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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



ダニーは「第2のダッフィー」になれるのか?

東京ディズニーリゾートの分析・考察 ダッフィー

11月25日、日経産業新聞に「現場のチカラ」と題した記事が載りました。今回はその新聞記事から、オリエンタルランドの商品展開について、少し考えてみたいと思います。

 

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©Disney

 

どんな記事だったの?

日経産業新聞の記事では、オリエンタルランドが商品展開を進めているキャラクター「こひつじのダニー」について取り上げられました。内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

 

  • オリエンタルランドではダニーの育成に取り組んでいる。
  • 目標は「第2のダッフィー」
  • ダニー誕生のきっかけは、2015年の干支である羊のキャラクターを探していたとき。
  • 商品開発部の萩野谷敦子さんが、社内の資料室に通う中で見つけた。
  • 2014年8月 専用のサイトを開設
  • 2014年11月から販売開始
  • 季節ごとの限定商品として、映画に出てくる「ロゼット(リボン)」を発売。
  • 2015年4月にはピンク、6月には雨をイメージした水色を発売したが、毎回すぐに売り切れに。
  • 萩野谷さん「(ダニーの)人気は徐々に高まっている」

 

「こひつじのダニー」とは、もともと1948年に公開されたディズニー映画『So Dear to My Heart(わが心にかくも愛しき)』に登場するキャラクターです。

 

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こひつじのダニー ©Disney

 

しかし、この『So Dear to My Heart』は日本では公開すらされておらず、ソフト化もされていないという作品でした。そこに目を付けたのが、オリエンタルランドの商品開発部の萩野谷さんだったのです。

 

オリエンタルランドとしては、東京ディズニーシーのオリジナルキャラクターとして人気を集めている「ダッフィー」に次ぐ、キャラクターに育てたいと考えているようです。記事の中でも、萩野谷さんはダニーの人気が徐々に高まっていると語っていることから、商品展開に手ごたえを感じているのでしょう。

 

でも、ダニーってそんなに人気だっけ?

私はこの記事を読んで、一つの疑問が生まれました。

 

「ダニーって、そんなに人気があったっけ?」

 

ダッフィーのグッズは東京ディズニーシーのパーク内でたくさん見かけます。ぬいぐるみを持ち歩いている人や、グッズを身に着けている人もよく見かけます。

 

しかし、ダニーはどうでしょうか。関連グッズが売られているのは見たことがありますが、ダッフィーほどではありません。しかも、記事の中で「売り切れ」になるというロゼット(リボン)についても、カバンなどに着けている人を、ほとんど見たことがありません。

 

今年11月に入って、Twitterのタイムラインには「ダニーのグッズを買ったら、アンケートを渡された」というツイートが並びました。おそらく、オリエンタルランドとしても、どんなゲストがダニーのグッズを買っているのか、どんなニーズがあるのかを詳しく調べたいと考えているからでしょう。

 

ダッフィーについては、このようなアンケートが配られたという話は聞いたことがありません。ダニーの売れ行きについて不安な面が残るからこそ、こういったマーケティングを行っているのではないでしょうか。

 

ダッフィーは「偶然の産物」

オリエンタルランドはこれまで、東京ディズニーリゾートでオリジナルキャラクターを開発してきました。

 

最も有名なのは、東京ディズニーシー復活の立役者にもなった、熊の「ダッフィー」でしょうね。もともと「ディズニーベア」としてウォルト・ディズニー・ワールドで売られていたものを、オリエンタルランドの商品開発の担当者が発見。ディズニーベアをベースに、ディズニーと共同開発したのが「ダッフィー」でした。

 

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今では知名度が全国区となったダッフィー。東京ディズニーシーでしかグッズを買うことはできない。©Disney

 

ダッフィーの開発秘話や、人気に火が付いた理由については、以前の記事で詳しく解説しています。

 

 

ダッフィーは、パークで身に着けられるファンキャップやカチューシャと同じ役割を果たしたこと、そして着せ替えができることが、人気になった大きな理由だと舞浜新聞では考えています。

 

また、芸能人がダッフィーを持っている様子がメディアで取り上げられたことも、人気に火が付いた理由の一つだと考えています。どんなにSNSで情報が拡散しても、テレビが持つ拡散力もまだまだ大きいですからね。

 

大人気キャラクターとなったダッフィー。今ではガールフレンドのシェリーメイや、ネコの友人ジェラトーニといったグッズも展開されていますが、これはあくまでも「偶然の産物」と言えるのではないでしょうか。

 

もちろん、ダッフィーが持つ魅力も大きかったと思います。しかし、ダッフィーがここまで人気のあるキャラクターに成長できたのは、オリエンタルランドのマーケティングの力だけだったわけではありません。

 

 

さて、ダニーは「第2のダッフィー」になれるのでしょうか。私はかなり難しいのではないかと思っています。

 

ダニーは「第2のダッフィー」にはなれない?

