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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



【特集】東京ディズニーリゾート 2020年度までの開発計画を読み解く

4月27日、オリエンタルランドは、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーの2020年度までの開発計画の一部を発表しました。

 

今回はオリエンタルランドからの発表内容をもとに、舞浜新聞独自の視点で、東京ディズニーリゾートの将来像を読み解いていきたいと思います。

 

ランドは「美女と野獣」「ベイマックス」「ミートミニー」

それではまず、東京ディズニーランドの開発計画から見ていくことにしましょう。

 

ランドでは現在のトゥモローランドにある「グランドサーキット・レースウェイ」や「スタージェット」などが廃止となり、その跡地に映画『美女と野獣』をテーマにした新エリア、新しい劇場、映画『ベイマックス』をテーマにしたアトラクションが導入されます。

 

また、トゥーンタウンには、新しくミニーマウスが登場するキャラクターグリーティング施設も合わせて導入されます。

 

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(オリエンタルランドのIR資料より引用)

 

「グランドサーキット・レースウェイ」は2017年1月、「スタージェット」は2017年秋~冬に廃止され、新しい施設は2020年春にオープンとなります。

 

「美女と野獣」エリアにはダークライドを導入

それでは、新しく導入される施設の詳細を見ていくことにしましょう。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

映画『美女と野獣』をテーマにしたエリアには、大型アトラクション、ショップ、レストランが導入されます。大型アトラクションはビーストが暮らす城の中にあり、映画の曲に合わせて動くライドに乗って、映画の名シーンを体験するというものです。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

コンセプトアートを見ると、ちょうど「プーさんのハニーハント」のような、ライドアトラクションになるようです。1つのライドに9人ほど乗っていますので、かなり回転率は良さそうですね。映画の世界観をそのまま体験することができる、東京オリジナルのアトラクションになります。

 

投資額は約320億円。これはアトラクション単体の追加投資額としては、史上最高となります。クリッターカントリーとのエリア開発となった「スプラッシュ・マウンテン」が約285億円、「タワー・オブ・テラー」が約210億円であることと比べても、その金額の大きさがよく分かります。

 

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©Disney

 

ショップやレストランはベルが暮らす村につくられます。コンセプトアートを見ると、アメリカのマジックキングダムにある「ガストンズ・タバーン」や、隣接するショップと同様のものがつくられるようです。

 

ただ、ガストンズ・タバーンについては、カウンターサービスがメインの規模が小さいレストランですので、東京ではより規模を大きくする可能性は高いでしょう。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

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米フロリダのマジックキングダムにある「Belle's Village」©Disney

 

今回残念だったのが、マジックキングダムにある「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」が導入されなかったことです。舞浜新聞ではアルコール飲料の解禁にもつながり、客単価の引き上げも狙えるこのレストランが、東京にも導入されるのでは?と考えていました。

 

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「ビー・アワ・ゲスト・レストラン」現地ゲストにも大人気で、夕食はほとんど予約が取れない。©Disney

 

ただ今回の計画を見ると、ビー・アワの代わりに、東京オリジナルのアトラクションの導入が決まりました。ビーストの暮らす城がほぼ実寸大で再現されるのは、とても喜ばしいことなのですが、やっぱり残念ですね。ディズニーとしては、マジックキングダムの集客の目玉として、手元に置いておきたいのかもしれません。

 

また、マジックキングダムにある「エンチャンテッド・テール・ウィズ・ベル」も導入されませんでした。ただこれはミニショーとベルのグリーティングがセットになったアトラクションでしたので、回転率が悪く、東京への導入は難しいと感じました。この決定については納得できます。

 

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ゲストが寸劇にも挑戦する「エンチャンテッド・テール・ウィズ・ベル」かなり楽しいのだが、回転率の悪さが課題。©Disney

 

発表されたコンセプトアートには、ベルの家を思わせる建物も描かれています。ショップやグリーティングスポットの可能性もありますが、休憩所やレストルームということも考えられますね。

 

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ベルの家を思わせる建物。今回のプレスリリースでは触れられなかった。©Disney

 

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米フロリダのマジックキングダムにあるベルの家。中はアトラクション「エンチャンテッド・テール・ウィズ・ベル」になっている。©Disney

 

