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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



三井不動産のスポンサー契約から何がわかるのか?

東京ディズニーリゾートの分析・考察

2015年7月15日、オリエンタルランドは一本のプレスリリースを発表しました。

 

オリエンタルランド 三井不動産株式会社が「東京ディズニーシー®」の参加企業に

http://www.olc.co.jp/news/olcgroup/20150715_01_01.pdf

 

内容はこれまで東京ディズニーランドの「ショーベース」のスポンサーを務めていた三井不動産が、新しく東京ディズニーシーの「ウォーターフロントパーク」も提供する、というものでした。

 

今回は突然発表されたプレスリリースから、今後の三井不動産やオリエンタルランドの動きについて、少し考えてみたいと思います。

 

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©Disney

 

そもそも、どうして「ウォーターフロントパーク」なの?

これまで三井不動産は東京ディズニーランドのショーベースだけで、シーの施設には提供していませんでした。今回、初めてシーの施設に提供することとなります。

 

講談社の「トゥーンタウン」や、日本ユニシスの「フォートレス・エクスプロレーション」のように、これまでもエリア全体を提供することはありました。先日、新しくスポンサー契約を結んだ花王も、シーの「トイ・ストーリー・マニア!」だけではなく、アトラクションがある「トイビル・トロリーパーク」のエリア全体も提供しています。

 

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トイビル・トロリーパークの入り口に掲げられた花王のロゴマーク ©Disney

 

しかし、今回三井不動産が新しく提供するウォーターフロントパークには、アトラクションは一切ありません。アトラクションがないエリアを提供するのは、史上初めてのことです。

 

ウォーターフロントパークでは、これまで特設ステージが組まれ、期間限定のショーが行われてきました。しかし、最近では経費削減の影響で、特設ステージは組まれなくなっています。

 

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2009年1月~4月まで公演された「ミッキーのドリームカンパニー」特設ステージが組まれた。©Disney

 

最近では地べたに座って鑑賞するショーの公演場所になったり、グリーティングが行われたりする場所として使われています。また飲食ワゴンが置かれ、デザートなども販売されています。

 

正直に言うと、ウォーターフロントパークを三井不動産が提供する意味は、まったくと言っていいほど見当たりません。ただの公園を、どうして三井不動産は提供するのでしょうか。

 

期間限定のショーを提供する?

三井不動産、オリエンタルランド双方からは、具体的にどんな契約になっているのかは発表されていません。まず考えられるのは「三井不動産がウォーターフロントパークで行われるショーのスポンサーになるのでは?」という見方です。

 

これまで期間限定のショーは、オリエンタルランドがその公演費用を出してきました。ディズニーとの契約の問題もあるかもしれませんが、期間限定のイベントやショーで、スポンサーによる協賛は一切行っていないのです。

 

オリエンタルランドは今後10年間で、約5,000億円という大規模な投資計画を発表しています。5,000億円は公募増資や銀行からの借り入れではなく、これまでの利益を積み上げて捻出する計画です。

 

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(オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

 

そのため、最近のパークでは徹底的な経費削減と商業主義が取られています。屋外で行われるショーやパレードは、天候に左右されやすく、人件費も高くつくため、最近ではショー製作費が徹底して削られています。またグッズやレストランメニューについても、なるべく原価を低く抑えて、利益が高くなるように工夫されています。

 

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1997年~2014年までのショー製作費の推移。ここ数年はランド単体時代と同程度まで落ち込んでいることが分かる。

 

そんなオリエンタルランドにとって、期間限定のショーを三井不動産に提供してもらえれば、それだけ経費を浮かせることができます。三井不動産にとっても、ランドのショーベースに加えて、シーでも広告宣伝の場所を手に入れることができるのです。

 

三井不動産はそんなに余裕があるの?

