東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、一度入園した後に、パークの外へ出ることができます。そのときに、ハンドスタンプを押してもらうと、当日入園に使ったチケットがあれば、再入園することができます。
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では、どうして再入園にスタンプが必要なのでしょうか。今回はそんな素朴な疑問の答えと、海外のパークの現状について、少し紹介したいと思います。
ハンドスタンプがないと、不正がやりたい放題?
エントランスの退園口にいるキャストさんにお願いすると、再入園に必要なハンドスタンプを押してくれます。
このハンドスタンプ、見た目は乳白色をしているのですが、乾くと透明になって、肉眼では見えなくなります。実はこれは蛍光塗料で、紫外線が出るブラックライトに反応して光る仕組みになっているのです。
このスタンプは、水で洗っただけでは落ちないようになっています。もし、洗剤で少し落ちたとしても、キャストさんが手持ちのブラックライトで照らして、ハンドスタンプだと分かれば、再入園することができます。
ホーンテッドマンションやピーターパン、インディ・ジョーンズなどの薄暗いアトラクションですと、中でブラックライトが使われています。その光に反応して、ハンドスタンプも光って見えますよ。
では、どうして再入園のために、わざわざハンドスタンプを押さなくてはいけないのでしょうか。チケットだけでもいいと思いますよね。
例えば、こんなときはどうでしょうか。まず2人でチケットを持って入園します。そのうちの一人が2人分のチケットを持って、一度パークの外に出ます。そして、外で待っていた人と待ち合わせて、さっき入園に使ったチケットを使えば…。2人分のチケットで3人入れてしまいますよね。
しかも、このやり方を使えば、何人でも不正に入園することができてしまうのです。これでは、パークの売り上げに響いてしまいます。
そこで、パークでは再入園の際にハンドスタンプを押して、確かにその人物がパークに一度入園したことを、証明しているのです。こうすれば、不正に入園することはできません。
海外のパークはどうしてるの?
それでは、東京以外のパークでは、どのように不正を防止しているのでしょうか。
まずはカリフォルニアのディズニーランドから見ていくことにしましょう。ここでは、1日券の場合のみ、再入園するときはハンドスタンプを押してもらう必要があります。しかも、東京とは違って「左手の甲」と決められています。
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ただし、ハンドスタンプが必要なのは「1日券のみ」2日以上有効のマルチデーパスの場合は、最初に使うときに、ゲートのキャストさんに顔写真を撮られます。
それ以降、入園するときは必ず登録した顔写真と、入園する人物が同じかを確認されます。そのため、ハンドスタンプを押してもらう必要はありません。
次に、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドを見ていきましょう。ここでは直営ホテル宿泊者向けに、ホテルのカードキーやパークチケットが一体になった「マジックバンド」が導入されています。
マジックバンドで入園する場合、ゲートのセンサーにバンドをかざすのですが、その後に指をセンサーにつけなくてはいけません。
ディズニーワールドの各パークに設置されている入園ゲート ©Disney
詳しいシステムは明かされていないのですが、どうも初回の指紋をバンドに登録して、入園時に照合しているようです。初回に登録した指とは違う指を使うと、エラーで入園できなかったという話も聞きます。もし、これからディズニーワールドへ行く方は、注意が必要ですね。
ちなみに、ディズニーワールドでは、年間パスポートや通常チケットの場合でも、ハンドスタンプではなく、指紋認証で本人確認を行っています。
パリでは東京と同様に、ハンドスタンプで本人確認を行っています。一方、香港の場合は、少し特殊になっています。
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香港では1日券の場合は、ハンドスタンプを押してもらいます。しかし、2日券や年間パスポートの場合は、初回に指紋を登録して、そのデータで本人確認を行います。
香港の年間パスポートには、東京とは違って顔写真はありません。その代わりに、指紋のデータで本人確認を行っているのです。現在は1日券ですと指紋を登録しなくてもよいのですが、将来的には拡大される可能性もありますね。
ちなみに、香港ではディズニーワールドとは違って、自分の好きな指ではなく「右手の親指」と決められています。ちょっと不思議ですね。
今後、東京はどうなるの?
さて、東京ではハンドスタンプによる本人確認を行っています。しかし、「スタンプを押してもらうのを忘れました!」と言うゲストは、少なからずいると思います。
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地方から来たゲストは、システムをよく知らないで一度出てしまった、という可能性はあると思います。しかし、もしそれが明らかに故意だとしたら…不正入園を許してしまうことにもつながりかねません。
日本の場合「指紋を取られる=犯罪者」というイメージが強く、根強い反対が予想されます。東京ディズニーリゾートでは、香港やディズニーワールドのような、指紋認証による本人確認は難しいと思われます。
今後、もし本人確認を厳格にするのであれば、アナハイムのように、初回に顔写真を登録する方法が一番現実的でしょう。事実、東京の年間パスポートは、登録された顔写真と照合して入園させています。今後、マルチデーパスに顔写真の登録が行われるかもしれません。
さて、今後の東京ディズニーリゾートはどう変わっていくのか。急増する外国人ゲストへの対応も含めて、解決すべき問題は山積みだと思います。
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