屋内型シアターが新設に

さて、美女と野獣エリアに隣接する形でつくられるのが、ライブエンターテイメントシアター(仮称)です。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

プレスリリースでは、以下のように書かれています。

 

絵本から飛び出してきたようなこのシアターでは、ディズニーキャラクターたちによる東京ディズニーランドオリジナルのエンターテイメントプログラムが繰り広げられます。

 

定員は約1,500名となります。シーのブロードウェイ・ミュージックシアターの定員が1,500席(1階・2階)ですので、それとほぼ同規模のシアターになる見込みです。投資額は約170億円となります。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

「東京オリジナル」と書かれていますので、おそらくクルーズラインや海外のパークで行われているショーを、そのまま東京に持ってくるということはないと思われます。

 

アナハイムの「ミッキー・アンド・ザ・マジカル・マップ」や香港の「ミッキー・アンド・ザ・ワンダラス・ブック」のような、ミッキーとその仲間たちが主役になったショーが導入される可能性は高いでしょう。

 

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香港10周年の目玉として導入された「ミッキー・アンド・ザ・ワンダラス・ブック」東京はこれを超えられるのか。©Disney

 

2015年に行われたオリエンタルランドの株主総会では、ファンタジーランドの再開発で、新しいエンターテイメント施設の導入が発表されていました。トゥモローランドにある「ショーベース」は1988年につくられ、かなり老朽化が進んでいましたし、夏暑く・冬寒いというかなり過酷なシアターでした。

 

 

今回、新しくシアターがつくられることによって、ブロードウェイ・ミュージックシアターで行われている有料ショープログラムを、ランドでも行うことができるようになるでしょう。また、新シアターの稼働に合わせて、ショーベースは閉鎖となり、トゥモローランドの開発用地になると思われます。

 

ショーベースの閉鎖と跡地利用については、まだ憶測の域を出ません。ただ、映画『スター・ウォーズ』シリーズや、今後公開されるディズニー映画のパークでの展開を考えると、その可能性は十分あると思います。

 

トゥモローランドには「ベイマックス」

今回のファンタジーランドの拡張に合わせて、トゥモローランドには映画『ベイマックス』をテーマにしたライドアトラクションもつくられます。投資額は約60億円となります。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

プレスリリースには以下のように書かれています。

 

ベイマックスが見守るなか、軽快な音楽に合わせて予測不能な動きをしながら回転するライドに乗って、ゲストそれぞれの“ケア・ロボット”と一緒にハラハラ・ドキドキの体験を楽しむことができます。

 

文面を読む限り、ランドの「プーさんのハニーハント」やシーの「アクアトピア」のような、無軌道型(トラックレス)のアトラクションが導入されるのでしょう。

 

2016年3月には、アメリカのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーに「ルイジのローリッキン・ロードスター」が導入されています。

 


Luigi's Rollickin' Roadsters FULL RIDE POV opening day in Cars Land at Disney California Adventure

 

アメリカのディズニーパークでは初めて、トラックレスとして導入されたアトラクションです。ベイマックスの新しいアトラクションは、このローリッキン・ロードスターをもとにつくられる可能性はあるでしょう。

 

また、アトラクションの隣には、ポップコーンの専門ショップがオープンする予定です。宇宙がテーマとなったショップでは、複数の味のポップコーンが販売されるということですので、こちらも期待したいですね。

 

東京は海外のパークと比べて、ポップコーンがかなり充実しています。ポップコーンは原料が安く、原価率も低い商品ですので、オリエンタルランドとしては、より収益を上げられると考えたのでしょうね。

 

ベイマックスの舞台は、アメリカのサンフランシスコと東京がミックスした「サンフランソーキョー」の街です。東京オリンピックが開催される年に、ベイマックスのアトラクションが導入されるのは、ファンとしては非常に喜ばしいことです。

 

ミニーのグリーティング施設も導入

トゥーンタウンには、現在ミッキーマウスとグリーティングができる「ミッキーの家とミート・ミッキー」があります。今回、新しくミニーマウスとグリーティングができる施設も導入されることが決まりました。投資額は約20億円となります。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

プレスリリースには、以下のように書かれています。

 