しかし、こういった見方もできます。

 

三井不動産はもともとオリエンタルランドの親会社であり、今も大株主として名前を連ねています。実は三井不動産は、オリエンタルランドが浦安にディズニーランドを誘致しようとしていた時に、そのぶんの土地を宅地として分譲したほうが儲かると考え、妨害工作を行ったのです。

 

そんな三井不動産が、経費が掛かる期間限定のショーにお金を出すとは思えない。そんな考え方もできます。オリエンタルランドの大株主ということは、オリエンタルランドから多額の配当金が三井不動産に対して支払われています。わざわざもらった金を、オリエンタルランドに返すようなことをするでしょうか。

 

実際、ランドのショーベースを三井不動産が提供し始めたのは、1990年のことでした。東京ディズニーランドが開園したのは1983年ですから、開園から7年後にやっとスポンサーになっています。また、ショーベースのオープンは1988年4月でしたから、オープンからすでに2年もたっています。

 

東京ディズニーシーが開園したのは、2001年のことです。そのときも、三井不動産は開園直後からスポンサーになることはなく、これまでランド単独のスポンサーになっていました。

 

そんな重い腰の三井不動産が、期間限定のショーを提供するというのは、ちょっと疑問が残ります。

 

単にショーベースのつなぎ?

ここで考えられるのは「ショーベースが閉鎖・廃止されるから、その代わりにウォーターフロントパークを提供するのでは?」という見方です。

 

オリエンタルランドはファンタジーランドの再開発を正式に発表しています。しかし、その再開発はトゥモローランドの一部を使って行われる予定です。そのぶんだけ、トゥモローランドのエリアは狭くなってしまいます。

 

あくまでも推測ですが、オリエンタルランドはファンタジーランドの再開発が一段落したら、トゥモローランドの再開発・拡張に踏み切るのではないでしょうか。そのときに障害となるのがショーベースなのです。

 

先ほども触れたとおり、ショーベースは1988年のオープンで、すでに27年が経っています。演目の変更ごとに舞台装置がリニューアルされていますが、おそらくかなり老朽化が進んでいると思われます。建て替えは急務であるといえるでしょう。

 

ファンタジーの再開発がトゥモローの土地を使って行われるとなると、トゥモローを拡張するには、隣接する平面駐車場の土地を使うしかありません。パーク内から拡張エリアへ、どうやって通路を造るのか。そこで考えられるのが、ショーベースを壊して通路を確保し、拡張エリアへつなぐというものです。

 

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コンセプトアートに描かれている「スペース・マウンテン」や、リニューアルしたばかりの「スター・ツアーズ」を考えると、ショーベースの閉鎖以外に通路を造る場所はない。

 

こうすれば、今のトゥモローランドの施設を大規模にいじることなく、エリアを広げることができます。また、拡張エリアに人を誘導している間に、既存施設のリニューアルも行うことができます。

 

そうなると、三井不動産は提供する施設を失ってしまいます。だからこそ、スポンサー契約を継続させるために、経費がほとんどかからないウォーターフロントパークを選んだのではないでしょうか。

 

今年の株主総会では、新ファンタジーランドにエンターテイメント施設が新設されることが明かされています。ショーベースを閉鎖して、新シアターが完成したら、三井不動産がスポンサーになる可能性もあります。

 

 

三井ホームはスポンサー契約を打ち切りへ

花王のスポンサー契約が話題になっていたとき、東京ディズニーリゾートのオフィシャルスポンサーから一つの企業が姿を消しました。それは住宅メーカーの三井ホームでした。

 

三井ホームはこれまで、ランドの「アリスのティーパーティー」を提供してきました。しかし、今年の7月でひっそりとスポンサー契約を打ち切っています。

 

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「アリスのティーパーティー」のモニュメント。「提供 三井ホーム」の字がきれいに消されている。©Disney

 

舞浜新聞では「アリスエリア建設に向けた準備なのか?」というのが、一番最初に頭の中に浮かびました。

 

オリエンタルランドはファンタジーランドの再開発で、映画『美女と野獣』をテーマにしたエリアに加えて、『ふしぎの国のアリス』をテーマにしたエリアの建設を正式に発表しています。

 

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『ふしぎの国のアリス』をテーマにしたエリアのコンセプトアート ©Disney

 

オリエンタルランドが発表しているコンセプトアートを見る限り、「アリスのティーパーティー」はそのまま残ると思われます。しかし、三井ホームが契約を打ち切ったということは、単に広告宣伝効果がスポンサー料に見合わなかっただけではなく、再開発にお金を出したくなかったから、といった見方もできるのです。

 

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オリエンタルランドのプレスリリースより引用。アリスのティーパーティーを思わせる施設が残っている。©Disney

 

今後、三井不動産がこれまでにない形で、ウォーターフロントパークでスポンサー活動をするのか。それとも、単なるショーベースのつなぎとして、何も活動しないのか。今後のパークでの開発を含めて、注目していく必要がありそうです。

 

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©Disney