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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



どうしてオリエンタルランドは株式を分割するの?

2月24日、オリエンタルランドは今年4月1日に、自社が発行している株式を分割することを発表しました。オリエンタルランドが株式分割を行うのは、上場後初めてとなります。

 

株式会社オリエンタルランド「株式分割の実施」および「株式分割の実施に伴う株主優待制度の配布基準変更」、「長期保有株主様向け優待制度導入」のお知らせ

http://www.olc.co.jp/news/olcgroup/20150224_03.pdf

 

そもそも「株式分割」とは何でしょうか。どうしてオリエンタルランドは株式分割をするのでしょうか。初心者の方でも分かりやすく説明したいと思います。

 

「株式分割」ってなに?

世の中には様々な会社があります。その中でも「株式会社」と呼ばれるものは「株式」という証書を発行して、それを多くの人に買ってもらうことで、お金を集めています。ものを作ったり、サービスをしたりするためには、まずお金が必要になりますからね。

 

会社がお金を集めるときは、株式を発行する方法に加えて、銀行やほかの会社から借金をする方法もあります。ただ借金の場合は儲かっているときはいいのですが、損をしているときでも期限までに返さなくてはいけません。もちろん、利息も支払う必要があります。

 

しかし、株式の場合は、それを売って得たお金を返す必要はありません。会社がつぶれてしまっても、株を買った人(株主)は「金を返せ!」とは言えないのです。

 

会社にとっては儲かったときに「配当」として、儲けの一部を株主に配ればいいだけです。株式の発行は企業にとって、便利なお金の集め方なのです*1

 

株式分割とは、もともと会社が発行している株式を分けることをいいます。ちょうどピザを切り分けるような感じでしょうか。

 

例えば、これまでは100株で100万円だった株を、4分割して100株25万円で買えるようにするのです。もともと100株を持っていた人は、4分割されれば4倍の400株になります。価値は変わりませんので、損をすることはありません。

 

株式分割の目的は?

株式の取引の場合「売買単位」というものが決まっています。これは株式を何株単位で売買するか、という決まりです。東京証券取引所(東証)の場合は、100株と1,000株が売買単位として決められています。株は基本的には、1株ごとでは買えないのです*2

 

株式を分割すれば、これまで「100万は高くて買えないよ」と思っていた人でも「25万円くらいなら買えるかも」と思ってくれます。

 

また「100株100万円ならもったいなくて売れないよ」と思っていた人の場合、株式分割で元の株が4分割されれば、持っている株が4倍の400株になるので「400株のうち、100株は売ろうかな」と思ってくれます。株式分割によって、売り買いする人が増えるのです。

 

株式を取引する証券取引所の場合、株を売りたい人と、株を買いたい人との間で思いがそろわないと売買は成立しません。売り買いする人が増えれば、それだけ取引がスムーズになるのです。

 

どうしてオリエンタルランドは株式分割をするの?

東京ディズニーリゾートを運営しているオリエンタルランドも株式会社です。オリエンタルランドの場合は東京証券取引所の第一部に上場しています。上場すると、株式市場でいろいろな人に株式を売り買いしてもらえるようになります。

 

日本にはいくつかの証券取引所があるのですが、その中でも東京の第一部は上場するための基準が厳しく決められており、優良企業しか上場することができません。

 

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株式会社オリエンタルランド本社

 

オリエンタルランドは投資家向け案内の中で、4月1日に行う株式分割の目的をこのように書いています。

 

当社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的とし、2015年3月31日を基準日として、2015年4月1日に1株を4株に分割いたします。

 

株式分割によって、株の取り引きがスムーズになるというのは、先ほど説明した通りです。オリエンタルランドは今回、これまで発行した株式を「4分割」することを発表しました。

 

株式分割が発表された2月24日の株価(終値)は29,860円でした。オリエンタルランドの株式は100株単位で売買されますので、最低でも約300万円が必要だったのです。しかし、これが4分割されると「75万円」で買えるようになります。

 

2014年1月頃は15,000円前後だった株価は、今年1月にはその倍となる3万円前後の値を付けています。オリエンタルランドの純利益を考えると、適正株価は6,000円~7,000円だと思われますので、最近ではかなり高騰していました。

 

この異常な高騰については、東京五輪の決定で外国人観光客の増加が見込めること、好景気に伴って、今後パークへの設備投資が期待されることが、その理由として考えられます。

 

また、東証と日本経済新聞社が算出している「JPX日経インデックス400」の銘柄にも、オリエンタルランドは選ばれています。これは投資家にとって魅力の高い会社が選ばれているため、オリエンタルランドの株式も人気を集めているのではないか、と考えられるのです。

 

