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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



東京ディズニーリゾートの「年越し」について考える

東京ディズニーリゾートの分析・考察

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われますが、年が変わってあっという間に1か月が経ってしまいました。舞浜新聞も本業が立て込んでしまい、ブログ更新の間隔が空いてしまいました。

 

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©Disney

 

舞浜新聞は2015年の年越しを、東京ディズニーリゾートで迎えました。2010年から毎年、年越しはパークで迎えているのですが、最近になって少し気になることが出てきました。

 

今回は1年の最後と最初を飾る「年越しイベント」について、少し考えてみたいと思います。

 

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©Disney

 

東京ディズニーリゾートの「年越し」

東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、12月31日から1月1日にかけて、夜間特別営業を行います。この時間帯は通常のパークチケットや、年間パスポートでは入園することができません。専用のチケットが必要になります。

 

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©Disney

 

この特別営業のチケットは、毎年8月頃に情報が発表され、郵便はがきとインターネットによる申し込みが始まります。先着順ではなく、抽選によって当たった人だけが購入できる仕組みです。

 

郵便はがきやインターネットによる申し込みに加えて、東京ディズニーリゾートの公式ファンクラブ「ファンダフル・ディズニー」のメンバー向けの抽選も行われます。

 

こうやって聞くと「東京ディズニーリゾートの年越しは、抽選に当たらないと見られない」と思われるかもしれません。実はディズニーホテルや、パーク周辺にあるオフィシャルホテルの、12月31日から1月1日の宿泊予約があれば、抽選なしでチケットを購入することができます。

 

抽選販売の場合は、事前に行くパークを選ばなくてはいけません。しかし、ホテルの宿泊予約があれば、大晦日の当日にランド・シーのどちらかを選ぶことができます。

 

ホテルの宿泊予約以外にも、東京ディズニーリゾートが販売している宿泊プラン「バケーション・パッケージ」や、旅行代理店が販売してる宿泊プランの中にも、年越しのチケットが含まれているものがあります。それらを予約・購入すれば、抽選に当たらなくてもチケットを手に入れることができます。

 

「年越し限定プログラム」はもうやっていない?

東京ディズニーリゾートの年越しと聞くと、何か特別なパレードやショーが行われるイメージがあるかもしれません。実は2010年の年越しまでは、特別営業だけのパレードやショーを行っていました。もちろん、アトラクションの運行に加えて、通常営業と同様のプログラムも行われていました。

 

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2010年の年越しの様子。パーク内では限定パレードやショーが行われていた。©Disney 

 

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2010年の東京ディズニーシーのトゥデイから。年越しの瞬間は3か所でスペシャルショーが行われた。©Disney

 

2011年から2015年までの年越しでは、従来行われていたパレードやショーはなく、年越しの花火だけが行われています。2010年までは年越し限定グッズの販売も行われていたのですが、現在はレギュラーグッズとお正月グッズの取り扱いだけになっています。

 

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2010年の年越し限定グッズ。現在はこういったグッズの取り扱いはない。©Disney

 

では、どうして年越しイベントが変化したのでしょうか。

 

2010年より少し前から、年越し限定のパレードやショーは縮小傾向にありました。ランドはパレードルート、シーはハーバーにゲストが集中するようになり、一部のエリアでは移動が困難になるほど人で埋め尽くされていたのです。

 

パーク全体のエンターテイメント・プログラムの縮小は、2006年から始まっていました。おそらく、年越しイベントのプログラムも、通常のパレードやショーと同じように、コストの削減と利益向上のために、カットされていったのでしょう。

 

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東京ディズニーリゾートのショー製作費の推移。近年はランド単体の頃と同水準まで削減されている。

 

そこに重なったのが、2011年3月の東日本大震災でした。パーク自体は大きな被害を受けなかったものの、これまでの殿様商売から、経営姿勢が一気に保守的になった印象があります。それまでの業務合理化・コスト削減の姿勢が、より一層強くなっていきました。

 

震災発生から3か月が経った2011年6月、日経新聞に一つの記事が載りました。それは年越し限定のパレードやショーを廃止して、花火だけに絞る、チケットの販売数をより増やす、というものでした。

 

 

オリエンタルランドは23日、東京ディズニーランド・シー(千葉県浦安市)での今年の年越し営業について、カウントダウンのパレードなどを取りやめると発表した。年越し営業の専用チケットは販売枚数が少なく、定員増を求める要望が強いため、パレードなどをやめて販売枚数を前年より5割弱増やす。

 

事前応募による抽選で販売する年越し専用チケットは、2010年は2パークで計6万5000人限定だった。パレードを見学できる人数に絞るため、通常営業の定員より大幅に少ない。今年は9万5000人分に増やす。価格は1人8000円で、12月31日午後8時から翌1月1日午前6時までパーク内に滞在できる。カウントダウンの花火は実施する。 

 

もし大晦日の夜に大きな地震が起きれば、パーク内は確実に大混乱となります。レジャーシートで埋め尽くされたパークでは、避難すらおぼつかないでしょう。そういった地震へのリスクが、年越しイベントの縮小につながった可能性はあります。

 

また天候に左右されやすく、コストが大きいパレードやショーをカットすれば、それだけ売り上げを伸ばすことができます。チケットの販売数を増やせれば、そのぶんディズニーホテルやオフィシャルホテル、それ以外のホテルの宿泊も増やすことができるからです。

 

実際、パレードやショーがカットされたことにより、パーク内の移動がスムーズになりました。トイレやショップなどの混雑も、以前に比べて改善されたように思います。

 

また、限定パレードやショーが行われていたときには、走って場所取りをしたり、ゲスト同士が場所取りでトラブルになったりすることもありました。加えて、大晦日の数日前から、野宿で開園待ちを行うゲストの姿も見られました。パレードやショーがカットされたことにより、こういった光景はなくなったのです。

 

最近ではバケーション・パッケージのゲスト向けに、パーク内のレストランでキャラクターによる「年越しグリーティング」も行われています。オリエンタルランドとしては、どれだけ付加価値をつけて、売り上げを伸ばすのか、その方法を模索しているのでしょう。

 

 

 

パレードやショーだけではなく、物販もカット?

