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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



オリエンタルランドが「サンクスデー」を行う意味とは?

東京ディズニーリゾートの分析・考察

1月27日、毎年恒例の「サンクスデー」が東京ディズニーランドで開催されました。

 

 

以前は知る人ぞ知る、関係者向けのイベントだったのですが、最近ではメディアにも取り上げられるようになりました。今回は、毎年パークで行われている「サンクスデー」について、ひも解いていきたいと思います。

 

「サンクスデー」って何?

サンクスデーとは、普段現場で働いている準社員(アルバイト)の皆さんが、閉園後のパークで「ゲスト」となり、その代わりに社員の皆さんが「キャスト」としてもてなす、というイベントです。

 

貸し切り営業といっても、アトラクションやレストラン、ショップのほとんどは通常通り営業されます。社員の皆さんが現場に出るということで、普段のパークとはまた違った雰囲気になります。

 

もちろん、オリエンタルランドの上西社長もカストーディアルキャスト(清掃担当)としてパークに立ちました。

 

当日はシンデレラ城前でセレモニーも行われ、デイパレード「ハピネス・イズ・ヒア」のスペシャルサンクスバージョンも披露されました。貸し切り営業でこういった特別なプログラムが行われることは異例と言っていいでしょう。これもサンクスデーならではだと思います。

 

どうして、こんなことするの? 

さて、この話を聞く限り「オリエンタルランドは現場の準社員たちを大切にしているんだなあ」と思う人がほとんどでしょう。また「私もキャストになりたい!」と思う人も多いのではないでしょうか。

 

一見すると、オリエンタルランドがいかに人材を大切にしているのかが分かる「サンクスデー」。では、どうして、このようなイベントを行っているのでしょうか。

 

東京ディズニーリゾートは、多くの準社員(アルバイト)によって支えられています。高校生から働くことができるため、近隣の高校生・大学生や若い方、そして主婦の方や定年退職された方など、幅広い年齢層の方が「キャスト」として働いています。

 

東京ディズニーリゾートの管理・運営をしているのは株式会社オリエンタルランド。そのオリエンタルランドの正社員は約2000人ほど。それに対して契約社員・準社員を合わせた人数は約19000人*1となっています。いかに多くの準社員によって、パークが支えられているかが分かるでしょう。

 

これだけ多くの準社員を抱えている東京ディズニーリゾートですが、人の入れ替えが激しいことでも有名です。

 

アルバイトの場合「仕事がきつくて」とか「上司と合わなくて」といった理由も多いのですが、パークの場合は若い学生キャストさんが多いために、進学や就職で辞めてしまうケースが多いのです。「研究に専念したい」「就活が始まるから」といった理由も考えられます。辞めてしまった分、現場は代わりの人材を補充しなければいけません。

 

1月10日・11日にオリエンタルランドは「東京ディズニーリゾート ニューイヤーキャスト面接会」を行いました。新人キャスト1300人を募集するという大規模なもので、2日間で約5000人の就職希望者が訪れました。

 

 

これだけ大規模なキャスト面接会を、オリエンタルランドは定期的に開催しています。それだけ現場ではキャストの入れ替えが激しいということなのです。

 

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京葉線に乗ると、キャスト募集を知らせる広告をよく目にする。面接会以外でも、キャストは常時募集中となっている。©Disney

 

さて、ここで本題に戻ります。オリエンタルランドがサンクスデーを開催するのは、現場のキャストの満足度を高めるため。素直に見ればそうでしょう。しかし、私は「新しい人材を効率的に集めるため」ではないかと考えています。

 

東京ディズニーリゾートのキャストは「M・A・G・I・C」の5段階のグレードが設定されています。新人キャストは「Mキャスト」からスタートして、徐々にグレードアップしていきます。もちろん、時給もそれに応じて上がっていく仕組みです。

 

では、ここでオリエンタルランドが何を考えるのか。まずは「より少ない人材で現場を回す」ということを考えるでしょう。より少ない人材であれば、人件費も低く抑えることができます。しかし、これだけでは不十分。その次に考えられるのが「経験年数の若いキャストで回せないか」というものです。

 

経験豊かなキャストは、効率的に仕事をこなしますし、より多くのゲストにハピネスを提供するでしょう。しかし、会社とすれば、経験年数に応じてより多くの時給を払わなくてはいけません。一方で経験年数の若いキャストで現場を回すことができれば、安い時給ですませることができるのです。

 

ここで、東京ディズニーリゾートのキャスト募集を行っている「キャスティングセンター」のウェブページを見てみましょう。

 

 

学生に向けたページ、サンクスデーを紹介するページ、そしてクローズ業務*2を紹介するページなどがあります。オリエンタルランドがどういったことを考えて人材を集めているかが分かりますね。

 

一部では「内輪イベントであるサンクスデーをここまで宣伝するのは、キャストの成り手がいないからでは?」という声も聞きます。しかし、前述したとおり、オリエンタルランドは大規模なキャスト面接会を開催しており、就職希望者も多く訪れています。

 

どうして、サンクスデーを行うのか。もちろん、現場のキャストの皆さんに「ゲスト」の感覚を味わってもらい、サービスへの原動力につなげるのも理由の一つでしょう。

 

しかし、本来は内輪イベントであるはずの「サンクスデー」がここまでメディアに取り上げられるということは、新しい人材を効率的に集めるために「ディズニーパークのキャストになると、こんないいことがあるんですよ!」と宣伝しているような気がしてならないのです。

*1:2012年3月31日現在。東京ディズニーランド・東京ディズニーシーを合わせた数字となっています。

*2:「クローズ業務」とは、パークの閉園に伴う業務のことです。勤務時間が遅いために、やりたがる人が少ないという現状があるからでしょう。