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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



売れないグッズを並べるショップは、もういらないの?

東京ディズニーリゾートの分析・考察

5月28日、オリエンタルランドは東京ディズニーランドに新しいショップ「ジャングルカーニバル」が、今年12月にオープンすることを発表しました。

 

オリエンタルランド「東京ディズニーランド® にゲームが楽しめるショップ『ジャングルカーニバル』が2015年12月オープン」

http://www.olc.co.jp/news/tdr/20150528_02.pdf

 

場所はアドベンチャーランド、現在の「パシフィック・エクスポート」「サファリ・トレーディング・カンパニー」「チキ・トロピックショップ」の3つのショップが立ち並んでいる場所に造られる予定です。

 

今回は新ショップの発表について、舞浜新聞独自の視点で考えていきたいと思います。

 

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©Disney

 

どんなショップができるの?

オリエンタルランドの発表によると、新しくオープンする「ジャングルカーニバル」は、2種類の有料ゲームが楽しめるショップになる予定です。

 

東京ディズニーシーのアラビアンコーストにある「アブーズ・バザール」では、2種類あるゲームに挑戦して、成功すればぬいぐるみなどのプレゼントがもらえるようになっています。おそらく「ジャングルカーニバル」も同様のショップになるでしょう。

 

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東京ディズニーシーの「アブーズ・バザール」(東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトより引用)©Disney

 

また隣接する「アドベンチャーランド・バザール」も、キャラクターグッズを販売するショップへとリニューアルする予定です。

 

これら2つの新しいショップの外壁には、ディズニー映画『ジャングル・ブック』のキャラクターたちが描かれ、店内はインドのジャングルや宮殿などをモチーフにデザインされる予定です。

 

オリエンタルランドから発表されたプレスリリースでは、詳しい完成イメージなどはありませんでしたが、おそらくかなり細かなところまで決まっていると思われます。オープン時期は2つのショップともに、今年12月を予定しています。詳しい時期については、今後発表されます。

 

新ショップのオープンに伴い「パシフィック・エクスポート」「サファリ・トレーディング・カンパニー」「チキ・トロピックショップ」は、今年6月21日でクローズする予定です。また「アドベンチャーランド・バザール」は、リニューアルのため、今年6月22日から一時クローズされます。

 

どうして『ジャングル・ブック』なの?

ディズニー映画『ジャングル・ブック』は、1967年10月にアメリカで公開されました。ラドヤード・キップリングが、1894年に発表した同名小説『The Jungle Book』が原作となっています。映画ではジャングルで動物たちに育てられた少年「モーグリ」と、動物たちとの交流が描かれています。

 

 

東京ディズニーランドのアドベンチャーランドは、その名の通り「冒険」がテーマになっています。今回のショップのリニューアルにあたって、ジャングルが舞台になっている『ジャングル・ブック』は、コンセプトとしてふさわしいと考えたのでしょう。

 

またディズニーは来年(2016年)4月に実写版『ジャングル・ブック』の公開を控えています。北米での公開から日本での公開まで、時間が空く可能性はありますが、ディズニーとしては映画の広告宣伝効果も狙っているのではないでしょうか。

 

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2016年4月公開予定の実写版『ジャングル・ブック』のコンセプトアート ©Disney

 

新ショップは「テーマ性の破壊」?

さて、新ショップ「ジャングルカーニバル」は、現在「パシフィック・エクスポート」「サファリ・トレーディング・カンパニー」「チキ・トロピックショップ」の3つのショップが立ち並んでいる場所に造られます。

 

では、これらのショップではどのような物が売られていたのでしょうか。以下はそれぞれのショップで取り扱っている商品です。

 

  • パシフィック・エクスポート 和風デザインのキャラクターグッズ
  • サファリ・トレーディング・カンパニー アフリカの民芸品やアクセサリー
  • チキ・トロピックショップ ポリネシアンの民芸品やアクセサリー

 

パシフィック・エクスポートは、2013年3月まで「千葉物産館・美術工芸(Chiba Traders Arts and Crafts)」というショップでした。こちらは1983年のオープン当時から「千葉物産館」として、多くのゲストに親しまれてきました。2013年4月にリニューアルされ、名前もパシフィック・エクスポートに変わっていました。

 

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「パシフィック・エクスポート」(東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトより引用)©Disney

 

サファリ・トレーディング・カンパニーとチキ・トロピックショップでは、アドベンチャーランドのテーマに合わせて、キャラクターグッズではなく、アフリカやポリネシアンの民芸品を中心に取り扱っていました。パークの中でも、ちょっと雰囲気が変わったショップでした。