ファッションデザイナーとして活躍するミニーマウスのスタジオを訪れたゲストは、彼女のデザインスタジオや作業部屋を見学したり道具に触れたりしながらフォトスタジオへと向かい、おしゃれなファッションに身を包んだミニーマウスと一緒に写真を撮ることができます。

 

これまではエントランスやトゥーンタウンでの屋外グリーティングのみで、スケジュールが読めなかったり、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けたりと、いろいろと問題がありました。

 

グリーティングは、アトラクションやパレード、ショーに並ぶ、ディズニーパークの大きなコンテンツの一つになっています。今回のグリーティング施設の導入によって、混雑の緩和が期待できるでしょう。

 

またオフィシャルスポンサーの富士フイルムが提供している「オンラインフォト」の売り上げを伸ばす施策も導入される可能性があります。

 

 

2016年秋~冬にウエスタンランドへ導入される新しいグリーティング施設では、おそらくドナルドダックやデイジーダックのグリーティングが行われる可能性が高いですので、トゥーンタウンとのすみ分けができると思います。

 

ただ「ミニーの家をリニューアルして、グリーティング施設にすれば良かったのでは?」という意見があると思います。これについては、周辺スペースを考えると、十分可能だと思います。

 

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上空から見たミニーの家(中央)ミッキーの家とも隣接しているが、後ろの土地を使えば拡張可能なことが分かる。©Google

 

ただ、リニューアルとなると、一度は施設を壊さなくてはいけなくなりますし、それだけ工期も伸びてしまいます。オリエンタルランドは、少ない投資で最大限の効果を上げたいと考えているでしょうから、今回、ミニーの家とは別にグリーティング施設をつくるのでしょう。

 

将来的には、ミニー以外のキャラクターの出演も考えているかもしれません。

 

シーには「ソアリン」

それでは、次に東京ディズニーシーの開発計画を見ていくことにしましょう。

 

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(オリエンタルランドのIR資料より引用)

 

シーには海外のパークにある「ソアリン」が新しく導入されます。オープンは2019年度、投資額は約180億円となる予定です。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用 ©Disney

 

プレスリリースには以下のように書かれています。

 

メディテレーニアンハーバーを見下ろす丘に建つ歴史を感じさせる建造物を訪れたゲストは、ライドに乗って風や匂いを感じながら、世界中の名所や大自然をめぐる雄大な空の旅を楽しむことができます。

 

これまでシーには「ソアリン」導入の噂がありました。今回アトラクションが導入されるのは、メディテレーニアンハーバー、ちょうどザンビーニ・ブラザーズ・リストランテの裏手の場所になります。

 

プレスリリースには、東京オリジナルのシーンが導入されることも書かれていますので、上海に導入される「ソアリン・オーバー・ザ・ホライズン」をパワーアップしたものになると思われます。

 

ただ気になるのはシアターの場所と数ですね。ソアリンはアメリカのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーとエプコットにありますが、エプコットは混雑が激しく、現在3つ目のシアターを増設中です。

 

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ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの「ソアリン」2016年6月にも内容がアップデートされる予定。©Disney

 

東京の場合はカリフォルニアと同じく、2シアターでオープンさせ、オペレーションなどを工夫すると思われますが、混雑が激しければシアターの増設も十分考えられますね。

 

従来の計画を前倒し?それとも縮小?

オリエンタルランドはこれまで、以下のような流れでパークへの投資計画を発表してきました。

 

  • 2014年4月 2014~16年度の中期経営計画を発表「今後10年間で5,000億円レベルの投資を行う」
  • 2014年10月 ファンタジーランドの再開発と新テーマポート建設を発表
  • 2015年4月 ファンタジーランドに「美女と野獣エリア」「アリスエリア」、新テーマポートに「アナ雪」の導入を発表
  • 2015年10月 決算電話説明会で、開発計画の一部見直しに言及
  • 2015年12月 「年内」としていた開発計画の詳細発表を延期
  • 2016年4月 ランドに「美女と野獣エリア」など、シーに「ソアリン」の導入を発表

 

2014年10月の発表では、ファンタジーランドの規模を現在の2倍に拡大し、開園以来、最大規模となる投資を行うとしていました。『ふしぎの国のアリス』エリアの導入、「空飛ぶダンボ」の移設、『美女と野獣』エリアの導入、イッツ・ア・スモールワールドの新設移転、トゥモローランド・テラスのリニューアルなど、コンセプトアートを見る限り、かなり力が入ったものでした。

