。4月からのパークに注目していく必要がありそうです。

 

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