 

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「サファリ・トレーディング・カンパニー」(東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトより引用)©Disney

 

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「チキ・トロピックショップ」(東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトより引用)©Disney

 

また「ジャングルカーニバル」のオープンに合わせてリニューアルされる「アドベンチャーランド・バザール」は、中南米や東南アジアの民芸品、アクセサリー、衣類などを取り扱っています。こちらもアドベンチャーランドのテーマに合ったショップになっていました。

 

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「アドベンチャーランド・バザール」(東京ディズニーリゾートの公式ウェブサイトより引用)©Disney

 

以前のパークでは、テーマランドごとにショップの品ぞろえが異なり、そのエリアのテーマに合った商品が売られていました。

 

しかし、現在はどのショップに行っても、ワールドバザールの「グランドエンポーリアム」や「ワールドバザール・コンフェクショナリー」のように、季節イベントのグッズや菓子といった、いわゆるキャラクターグッズが主に売られています。

 

オリエンタルランドからすれば、売れるかどうか分からない商品を並べておくより、回転率がよく、売り上げも伸びるキャラクターグッズを並べるほうがいいでしょう。

 

1983年の東京ディズニーランド開園当時、海外旅行はまだまだ身近なものではありませんでした。そんな時代に開園したパークは、海外旅行を日本で疑似体験できる場所でした。だからこそ、アドベンチャーランドには、そのエリアテーマに合ったアフリカや中南米、東南アジアなどの民芸品を並べ、まるで海外に来たかのような雰囲気を作り出す必要があったわけです。

 

しかし、これだけ海外旅行が安く、手軽に行けるようになると、訪れるゲストは「海外の雰囲気」をパークに求めなくなりました。今多くのゲストが求めているのは、ミッキーマウスやミニーマウス、プリンセスのようなディズニーのキャラクターたちでしょう。生きているキャラクターに会えるのは、東京ディズニーリゾートぐらいですから。

 

オリエンタルランドが民芸品を取り扱っているショップをテコ入れして、キャラクターグッズを販売するショップにリニューアルする理由も納得できます。

 

オリエンタルランドにとって、チケット料金よりも、グッズなどの物販収入のほうが、ディズニーに支払うロイヤルティーは低く抑えられています。つまり、売れば売るだけオリエンタルランドの収益は増えていくわけです。

 

また、パーク内で売られているほとんどの商品は、メーカーとオリエンタルランドが共同開発した、いわば「プライベートブランド」の商品です。菓子類などは代表的ですが、ディズニーに支払う版権料を考えても、かなり利益率は高いと思われるのです。

 

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東京ディズニーリゾートで売られている菓子のパッケージ。製造元であるメーカー名の表示はない。

 

しかし、こういったキャラクターグッズ偏重に対して「エリアの雰囲気が壊れる」「テーマランドの『テーマ』を無視している」といった指摘があるのも事実でしょう。しかし、実際、東京ディズニーランドでアフリカやポリネシアンの民芸品を買う人は、一体どれくらいいるのでしょうか?

 

品ぞろえの均一化はゲストが求める姿なのか?

先ほど「以前のパークは、テーマランドごとにショップの品ぞろえが異なっていた」と書きました。今ではどのショップに入っても、同じようなグッズが売られているのですが、以前は「衣類はここ」「文房具はここ」「お菓子はここ」というように、もっと細かく分かれていました。

 

ショップの品ぞろえが違っていた頃は、アトラクションを回りながら「このショップは何が売っているのだろう?」「こんなものも売ってるんだ!」といった、宝探しのようにショップを回ることもできました。しかし、こういった楽しさがある反面、「このグッズはどこで売ってるんだろう?」「これが欲しいのに売ってないなあ」といった、不便さがあるのも事実でした。

 

パークの閉園間際、特に夜の打ち上げ花火が終わった直後ともなると、パーク内のショップは非常に混雑します。

 

よく雑誌やガイドブックでは「閉園間際のショップは大混雑!」と書かれているのですが、それでもゲストがこの時間帯に集中するということは、それだけ「帰る前におみやげを買いたい」「荷物は持ち歩きたくないから、おみやげを買うのは閉園間際」と考えている人が多いからでしょう。

 

オリエンタルランドにとっても、パークを回りながらちょっとずつグッズを買ってもらうよりも、帰り際にまとめて大量に買ってもらったほうが、利益を伸ばすことができます。

 