 

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2014年10月に発表されたコンセプトアート ©Disney

 

またシーの新テーマポートについても、「北欧」をテーマにしたエリアの中に、『アナと雪の女王』をテーマにした施設の新設を発表していました。実現すれば、世界で初めての「アナ雪エリア」になる予定でした。

 

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2015年4月に発表されたコンセプトアート ©Disney 

 

しかし、2015年10月の第2四半期決算電話説明会の中で、経理部長の吉田謙次氏から「開発計画の一部見直しを行っている」という発表があり、ディズニーファンの間では衝撃が走ります。そして12月、当初は「年内にも発表」としていた開発計画について、その発表を延期することが正式に発表されました。

 

今回、オリエンタルランドからは、見直し後の新しい投資計画が発表されました。オリエンタルランドはプレスリリースの中で、以下のように書いています。

 

当社では、2014 年にお知らせした「2023ありたい姿」において、「2023年までに高い満足度を伴った入園者数を恒常的に3,000万人レベルとする」ことを目標として掲げておりましたが、2014年度以降の入園者数レベルが当社の想定よりも早いペースで高まりを見せていることを受け、この目標の達成を2020年度へと前倒して実現するために、これまでお知らせした開発計画の一部を見直すことといたしました。

 

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(オリエンタルランドのIR資料より引用)

 

東京ディズニーリゾートではここ数年、年間入園者数がランド・シー合わせて3,000万人を超えています。もともと、オリエンタルランドは2023年までに、年間3,000万人レベルへと引き上げることを目標としていました。すでに目標値を達成してしまっているのです。

 

しかし、それはパークの収容能力を超えるゲストが押し寄せている、ということを意味しています。もともとは混雑緩和と入園者数の引き上げを目的としていたパークの開発計画。ランドに関しては、もし従来通り、ファンタジーランドを閉鎖して、再開発工事を行えば、満足度の低下や入園者数の減少、客離れを引き起こしかねません。

 

そこでオリエンタルランドは、2020年度までにひとまずできる計画から行い、混雑緩和と満足度の向上を目指す考えになったのだと考えられます。

 

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(オリエンタルランドのIR資料より引用)

 

ただ、一方でこんな見方もできます。

 

2011年に発生した東日本大震災、そして2020年に開催が予定されている東京オリンピックの影響を受けて、日本国内では建設資材が高騰しているのです。また、小泉政権から続いた公共事業の縮小や、土木業の就労人口の減少により、職人や作業員が不足しているのです。

 

職人や作業員が不足すれば、それだけ雇う人件費も増えてしまいます。オリエンタルランドが当初想定していた金額よりも、開発計画にもっと資金が必要になってしまった、そのためやむなく開発計画を「縮小」した、そういった見方もできるのです。

 

オリエンタルランドはパークの開発について、銀行からの借り入れや増資、優先株などの新規株式発行といった方法ではなく、キャッシュフロー、つまりゲストの「財布」のお金を使って行う予定です。

 

キャッシュフローに頼る投資計画については、金利負担やリスクを減らすことができる一方で、年間入園者数とゲスト満足度を維持し続けなければいけません。今回の開発計画の見直しは、できることから始めて、キャッシュフローを積み上げ、資材費や人件費の高騰が収まったときに、再び計画を練り直そうと考えている可能性もあります。

 

「アリスエリア」「アナ雪エリア」はどうなったの?

今回の開発計画では、従来発表されていた『ふしぎの国のアリス』をテーマにしたエリアと、『アナと雪の女王』をテーマにした施設の詳細は含まれませんでした。

 

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2015年4月に発表された「アリスエリア」のコンセプトアート ©Disney

 

2016年3月期の決算説明会では、代表取締役社長兼COOの上西京一郎氏から「アナ雪の施設は今回発表する計画には含まれていない」「従来発表していた、ロストリバーデルタ南側の拡張用地以外の場所への建設を検討中」という発表がありました。

 

先ほども触れたように、オリエンタルランドは年間3,000万人レベルの目標達成を「前倒し」するために、開発計画の見直しを行った、としています。しかし、もし目標達成を前倒しするのであれば、集客で大きな力を発揮する「アナ雪エリア」の導入は急務だと言えるでしょう。

