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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



これが東京ディズニーリゾートのマーケティングの勝利なのか?

気温の低い日が続いていますが、東京ディズニーリゾートではいよいよ30周年イベントの大詰めを迎えます。パークは「Happiness goes on」と題して、様々なグッズが販売されています。こういったものを見ると「もうすぐ30周年も終わりなんだな」と改めて感慨深くなってしまうものです。

 

さて、そんな30周年イベントのフィナーレを見ていて、舞浜新聞はかなり危機感を覚えました。今回の記事は「本当にこれからの東京ディズニーリゾートは大丈夫なのか?」という気持ちで、一気に書き上げました。

 

豪華なショーは一切なし!

これまでのアニバーサリーイベントでは、天候が悪くなりがちで気温も低い1月~3月には豪華なキャッスルショーやステージショーを開催して、ゲストを集客するという手法を取っていました。

 

この時期はどうしても家族連れや学生の来園が落ち込んでしまうため「ディズニー大好き!」というパークファンに訪れてもらうやり方を取っていたのです。

 

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25周年イベントで行われたステージショー「ミッキーのドリームカンパニー」ウォーターフロントパークの特設ステージではこれ以降、閑散期にショーが行われたことはない。©Disney

 

しかし、1月14日から始まった「Happiness goes on」では、そういった集客の目玉となるエンターテイメント・プログラムは用意されていません。唯一のエンタメと言えば、ランドのデイパレード「ハピネス・イズ・ヒア」が途中3回停止して、ショーモードを行うぐらいです。

 

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30周年イベントの目玉として導入された「ハピネス・イズ・ヒア」 ©Disney

 

しかもこれまでのデイパレードでは、アニバーサリーの年は通年でショーモードを実施、イベント終了後はショーモードなしの通過型へ変更、という流れでした。それを考えると、イベント終盤になってのショーモード実施にどうも違和感を覚えるのです。

 

結局は「コストカット」 

屋外で行われるショーやパレードは、天候に大きく左右されます。多額の投資をしてエンタメを開発し、ダンサーやキャラクターを確保しても、天候不順が続けばプログラムの実施は難しくなります。

 

実施できなければ、製作費や人件費がコストとして経営の足を引っ張ります。それは企業経営を考えれば、誰しも理解できることです。しかし「コストカット」「経費削減」の一言で、エンタメを削減してよいのでしょうか。

 

これまで舞浜新聞では、たびたび近年のオリエンタルランドの利益至上主義や経費削減について、記事の中で論じてきました。本来こういった話題は夢と魔法が壊れるため、ディズニーファンの皆さんを不愉快にさせてしまうのではないかと心配していました。

 

しかし、多くの読者の皆さんから「もっとこういった記事を書いてほしい」という励ましの声をたくさんいただきました。それだけ多くのディズニーファン、パークファンの皆さんが現状に対して「何か変だぞ?」と思われている証なのだと考えています。

 

オリエンタルランドは投資家向けの文書や株主総会で「ゲストの満足度に影響を及ぼさないコスト・コントロール」という言葉を使っています。豪華なエンタメはマニアしか見ない。それなら削っても一般のゲストには関係ない。おそらくそういうことなのでしょう。

 

マーケティングを徹底するパーク 

オリエンタルランドはほぼ毎日のように、ゲストにインタビューを行っています。私も経験があるのですが、どこから何人で来たのか、何が目的でパークを訪れたのか、パークでどんなことを楽しみにしているのか、といったことを事細かに聞かれます。

 

最近ではメディアにも取り上げられ「東京ディズニーリゾートのマーケティングはすごい」「多くの来園客が訪れているのに、それにあぐらをかいていない」ということで、肯定的に評価されています。

 

またアトラクションのスタンバイに並んでいるゲストに調査カードを渡して、どれくらいの待ち時間かを調べたり、レストランの客に調査カードを渡して、滞在時間や料理提供までの時間を調べたりといったこともしています。かなり具体的な数字も集めているのです。

 

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しかし、その一方で、これだけ念入りなマーケティングをしているということは、ゲストが何を求めているのかをオリエンタルランドは絶対につかんでいるはずなのです。もしつかんでいないとすれば、かなり無能なマーケティング集団だと言えるでしょう。まさかそんなことはないと思いますが。

 

つまり、オリエンタルランドはゲストが何を求めているのかを分かったうえで、コストカットを行っているはずなのです。それだけエンタメを求めるより、アトラクションやグリーティングを求めるゲストのほうが多いという証拠なのかもしれません。

 

「金コス」グリーティングをめぐる混乱 

1月14日から始まった「Happiness goes on」パークでは30周年イベントの衣装、通称「金コス」を着たミッキーとミニーのグリーティングが始まりました。これまでショーの中でしか金コスを着用しておらず、グリーティングの衣装では使われていなかったのです。そのためゲストが殺到。開園直後にラインカット*1、さらには金コスグリーティング目当ての徹夜組まで現れるほどです。

 

私はこの話を聞いて、オリエンタルランドはゲストをもてあそんでいるのではないか、そんな気さえしてしまいました。ゲストが期間限定の衣装を着たキャラクターのグリーティングを強く望んでいる。それが分かっていて、わざとやらない。客足が落ち込む閑散期に、客寄せとしてスペシャルグリーティングをやる。

 

東京の場合、海外のパークと違って、キャラクターと一緒に写真撮影をする人よりも、キャラクターそのものを撮影する人のほうが多いです。さらに子どもよりも大人のほうがディズニー好きが多い。本来はキャラクターとのふれあいであるグリーティングが、殺伐とした撮影会になる。本当に見ていて辛いです。

 

これがマーケティングの結果なのでしょうか。これがオリエンタルランドの考えるディズニーパークの姿なのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、30周年の「ハピネス」はゲストのハピネスではなく、オリエンタルランドのハピネスではないのでしょうか。

 

ゲストのために最高のサービスを提供するよりも、オリエンタルランドの利益、株主の利益のほうが大切なのではないでしょうか。私はそう思うのです。

 

「さぁ、つぎのハピネスへ」聞いていて不安になる 

「ハピネス・イズ・ヒア」のショーモードには30周年の要素は少ないです。閑散期の集客策として、期間限定で今後も実施される可能性はあります。もし実施されれば、キャラクターやダンサーの様々な表情を見ることができるため、多くのパークファンが訪れることでしょう。でも果たして、それでいいのでしょうか。

 

今回の記事のタイトルは「これが東京ディズニーリゾートのマーケティングの勝利なのか?」おそらく今年度、2013年度の東京ディズニーリゾートの入園者数は過去最高を更新するでしょう。決算の数字もかなりいいものを出してくると思います。まさにオリエンタルランドは勝負に勝つのです。

 

少ない投資でより大きな利益を。経営では当たり前のことをオリエンタルランドは実行しているだけ。そういった見方もできます。しかし、コストカットを続けるオリエンタルランドの経営姿勢を見ていると、東京ディズニーリゾートのこれからがすごく心配になるのです。

*1:「ご案内終了」ともよばれますが、定員に達したため、それ以上ゲストを並ばせないという意味です。