ワールドバザールにある「グランドエンポーリアム」は、元々あったショップ「エンポーリアム」を、衣類を取り扱う「タウンクロージャーズ」と、短編アニメを上映している「メインストリートシネマ」を潰して2003年に拡張しました。

 

また、同じくワールドバザールにある「ワールドバザール・コンフェクショナリー」も、「ムービープレミアショーケース」「ディズニーコレクション」「カメラセンター」の3つのショップを潰して、元々あった菓子類のショップ「コンフェクショナリー」を拡張させる形で、2006年3月にオープンしました。

 

ワールドバザール・コンフェクショナリーでは、混雑緩和のため、パーク内で初めて売り場と会計エリアを分ける「集中レジ」を導入しました。それだけ、菓子類の需要があるとオリエンタルランドが認識している証拠でしょう。

 

ワールドバザールの出口付近にある2つのショップが拡張しているということは、オリエンタルランドにとって、帰る前にグッズを買って欲しいという思いがあるのではないでしょうか。

 

また、品ぞろえを均一化させたのは、この2つのショップへの出入りを、ほかのショップに流して混雑を混和させたい、という思いもあるのかもしれません。

 

ゲームセンターは儲かるの?

さて、新しくオープンする「ジャングルカーニバル」は、東京ディズニーシーのアラビアンコーストにある「アブーズ・バザール」のように、2種類の有料ゲームが楽しめるショップになる予定です。

 

アブーズ・バザールでは1回500円でゲームに挑戦することができます。なかなか難易度は高いのですが、成功しそうでしない、という感じになっているのが、なんとも悔しいですね。

 

こういったアーケードゲームについては、失敗するゲストもいますし、商品の原価を考えて参加費が決められていますので、利益率はかなりいいでしょう。

 

ぬいぐるみを持ち歩いているゲストがいれば「あのぬいぐるみはどこで売ってるんだろう?」「あそこのゲームで取れるのか!」といった反応にもつながりますし、人が少ないエリアに人を呼び込むことができます。ショップのテコ入れとして、ゲームを導入する理由も納得できます。

 

物販の強化はパーク単独経営の弊害?

オリエンタルランドはディズニーとライセンス契約を結び、フランチャイズでディズニーパークを運営しています。ディズニーと資本関係もなければ、取締役などの人的交流も一切ありません。また出資もなし、株式の持ち合いもなし、というかなり特殊な企業関係になっています。

 

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世界にはアメリカ(カリフォルニア・フロリダ)、フランス、中国*1にそれぞれディズニーパークがありますが、いずれもディズニーによる直営か、ディズニーと資本関係のある企業が運営しています。それを考えると、東京のパークは非常に特殊であるといえます。

 

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米フロリダ・マジックキングダムにあるシンデレラ城。東京ディズニーランドはマジックキングダムをモデルに造られた。©Disney

 

オリエンタルランドは今後10年間で、東京ディズニーリゾートに5,000億円という大規模な投資をする計画を立てています。東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、そしてその周辺エリアが、今後10年間で大きく変わっていくとみられています。

 

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ランドではファンタジーランドの再開発、シーでは新テーマポートの建設が公式に発表されている。(オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

 

この5,000億円は、ディズニーは一切資金を出していません。オリエンタルランドでは、銀行からの借り入れや増資などではなく、これまでの利益を積み上げて、それをパークへの投資に振り向ける計画です。

 

ディズニーによる直営であれば、映画やテレビ、マーチャンダイズといった事業全体のなかで「テーマパーク事業」を考えればいいため、そこまで露骨な商業主義や経費削減は行われません。

 

しかし、オリエンタルランドのように、パーク単独経営、しかもフランチャイズ経営の場合、パークの売り上げや利益がすべてであり、それらの数字が非常に重要になってきます。

 

オリエンタルランドの場合は、東証一部の上場企業でもあり、情報公開をしながら、株主の意見も聞きつつ、経営していかなければいけないという課題もあります。

 

最近の東京ディズニーリゾートでは、どうしても今後の投資のために、物販重視や経費削減の姿勢が目立ってきました。いくらパーク単独経営で、今後の投資のために資金が必要だからと言っても、露骨な商業主義はゲスト離れにつながる危険性もあります。

 

今後オリエンタルランドがどんな発表をするのか。注意して見ていく必要がありそうです。

 

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©Disney

*1:香港と、2016年開業を目指して上海にも建設中です。