 

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©Disney

 

しかし、2020年度までの計画にアナ雪エリアは含まれませんでした。このことについて、以下の4つの見方ができると思います。

 

  1. 資材費・人件費の高騰が落ち着くまでの計画先送り
  2. アナ雪エリアの集客力を疑問視して、計画を縮小・白紙撤回
  3. アナ雪エリアの集客力に期待して、計画を拡大
  4. シーではなく、ランドにアナ雪関連施設の導入を検討

 

1については、先ほども触れたとおりです。東京オリンピックが終了する頃には、東北の復興需要も少し落ち着いていると思われます。1964年に東京オリンピックが行われたときには、建設需要や消費財の需要が落ち着き、逆に不況となってしまったこともありました。

 

オリエンタルランドとしては、資材費・人件費の高騰が落ち着くまで、計画を先送りしたいと考えたのかもしれません。

 

2と3はまったく正反対の考え方です。アナ雪は世界的に大ヒットし、今でも小さな子を中心に高い人気を誇っています。ただ、2016年にランドで行われたアナ雪イベントでは、思ったよりも集客力を発揮することはできませんでした。オリエンタルランド内部で、アナ雪の集客力を疑問視する声が高まった可能性はあります。

 

また特定の映画をテーマポートの柱にしてしまうと、その映画以外の施設はつくりにくくなってしまいます。特にシーの場合は『リトル・マーメイド』の「マーメイドラグーン」や、『アラジン』の「アラビアンコースト」のように、かなりテーマが縛られてしまっているテーマポートがあります。

 

アナ雪エリアについては、テーマを「北欧」としていましたが、ディズニー映画で北欧が舞台となった映画は、アナ雪以外にありません。そういった開発余地が少なかったことも、計画の先送りにつながった可能性があります。

 

しかし、一方でアナ雪を外国人ゲスト集客の目玉にしようと考え、より広い土地でのエリア展開を考えた、だから一旦白紙に戻したのでは?そういった逆の見方もできます。

 

最後の4については、舞浜新聞の妄想に近いです。エリアとしての開発ではなく、アナ雪のアレンデール城をランドに持って来たら…。ディズニーのプリンセスたちとアナやエルサを並べるためには、やはりランドへの導入が一番自然だと思います。

 

2014年10月の日本経済新聞の報道によると、アナ雪の施設はランドかシー、いずれかに導入が検討されたようです。日経お得意の飛ばし記事の可能性もありますが、ランドへのアナ雪施設導入は、あながち妄想ではないかもしれないのです。

 

なお、アリスエリアについては、決算説明会・プレスリリースいずれでも言及されませんでした。ただ質疑応答の中で、以下の回答がありました。

 

ファンタジーランド1エリアの開発から、長期的な視点をもって7つのテーマランドすべてを対象とする方針へと変更したなかで、「ふしぎの国のアリス」をテーマとしたエリア開発は行わないこととした。

 

朝日新聞とテレビ朝日では、この回答を受けて、アリスエリアを「白紙撤回」と報じました。おそらくスモールワールドの移設に加えて、ティム・バートン監督による実写版などとの関係もあるのではないか、と舞浜新聞では見ています。

 

「2020年春」はUSJとガチンコ対決?

シーのソアリンは2019年度の導入、ランドの「美女と野獣エリア」「ベイマックス」「ミートミニー」はいずれも2020年春の導入が予定されています。

 

今回の「2020年」は一見すると、東京オリンピックに合わせたのでは?という見方もできるのですが、実は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、2020年に合わせて新しいアトラクションの導入を検討しているのです。

 

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©Universal

 

USJからの正式発表はありませんが、産経新聞の報道によると、2020年までに任天堂の人気キャラクター「マリオ」をテーマにしたアトラクションとエリアを開発する計画があるのです。

 

USJは、これまでの「映画のテーマパーク」というコンセプトを大胆に見直し、人気コンテンツを積極的に取り入れています。映画『ハリー・ポッター』シリーズのエリア開発もそうですが、日本独自のコンテンツをたくさん取り入れて、外国人観光客の集客にも成功しています。

 

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USJにあるホグワーツ城。エリア内にはゲストが魔法を使える「ワンド・マジック」も導入されている。©Universal

 

