舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



東京ディズニーリゾートのハロウィーンイベントを振り返る

9月8日~11月1日まで、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーではハロウィーンイベントが行われました。今回はそんなハロウィーンイベントについて、舞浜新聞らしい視点で振り返ってみたいと思います。

 

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©Disney

 

どうして今年は「ヴィランズ」がテーマだったの?

それでは、東京ディズニーシーのハロウィーンイベントから振り返ってみましょう。

 

東京ディズニーシーでは今回、ディズニー作品に登場する悪役たち「ヴィランズ」がテーマになりました。実は昨年のハロウィーンでは、ガイコツのキャラクター「スケルトン」が主役になっており、人気を集めていました。

 

スケルトンたちのアトモスフィアも好評だったので、2015年もスケルトンたちを出すのかな?と思っていたところ、まさかの「ヴィランズ」だったのです。

 

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2014年に行われた「ウェルカム・スケルトン・フレンズ」©Disney

 

これについては、おそらくオリエンタルランドの意向よりも、アメリカのディズニー社の意向が強く働いたためだと考えられます。

 

ディズニー社は、映画『眠れる森の美女』に登場する悪役「マレフィセント」を主人公にした作品を制作して、高い興行収入を上げました。またディズニーチャンネルでは、ヴィランズの子どもたちを主役にした『ディセンダンツ』という作品を制作して、こちらも北米で高い視聴率を獲得しています。

 

アメリカのディズニーパークでも、ヴィランズを主役にしたショーやイベントが開催されています。ディズニー作品には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、もちろん悪役であるヴィランズの人気も高いです。最近のディズニー社は、そんなヴィランズにスポットを当てているのです。

 

おそらく今回、東京ディズニーシーで「ヴィランズ」が主役になったのは、そういったディズニー社の意向が強く働いたためでしょう。もともと東京ディズニーランドでもヴィランズを主役にした年はありましたので、決して珍しいことではありません。

 

ただスケルトンを捨ててまで、ヴィランズに切り替えたというのは、少し疑問が残ります。オリエンタルランドとしては、まさかスケルトンがここまで人気になるとは思っていなかったかもしれません。これについては、ゲストのニーズを見極める難しさがあると思います。

 

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©Disney

 

「ヴィランズの手下」がもたらした功罪って何?

今回の東京ディズニーシーのハロウィーンで、一番注目されたのが「ヴィランズの手下」ではないでしょうか。従来のパークファンだけではなく、これまでパークを訪れなかった層の集客にも成功しました。

 

 

「ヴィランズの手下」とは、ディズニーのヴィランズの手下という設定の人間のキャラクターです。外国人キャストではなく、日本人キャストが担当しました。オリエンタルランドとしては、オリジナルキャラクターであるため、ディズニー社に支払うライセンス料を抑えられること*1、人件費の高い外国人ではなく、日本人を使えることなどから、導入を決めたのでしょう。

 

今回はウォーターフロントパークで行われるアトモスフィアと、セイリングデイ・ブッフェで行われるグリーティングの2つのプログラムが行われました。

 

しかし、大人気となった反面、様々な問題も起きてしまいました。

 

アトモスフィアは公演時間が明確に決められてはいません。そのため、開園と同時にダッシュで会場の場所取りが行われました。またいつ出てくるのか分からない手下を待つために、長時間の場所取りを行うゲストも多数現れました。

 

これについては、公演時間を変更したり、長時間の場所取りを禁止したりして、なんとか問題は解決されました。しかし、セイリングデイ・ブッフェは大混乱となってしまったのです。

 

 

セイリングデイ・ブッフェでは、お目当ての手下が出てくるまで、長い間居座るゲストがたくさん現れました。中には制限時間が書かれた札を差し替えたり、日付を書き換えたりするゲストもいたぐらいです。

 

また、レストランの予約(プライオリティ・シーティング)の転売、手下が出てこない時間帯になったら、待機列の後ろに並び直す、Twitterで横入りさせてくれる人を募集する…などなど、実にさまざまな問題が起きてしまったのです。