ダニーは東京ディズニーランドでしか商品展開はされていません。これは「シーはダッフィー」「ランドはダニー」とすみ分けして、ダニーをランドの稼ぎ頭に育てたいという思いがあるからでしょう。

 

ダッフィーが誕生したのは、2005年のクリスマスイベントでした。一般に広く名前が知れ渡ったのは、2008年頃、ちょうど東京ディズニーリゾート25周年イベントの頃でした。ハードリピーターではなく、ライトなファンに広がるまで、およそ3年かかった計算になります。

 

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©Disney

 

では、ダニーもそれだけ時間をかければ、ダッフィーのような人気キャラクターに成長するのでしょうか。先ほども書いた通り、ダッフィーは「持ち歩ける」「着せ替えができる」という、大きな特徴を持っていました。ダニーはどうでしょうか。テディベアがベースになっているダッフィーとは違って「持ち歩く」というニーズを受け入れるのは難しいと思います。

 

また、コスチュームの代わりとして「ロゼット(リボン)」が着せ替え要素になりそうですが、コスチュームほど、ぬいぐるみに変化はありません。カバンにぬいぐるみバッチのように着けても良さそうですが、ぬいバよりも地味な印象があります。

 

ダニーは、シーの「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」に登場する虎のキャラクター「チャンドゥ」のような地位を確立できると思いますが、ダッフィーほどの人気キャラクターになれるとは思えません。

 

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アトラクションでも人気キャラクターになっている「チャンドゥ」実は原作となる映画もない、東京オリジナルのキャラクターだ。©Disney

 

オリジナルキャラ開発は、オリエンタルランドの宿命

さて、ダニーについて、舞浜新聞独自の視点で考えてみました。ダニーはディズニー映画に登場するキャラクターです。しかし、先ほども紹介したダッフィー・シェリーメイ・ジェラトーニや、チャンドゥは、ディズニー映画に登場しない、東京ディズニーリゾートのオリジナルキャラクターです。

 

東京ディズニーリゾートはディズニーによる直営のパークではなく、オリエンタルランドによるフランチャイズのパークであることは、読者の皆さんならよくご存じだと思います。

 

 

ディズニーの場合は、テーマパーク以外にも、アニメーション、実写映画、テレビ、マーチャンダイズなど、さまざまな収益源を持っています。そのため、パーク内ではそこまで露骨な商業主義には走りません。もちろん、パークを造ったウォルト・ディズニーも、そういった商業主義を嫌っていたということもあります。

 

しかし、オリエンタルランドの場合は、舞浜のパークやホテルが主な収益源です。チケット収入はディズニーに支払うロイヤリティが高めに設定されている、と言われていますので、よりロイヤリティが低いグッズやレストランなどの売り上げを伸ばさなければ、経営が難しくなってしまうのです。

 

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©Disney

 

ディズニーとしても、オリジナルキャラクターを開発して、東京ディズニーリゾートの物販収入が伸びれば、そのぶんだけロイヤリティが多く入ってきます。ダッフィーやシェリーメイのように、海外の直営パークでも商品を展開すれば、日本人ゲストの集客にもつながりますし、直営パークの売り上げも伸びます*1

 

オリエンタルランドにとっては、物販収入を伸ばせるオリジナルキャラクターの開発は、宿命といってもいいでしょう。おそらく社内では、すでにジェラトーニのガールフレンドになる、新しいネコのキャラクターの開発が進められているかもしれません。

 

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2016年春の新ショーで、ライブキャラクターとしての出演が決まってる「ジェラトーニ」ディズニーとオリエンタルランドは、このキャラクター開発に約2年を費やした。©Disney

 

若い女性向けのグッズ開発は仕方がない?

ダニーは一般のライトなファンにも広がり、人気キャラクターの地位を手に入れることができるのでしょうか。

 

かつてのダッフィーも、フリーグリーティングでゲストがまったく寄ってこない…という不遇の時代を過ごしてきました。ジェラトーニも、ヴェネツィアに壁画が描かれたときは、SNSを中心にかなりのバッシングがありました。しかし、今ではグッズの売れ行きも好調です。

 

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登場当初は「ヴェネツィアの雰囲気を壊す」という反対意見も相次いだジェラトーニの壁画。今は消されている。©Disney

 

東京ディズニーリゾートを訪れるゲストの約70%は女性です。しかも、年齢別を見ると、大人の女性が多く来園していることがよく分かります。

 

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(オリエンタルランド「ゲストプロフィール」より引用)

 

若い女性は購買意欲も高く、流行にとても敏感です。東京ディズニーリゾートのショップを見てみると、季節ごとに頻繁にグッズが入れ替わっていくのがよく分かります。しかも、若い女性が好みそうな、ポップでキュートなグッズばかり…。確かに主要ゲスト層に合わせた商品開発をすれば、こうなるのは仕方がないと思います。しかし、果たしてそれでいいのでしょうか。

 

「かわいい」という言葉を体現したグッズ以外にも、ゲストのニーズはたくさんあると思うのです。もちろん、ディズニーパークには「かわいい」要素は必要だと思います。しかし、このままいくと、ディズニーパークがただのキャラクターの遊園地になりそうな気がするのです。

 

果たして、今後のグッズ展開はどうなっていくのか。新しいパークオリジナルキャラクターはどうなるのか。オリエンタルランドの動きを注視していきたいと思います。

 

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©Disney

 

参考リンク

*1:ダッフィーやシェリーメイは海外のディズニーパークでも売られているのですが、その多くを日本人ゲストが買っているという情報があります。