株式が分割されれば、今までは高くて手が出せなかった個人投資家でも、オリエンタルランドの株式を買うことができるようになります。

 

また2014年1月から始まった「NISA(少額投資非課税制度)」では、株や投資信託などで得た利益や配当金を一定額、非課税にできるようになりました。このNISAの枠は「毎年100万円まで」オリエンタルランドはこれまでNISAの枠から外れていたのですが、株式分割によってNISAの枠で買えるようになるのです。

 

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日本証券業協会が制作したNISAのテレビCM。イメージキャラクターには女優の剛力彩芽が起用された。

 

オリエンタルランドの株式を買う個人投資家が増えれば、もし仮にオリエンタルランドの株式を買い占めようとする企業が現れても、それを防ぐことができます。

 

また株式分割によって、オリエンタルランドが発行できる株式数も増えました。もし今後、多くの資金が必要になったときでも、新規株式を発行して、株式市場から資金を集めることができるのです。

 

株式分割のデメリットはないの?

オリエンタルランド、株主どちらにとっても良いことずくめのように見える「株式分割」実は、企業にとってはデメリットもあるのです。

 

まずは株主が増えること。買いやすくなれば、それだけ株主も増えます。企業は「株主総会」といって、毎年株主を集めた会議を開きます。企業にとってお金を出してくれている株主は「オーナー様」企業に関する重要事項は、株主総会で決められる仕組みになっています。

 

株主が増えれば、それだけ総会に参加する人数も増えます。大きな会場を用意しなければいけませんし、多くの人員も必要になるでしょう。それだけ企業が負担するコストは大きくなります。

 

また総会への招待状や株主通信といった郵便物、株主優待などの配布にもコストがかかってきます。企業にとって、株主を増やすことは必ずしも良いことではないです。

 

特にオリエンタルランドにとって、毎年の株主総会は「ゲストからの陳情大会」になってしまっているのが実情です。本来であれば担当部署に伝えるべき案件を、総会の質疑応答で直接経営陣に伝える…。もし今後、オリエンタルランドの株主が増えれば、こういった陳情大会が長くなる可能性もあります。

 

実はオリエンタルランドの株式分割については、以前から噂されていました。しかし、舞浜新聞では、こういった陳情大会が増えることに加えて、株主数の増加に伴うコスト増などから、オリエンタルランドは当面株式分割に踏み切らないのでは?と見ていました。

 

ここにきての決断には、正直驚きでした。株主数が増えることによるコスト増よりも、最近高騰していた株式の流動性を高めること、そしてNISAを使った個人投資家からの資金調達を念頭に考えているのかもしれません。

 

長期保有株主への優遇措置も発表に

オリエンタルランドからは株式分割に加えて、株主優待の内容変更や、長期保有株主への優遇措置の新設も発表されました。

 

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(オリエンタルランドの投資家向け案内から引用)

 

株式分割によって、従来の株主は保有株数が4倍になります。それだけ売りやすくなりますので、売られないように長期保有者への優遇措置を発表したのでしょう。

 

また短期的に売り買いをされると、株価が大きく変動します。長期保有者が増えれば、それだけ株価は安定し「オリエンタルランドは安心できる」という評価にもつながります。

 

オリエンタルランドの場合は配当金に加えて、パークで使える「株主優待パスポート」が年に2回発行されています。株主優待も長期保有を促すために行われているものです。

 

企業にとって長期保有者を増やすことは、配当や株主優待などのコストの増加につながります。ただ、エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)や買収防衛などのためには、非常に大切なことです。オリエンタルランドも将来の経営を考えて、今回の長期保有者への優遇措置を導入するのでしょう。

 

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(オリエンタルランドの投資家向け案内より引用)

 

今後はどうなるの?

オリエンタルランドから発表された株式分割。2016年からはNISAの非課税枠が120万円まで拡大される方針です。また未成年でも利用できる「こども版NISA」の創設も予定されています。今後NISAの非課税枠を使って、オリエンタルランドの株式を買う人が増えるかもしれません。

 

 

またオリエンタルランドは今後10年間で5,000億円という大規模な金額を、東京ディズニーリゾートに投資しようとしています。この投資はパークからの利益を使って行う予定ですが、新規株式の発行によって、株式市場から資金を調達することも十分考えられます。

 

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オリエンタルランドから発表された新ファンタジーランドのコンセプトアート ©Disney

 

今後オリエンタルランドの株価はどうなっていくのでしょうか。ひとまず注目していきたいと思います。

 

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©Disney

*1:もちろん、ほかの会社に株式を買収されて、会社が乗っ取られるリスクもあります。

*2:証券取引所に上場していない会社の株や、配当や株主優待が受けられない「ミニ株」などは、1株単位で取引をすることができます。