 

本来は集客のためだったグリーティングが、結果的にレストランの回転率を下げ、通常よりも売り上げを減らしてしまったのではないか、と考えられます。オリエンタルランドとしても、メディアで宣伝した以上、途中でプログラムを止めることはできなかったのだと思います。

 

今回の「ヴィランズの手下」をきっかけに、新しく年間パスポートを買った人も多かったと聞きます。ハロウィーンで年パスホルダーになった人たちが、今後どうなっていくのか。注目していく必要がありそうです。

 

パークでの仮装は「あり」?それとも「なし」?

さて、毎年話題になるのが「パーク内での仮装」ですね。今年から東京ディズニーシーでも指定日に限り、大人の全身仮装が解禁されました。

 

これについては「非日常のパークで仮装して楽しみたい!」というニーズが多い一方で、「パークの雰囲気が崩れる」という反対意見があることも事実です。

 

私としては仮装は反対ではないのですが、不愉快に感じるゲストがいることも事実だと思います。今回のイベントを見ていて、指定日ではないのに仮装をしたり、ボーダーラインのギリギリの仮装をしたりするなど、やはり問題のあるゲストの存在が目立ちました。

 

そろそろ「仮装ゲストとそれを見たいゲストだけ入園できます!」といった、夜間特別営業などを行ったほうが良い気がしています。専用チケットを販売すれば、それだけ売り上げの向上にもつながりますし、仮装しない・見たくないゲストとのすみ分けも可能です。

 

最近では、「大人の仮装イベント」に独自進化した日本のハロウィーンを楽しむために、外国人観光客が日本を訪れる事例も多いと聞きます。インバウンドの取り込むも含めて、検討の余地はあるのではないでしょうか。

 

また、以前導入されていた「チェックシール」の復活も検討すべきではないでしょうか。これについてはキャストの人員不足や、キャストによって判断基準が変わってしまう、という問題もあると思います。しかし、きちんとルールを守っているゲストと、そうではないゲストがいることは問題だと思います。

 

仮装はハロウィーンイベントの、大きな集客材料になっていると思います。すべてのゲストが満足して楽しめるように、今後プログラムを改善していく必要があるでしょう。

 

来年はどうなるの?

さて、来年2016年のハロウィーンはどうなるのでしょうか。

 

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©Disney

 

東京ディズニーランドの場合は、3年間続いた「ハッピーハロウィーンハーベスト」の終了と、新パレードの導入がすでに発表されています。

 

おそらく東京ディズニーシーでは、今年も行われた「ザ・ヴィランズ・ワールド」が行われると思われます。「ザ・ヴィランズ・ワールド」については、ダンサーやキャラクターも多く、非常に豪華なプログラムに仕上がっていると思います。シーでは15周年イベントも行われますので、ランドの新パレードとうまくゲストが分かれるのではないでしょうか。

 

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ミシカ終演で浮いた人員と資金を投入した「ザ・ヴィランズ・ワールド」©Disney

 

ただ、ヴィランズの手下が再び出るのかは微妙なところでしょう。アトモスフィアはなんとかできるかもしれませんが、レストランでのグリーティングは、おそらく難しいのではないでしょうか。

 

専用チケットを販売して、ショープログラムの一つにしたり、完全予約制にしてグリーティングを行ったりしなければ、また今年と同じ混乱が起きてしまうと思います。さて、ヴィランズの手下はどうなってしまうのか。注意して見ていく必要がありますね。

 

2016年10月からは、土曜日・日曜日・祝日は、日付指定のあるチケットでしか入園することはできなくなります。年間パスポートは対象外ですが、オリエンタルランドとしては、休日よりも平日に来園してほしいと考えているからでしょう。

 

 

来年のハロウィーンはどうなるのか。大きな集客効果を発揮して、パークの大規模開発に弾みをつけてもらいたいですね。

*1:「手下」とされていますが、基本的にはディズニーのヴィランズが元になっています。おそらくライセンス料は多少発生していると思われます。