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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



東京ディズニーリゾート 閑散期集客の狙いを探る

東京ディズニーリゾートの分析・考察

2017年を迎えて、寒さが厳しい日が続いています。例年、正月明けから3月の春休みまでは、テーマパークにとって閑散期となり、どうしても集客が厳しい時期なのです。

 

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©Disney

 

今回はそんな冬の閑散期に、東京ディズニーリゾートがどうやって集客しようとしているのか、少し見ていきたいと思います。

 

アナ雪で「首都圏の家族連れ」

まずは東京ディズニーランドから見ていくことにしましょう。

 

ランドでは1月13日から3月17日まで、映画『アナと雪の女王』をテーマにしたスペシャルイベント「アナとエルサのフローズンファンタジー」を行っています。

 

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©Disney

 

アナ雪は2014年3月に日本で公開されましたが、北米と並ぶ大ヒットを記録しました。一般層の人気は落ち着きましたが、小さな女の子には根強い人気を誇っています。

 

おそらく、オリエンタルランドはアナ雪イベントの開催で、首都圏の家族連れ、特に保育園・幼稚園や、小学校低学年の女の子がいる家族の集客を狙っていると思われます。

 

寒さが厳しい閑散期は、小さな子がいる家族は、どうしても来園しにくくなります。消費金額が大きい子連れが、アナ雪をきっかけに来園すれば、そのぶん収益アップにつながります。さらには「お泊まりディズニー」で、近隣のホテルに宿泊するゲストが増えれば、それだけホテルの売り上げにも貢献します。

 

 

アナ雪イベントは今年で3年目となります。今年はキャッスル・プロジェクションのショー「ワンス・アポン・ア・タイム」に代わって、期間限定の「フローズン・フォーエバー」も上演しています。広告では「今しか会えない」という、期間限定を強調するキャッチコピーが目を引きます。

 

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東京ディズニーリゾートのテレビCMより。「今しか会えない」の文字が目を引く。©Disney

 

これまでアナ雪イベントに行ったことがあるゲストへも、来園するきっかけを与えようとしているのでしょう。これは、リピーターの掘り起こしにもつながると思います。さらには、女の子が成長に伴って、再びパークを訪れる「未来のゲストを育てる」という意味合いも含まれているかもしれません。

 

アナ雪イベントは、すでに2018年の閑散期にも開催されることが決まっています。映画の続編も2018年公開(北米)が決まっていますので、今後の集客数や売り上げを見ながら、「春のイースター」のように、定番イベントとしての定着を目指していくかもしれません。

 

2017年4月からのスケジュールは、こちらをどうぞ。

 

ちなみに、今後の集客アップ策として、アナとエルサのグリーティングが行われる可能性もあります。海外のパークではすでに行われており、ゲストの人気を集めています。オリエンタルランドの出方に注目していく必要がありそうです。

 

15周年イベントで「地方客」

次は東京ディズニーシーを見ていきましょう。

 

シーでは3月17日まで、開園15周年イベント「東京ディズニーシー15周年"ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ"」を行っています。

 

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ハーバーショー「クリスタル・ウィッシュ・ジャーニー」©Disney 

 

1月13日からは、これまでのイベントの締めくくりとして、イベント名に「グランドフィナーレ」が付け加えられました。広告では「いちばんの感動は、最後にやって来る」と強調されており、アニバーサリーイベントへの期待感を煽る演出になっています。

 

 

15周年イベントが狙っているのは、やはり「地方客」だと思われます。これまでのアニバーサリーイベントもそうでしたが、「○周年」というのは、地方に住むディズニーファンにとって、大きな来園動機になります。

 

地方からですと、1年に1度、東京ディズニーリゾートを訪れるだけでも大きな出費になります。ほとんどの場合は、3年~5年に一度の来園になると思われます。アニバーサリーイベントは、そういった来園の大きな目安になるのです。

 

今回の15周年イベントは、大手旅行代理店などを中心にして、地方でも大規模な広告宣伝活動が行われています。閑散期に「グランドフィナーレ」と題して、締めくくりを演出することで「せっかくだから行ってみようか」「一度行ったけど、もう一度行ってみようか」という来園につなげる狙いがあるのでしょう。

 

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©Disney

 

グランドフィナーレでは、これまで公演されていたハーバーショー「クリスタル・ウィッシュ・ジャーニー」も「シャイン・オン!」として、一部演出が変更されています。夜公演も行われていますので、集客の目玉として、力を発揮するでしょう。

 

ミッキーやミニーのコスチュームも、グランドフィナーレに合わせて変更されています。「キャラクターの写真を撮りたい」というゲストのニーズに加えて、ショーへ変化を付けられること、新しいグッズを販売できること、などが理由として考えられます。もし、この取り組みが上手くいけば、今後のアニバーサリーイベントでも「期間途中でのコスチューム変更」が行われる可能性は高いですね。

 

 

春キャンで「学生客」

「春キャン」とは、春のキャンパスデーパスポートを指します。これは例年、学生向けに販売されている、割引パスポートです。通常の1デーパスより600円引きとなっており、試験休みや春休み前の集客に力を発揮しています。

 

 

オリエンタルランドでは、閑散期の集客の柱として「学生客」の獲得を進めてきました。決算書類などでも、近年は春キャンによる学生客で、売り上げが向上していることが説明されています。

 

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オリエンタルランド 2017年3月期 第2四半期決算説明会(2016年10月)説明資料より引用。売り上げが落ち込む第4四半期は、学生集客で数字が伸びているのが分かる。

 

一言で「学生客」といっても、東京ディズニーリゾートを訪れるゲストの約70%は女性です。女子学生と言い切っても問題はないでしょう。

 