さて、年越し限定のパレードやショーがカットされ、パークは日常と同じ様子を取り戻しました。売り上げも向上して、オリエンタルランド・ゲスト双方の満足度も向上したように思えます。

 

しかし、最近になって物販の内容も経費削減の影響を受けているのではないか、という気がしてきました。

 

例えば、年越しを代表する「年越しそば」と「雑煮」について、見ていくことにしましょう。

 

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2010年の年越しそばは500円、雑煮は400円でした。2011年になると、雑煮の値段はそのまま据え置かれたのですが、年越しそばは祝い箸がセットになり、一気に1,000円まで値上げされたのです。

 

売り上げ向上を目指した、テコ入れだったのでしょう。レストランメニューよりも、年越しそばのほうが単価が低く、利益率を上げにくかったからだと思います。

 

その後、2014年には祝い箸がカットされたのですが、値段は700円になりました。そして、2015年にはついに、年越しそば単品での販売がなくなり、ランドの「れすとらん北斎」とシーの「レストラン櫻」のセットメニューのみになってしまったのです。

 

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レストラン櫻のセットメニュー。年を越すと、セットの中の年越しそばが、雑煮に変わる。

 

さらに、2015年からは雑煮も「ニューイヤーズホットポット」に変わり、従来のお餅メインから、具だくさんな煮物へと変更されました。値段は500円値上げされて、900円に。もちろん、祝い箸は付いていません。

 

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2015年の東京ディズニーシーのトゥデイから。かつてあった「お雑煮」はメニューから消えた。©Disney

 

年越しそばについては、おそらく茹でる工程に手間がかかるために、レストランのセットメニューだけに絞ったと思われます。雑煮については、客単価を引き上げるために、安い具を増やして、値上げされたのでしょう。

 

私はこれを見た瞬間、ついに物販にもコスト削減の大ナタが振るわれたのだと実感してしまいました。これまで、パークで年越しそばを食べながら、その年の思い出を語り合い、年を越して花火を眺め、0時から行われる雑煮の販売に並んで、ゆっくり温まりながら正月気分に浸る…という私の流れも、大きく変わってしまいました。

 

11時間で9,000円は安い?高い?

2015年の年越しチケットは、大人・中人・小人共通で、一人9,000円となっています。年越しだけのものといえば、花火だけ。それ以外は、アトラクションと通常のパレードやショーのみです。もちろん、公演回数はあまり多くありません。

 

年越しチケットは大晦日の午後8時から、元日の午前7時まで有効です。パークに目いっぱいいたとしても、滞在時間は11時間。年越しの瞬間をパークで迎えられるという、特別な体験をすることはできますが、果たして11時間で9,000円というのは、妥当な金額なのでしょうか。

 

通常のパークの場合、営業時間は最長で「午前8時から午後10時まで」となっています。14時間フルでいたとしても、大人一人で6,900円です。子どもたちはより安い金額になりますし、2デー以上のチケットを買えば、それだけ1日当たりの金額は下がります。それを考えると、11時間で9,000円というのは、少し高く感じてしまうのです。

 

アメリカのパークでは、年越し限定のパレードやショーは行われていません。年越しの花火は東京と同じように行われますが、通常のチケットや年間パスポートでも入ることができるようになっています*1

 

「年越し限定エンタメ」の復活は、もう無理?

昔からのパークファンの方に話を聞くと「年越し限定のパレードやショーがないパークには、行く意味がない」「いつか復活してほしい」という、根強い復活論があります。

 

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©Disney

 

先ほども書いたように、カウントダウンイベントは、様々な問題点がありました。特に、パーク内がレジャーシートと人で埋め尽くされ、移動すらままならない状況は、確かに異様でした。それを考えると、単純に「カウントダウンのパレードやショーを復活させるべき!」とは言えないのが事実です。

 

オリエンタルランドとしては、コストも削ることができ、売り上げを伸ばしている現在の年越し営業を、今後も続けていくつもりなのでしょう。おそらく今後、チケットを売りさばけなくなったら、テコ入れに踏み切るのかもしれませんが、どれだけエンタメに力を入れるのかは、まったくの未知数だと思います。

 

もしかすると、アメリカのパークのように、通常チケットで入園することができるようにする可能性もあります。オリエンタルランドの最近の経営姿勢を見ていると、大晦日のたった1日のためだけに、予算を投入し、コストをかけて準備するとは思えないからです。

 

さて、かつて見ることができたカウントダウンの光景を、再びパークで見ることはできるのでしょうか。ハッキリ言って、その望みは限りなく小さいと私は考えています。

 

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©Disney

*1:混雑防止のため、入園制限が行われることがあります。