すでに任天堂とユニバーサルパーク&リゾートは、アトラクション開発に関する業務提携を結んでいます。産経新聞のインタビューに対して、任天堂の君島達己社長は以下のように語っています。

 

「大きなものとは?」と記者が質問すると、「どのぐらいの投資規模と考えますか」と銀行出身者らしい切り返し。まごついていると、こう教えてくれた。

 

「ハリー・ポッター(のエリア)は400億円ぐらいかかっている。同じ規模とは言わないが、かなりのものを考えている。そのぐらいでないと、お客さんに楽しんでもらえない」

 

ハリポタエリアへの投資額は、約450億円。それと同規模のエリア開発となると、東京ディズニーリゾートにとっても、かなりの脅威になるでしょう。

 

また、USJはこれまでフランチャイズで運営してきましたが、アメリカのユニバーサル・スタジオを運営するコムキャストに買収され、直営化されています。今後、コムキャストの潤沢な資金を使って、ハリポタエリアのさらなる開発や、新アトラクションの導入も十分考えられます。

 

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米フロリダのユニバーサル・オーランドにある「ダイアゴン横丁」かなり再現度は高い。大阪への進出も時間の問題か。©Universal

 

今回、オリエンタルランドが「2020年春」というゴールを設定したのは、USJとのガチンコ対決を想定している可能性が高いのです。

 

2021年度以降の開発計画は?

オリエンタルランドから発表されたプレスリリースでは、2021年度以降の開発計画について、以下のように書かれています。

 

  • ランド 7つのテーマランドすべてで、エリア規模の刷新
  • シー 複数の拡張用地を活用した大規模開発
  • 東京ディズニーリゾート内のホテル客室数の増加など
  • パーク以外の新規事業 目標とする時期を限定することなく、1セグメント化を目指し引き続き検討

 

一番衝撃的だったのが「ファンタジーランドを含めた7つのテーマランドすべてを開発対象に、エリア規模での刷新」という一文です。これはパークそのものをつくりかえることを意味しています。

 

おそらく、オリンピック需要が落ち着き、ランドが開園50周年を迎える2033年を目指して、大規模な開発を行う考えなのでしょう。今後、舞浜は今と全く違う姿に生まれ変わるのかもしれません。

 

シーについては、今回ロストリバーデルタ南側の拡張用地は使われませんでした。しかし、将来的なリゾートラインの移設や駐車場の立体化、バックステージ施設の移転・再整備によって、使える遊休地はねん出できると思います。今後、パークの収容能力を高める拡張が行われていくでしょう。

 

パークに加えて、ホテルの客室数の増加に触れたことも驚きでした。これはオフィシャルホテルやパートナーホテルも含めた話なのか、それともディズニーホテルの新設・増室を考えているのか、現段階では何も分かりません。

 

ただ、東京ディズニーセレブレーションホテルのように、今後オリエンタルランドがオフィシャルホテルやパートナーホテルを買収して、それをディズニーホテルに業態転換する、という可能性も十分あります。東京ベイNKホール跡地の利用策もまだ不透明ですので、今後の発表を待つことにします。

 

おわりに

今回新たに発表されたパークの開発計画。『財界』の2016年1月12日号で、オリエンタルランドの代表取締役会長兼CEOの加賀見俊夫氏が、今後の投資の方向性について「今後1年半くらいかけてコンセプトを詰めていきたい」と語っていたことから、舞浜新聞では4月のこの段階での発表はないと思っていました。

 

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©Disney

 

何か新しい発表があるとしても、ストームライダーに代わって建設される、映画『ファインディング・ニモ』シリーズの新しいアトラクションについてか、「タートル・トーク」のリニューアルについての、いずれかだろうと思っていました。

 

しかし、今回オリエンタルランドからは、2020年のオリンピック・イヤーに合わせて、パークの価値を高める計画が発表されました。驚きと同時に、当初の計画よりも縮小したとも受け取れる内容は、ちょっと残念でした。

 

ただ「東京オリジナル」が強調されているのは、日本のディズニーファンとしては非常に喜ばしいことであり、期待も高まります。上海ディズニーランドの開業、そして香港ディズニーランドの拡張も予想されていますので、これからの東京ディズニーリゾートの変化も楽しみですね。

 

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©Disney

 

参考資料