春キャンでパークを訪れ、パークファンになってもらう。地方からの場合は、割引のある「キャンパス2デーパスポート」もあります。思い出づくりにディズニーホテルへ泊まれば、「将来はここで結婚式を挙げたい」という、婚礼需要にもつながっていくでしょう。

 

非常に息の長い取り組みになりますが、春キャン一つとっても、オリエンタルランドにとって、重要な集客策であることが分かると思います。

 

今年の春キャンで注目したいのは「みんなでシェアするフードメニュー」「お誘い春キャン」の2つです。

 

今年から大人数で分け合うフードメニューが登場しました。これは、グループでパークを訪れるゲストや、一緒に写真を撮ってSNSにアップするゲストのニーズを反映していると思われます。

 

 

最近では「フォトジェニック」といって、SNS映えする写真がもてはやされるようになりました。SNSへの投稿が増えれば、結果的に東京ディズニーリゾートの宣伝にもつながります。

 

もう一つの「お誘い春キャン」とは、スマートフォン向けのコンテンツです。これはパークの地図を見ながら、当日の計画を立てられるというものです。1年に何度もパークを訪れるゲストに、低頻度のゲストを呼びこませる狙いがあるのでしょう。低頻度のゲストが増えれば、それだけ未来のゲストも増やすことができます。

 

 

ハードリピーター向けの集客策

実は2017年の閑散期は、年間パスポートを持っているようなハードリピーター向けの、新しい集客策も行われているのです。

 

1. セレブレーションホテルの割引プラン

2016年にオープンした「東京ディズニーセレブレーションホテル」これまでのアンバサダー、ミラコスタ、ランドホテルと比べて、比較的リーズナブルに宿泊できるホテルです。

 

 

今回の閑散期に合わせて、東京ディズニーリゾートの年パスを持っているゲストは、セレブレーションホテルに「25%割引で」宿泊できるプランが用意されています。

 

東京ディズニーリゾート・オンライン予約・購入サイト「【WEB限定】年間パスポート所持者特別宿泊プラン」

 

これはおそらく、地方に住んでいる年パスホルダーへの集客に加えて、首都圏の年パスホルダーが、家族や友人と一緒に泊まる「お泊まりディズニー」を見込んでいると思われます。

 

年パスホルダーにライトなファンを集客してもらおう、グッズやレストランメニューだけではなく、ホテルの宿泊代金も使ってもらおう、という狙いも透けて見えます。

 

2. 年間パスポート1デーフレンドパスポート

1月4日~3月17日まで、チケットブースで年パスを提示すると、割引価格の「1デーフレンドパスポート」が購入できるようになっています。年パスホルダーへ、この割引パスを宣伝する郵便はがきが届いたことでも話題になりました。

 

 

このフレンドパスポートは、同行者5名分まで、当日有効の1デーパスを割引で購入できるというものです。

 

公式ファンクラブ「ファンダフル・ディズニー」のメンバー向けに販売されている割引パスは、上限回数が決められています。フレンドパスは回数制限がありませんので、それだけ低頻度のゲストを集客してもらいたいのでしょう。

 

3. グリーティングドライブの日替わりキャラクター

シー15周年イベントでは、アニバーサリーコスチュームを着たキャラクターとのグリーティングは行われていません(バケーション・パッケージ限定は除く)。

 

その代わりとして、パーク内ではゲストの近くを車に乗ったキャラクターが通る「グリーティングドライブ」が行われています。キャラクターと至近距離で会うことができますので、なかなか好評です。

 


実は1月13日に、このグリーティングドライブで、毎日違うキャラクターが登場することが発表されています。

 

 

Twitterのみの発表で、公式ブログやウェブサイトでは一切触れられていません。「日替わり」と聞くと、ついつい見に行きたくなってしまうものです。年パスホルダーのように、何度もパークへ行けるゲストを想定した取り組みといえるでしょう。

 

力が入る閑散期集客は、焦りの表れ?

さて、ここまで東京ディズニーリゾートの閑散期集客について、具体的な取り組みと想定されているターゲットを考えてきました。

 

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©Disney

 

シーでは15周年イベントを開催していますので、一見すると、集客に問題はないように思われます。しかし、例年以上に力が入った集客への取り組みを見ると、オリエンタルランドの焦りを感じてしまうのです。

 

オリエンタルランドの想定よりも、入園者数が伸びていないのではないか。売り上げや客単価が、目標を下回っているのではないか。

 

ライバルである大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、大きく入園者数を伸ばしているのに対して、東京ディズニーリゾートは、どうしても陰に隠れている印象があります。もし、ここで2016年度の決算の数字が悪ければ、今年から本格化するパークの大規模開発へ「黄色信号」がともりかねません。投資家から不満の声が上がる可能性もあります。

 

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講談社『ディズニーファン』2016年9月号に掲載された、東京ディズニーランド大規模開発の建築模型。今年から工事が本格化する。©Disney

 

2020年度までのパーク開発計画については、こちらをどうぞ。

 

オリエンタルランドの集客に対する焦りが、客足が落ち込む閑散期への対策として、見えてきているのではないでしょうか。

 

今回触れた集客策以外にも、描き下ろしイラストを使ったものや、他企業とのコラボ商品、ダッフィーシリーズの新しい商品など、グッズ販売にも力が入っています。

 

 

さらに、閑散期を対象にして、生協会員やコーポレートプログラムに加入している企業・団体、スポンサー企業向けの割引パスポートの販売も行われています。

 

果たして、閑散期にどれだけ集客を伸ばすことができるのか。オリエンタルランドにとっては、試練の3か月になることは間違いなさそうです。

 

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©Disney