読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



オリエンタルランド「2014年3月期中間決算」を読み解く

東京ディズニーリゾートの分析・考察

いよいよ企業からの中間決算が発表される時期になりました。オリエンタルランドも10月30日に、今年度の第2四半期(7月~9月)決算を発表しています。

 

今回の記事では、オリエンタルランドが発表した資料を読み解いていきたいと思います。

 

過去最高を更新!

今回の決算を見ていると「過去最高」という言葉をよく目にします。具体的に数字で見ていきましょう。

 

  • 売上高 2,300億円(前年同期比 22.1%増)
  • 営業利益 584億円(同49.6%増)
  • 経常利益 575億円(同47.1%増)
  • 税引き後利益*1 359億円(同40.8%増)
  • 入園者数 1,535万人(同15.9%増)
  • 客単価*2 10,920円(同4.9%増)

 

今回の数字は上半期、つまり4月~9月の半年間だけの数字です。それでも、これだけの数字をたたき出しているのは、かなりすごいことです。しかも、どの数字も過去最高を更新。まさにオリエンタルランドの経営は絶好調と言えるでしょう。

 

f:id:Genppy:20150725171135j:plain

今年は東京ディズニーランド開園30周年。多くのゲストがパークを訪れている。©Disney

 

オリエンタルランドは好調だった理由について、東京ディズニーランド開園30周年のイベントに伴う新規パレード・アトラクションの導入が好評だった、周年イベントで客に来園動機が促された、雨の日が少なかった、遠出する客が増えた、などを挙げています。また、客単価の上昇については、30周年の記念グッズの販売が好調であると書いています。 

 

f:id:Genppy:20131104123924j:plain

30周年の記念グッズの一部。パーク内のショップでは、数多くのグッズが販売されている。©Disney

 

人件費やイベントに伴う経費も増えていますが、それを差し引いてもこの数字というのは、正直驚かされました。オリエンタルランドはもともとの予想を堅めにしていたため、それを上回るのは当然と言えば当然なのですが、いかに30周年イベントの集客力が強いかが分かります。

 

客室稼働率は90%台後半! 

私が驚いたのはこれだけではありません。なんと、オリエンタルランドが経営している3つのディズニーホテル*3、すべてが客室稼働率90%台後半となっているのです。

 

通常のリゾートホテルの場合、スイートルームといった稼働率が低い部屋もあるため、ここまでの高い数字にはなりません。

 

日本経済新聞の記事によると、今年8月の東京都内の主要19ホテルの平均客室稼働率は85.7%となっており、いかにディズニーホテルが優秀かが分かります。特にアンバサダーホテルは前年同期は70%台後半であったため、30周年効果でいかに宿泊客が増えたのかも分かります。

 

 

今後の見通しは? 

オリエンタルランドは2013年度の通期決算を以下のように予想しています。

 

  • 売上高 4,603億円(前年同期比 11.3%増)
  • 営業利益 1,066億円(同28.9%増)
  • 経常利益 1,055億円(同28.1%増)
  • 税引き後利益 662億円(同26.6%増)
  • 入園者数 3,070万人(同10.8%増)
  • 客単価 10,900円(同1.9%増)

 

特に驚きなのが、入園者数の予想を「3,070万人」としたところです。2001年の東京ディズニーシー開園以降、ランド・シーの入園者数は合算で発表されていますが、3,000万人を超えたことは一度もありません。オリエンタルランドは堅実に決算を立てているはずですから、おそらくこの数字は達成されるでしょう。

 

ちょっとデータは古いのですが、2011年度のフロリダ・マジックキングダムの入園者数は1,714万人、カリフォルニア・ディズニーランドは1,614万人となっています。オリエンタルランドによると、今年度はランド・シーのどちらかにゲストが偏っているということはないそうで、ほぼ均等に客が入っているとのこと。それを考えれば、ランド・シーでそれぞれ1,500万近い人が入園しているということになります。

 

f:id:Genppy:20160227223105j:plain

世界最大の入園者数を誇る「マジックキングダム」ウォルト・ディズニー・ワールドには4つのテーマパークがあるが、一番人気を誇っている。©Disney

 

ランドが開園15周年を迎え、盛大にアニバーサリーイベントを開催した1998年度。この年、ランドは過去最高となる1,745万人の入園者数を達成しています。このとき、パークの収容能力は限界を迎えていました。シーはそんなランドの補完的施設として作られた経緯もあります。

 

もし今後、入園者数がさらに伸びることになれば、当然パークの拡張や第3パークの建設も視野に入ってくるのではないでしょうか。

 

f:id:Genppy:20130408152926j:plain

「Viva! Magic」をテーマに開催された15周年イベント。ファンの間でも評価する声が高い。©Disney

 

30周年イベント終了後も、アトラクションのリニューアルや新規エンターテイメント・プログラムの実施が予定されています。今後ますます多くのゲストが東京ディズニーリゾートを訪れるでしょう。また、オリエンタルランドは海外からのゲスト獲得も今後の課題として挙げています。

 

上海にディズニーランドができるのが2015年。これで中国はアメリカと並んで、一つの国に二つディズニーランドを持つことになります。海外ゲストが少ない東京ですが、今後の少子高齢化や国内市場の縮小を考えれば、海外からのゲスト獲得は急務であると言えます。今後の対応に期待したいところです。 

 

電話説明会で気になることが… 

今回の決算発表にあたって、オリエンタルランドの高橋渉執行役員(経理部担当)による電話説明会が行われました。その中で質疑応答があったのですが、気になるものがいくつかあったので、ここで紹介しておきます。

 

Q) 舞浜エリアの開発など成長投資の内容について、次期中期経営計画発表においてどこまで説明してもらえるのか。

 

A) より長期的な視点での開発になると考える。どの程度具体的なレベルでお伝えできるか、現時点では言及できないが、方向性を示したいと考えている。

 

舞浜新聞では、オリエンタルランドの次期中期経営計画で、パークへの新たな投資計画が発表されるのでは、と睨んでいます。しかし、この回答はちょっと期待外れ。それでも、中期経営計画は3年分の計画ですので、舞浜の開発はそれより長いスパンで考えている、ということかもしれません。

 

Q) 現在のパークのキャパシティはどの程度なのか。また、今期の入園者数増加の背景として運営力の向上によりキャパシティが上がっている側面はあるか。

 

A) キャパシティ自体の数字は考え方によって変わるので、言及するのは難しい。また、今期の入園者数増加をキャパシティという視点で考えると、オペレーション能力の向上が寄与している部分もあるが、ゲストが混雑日に集中することなく、平準化して来園いただいたことが大きいと考える。特に夏休み期間においては、入園制限を実施することなく、平日休日関わらず多くのゲストにお越しいただいた。

 

これは興味深い回答です。「ゲストの平準化」はオリエンタルランドもたびたび言及していますが、30周年でゲストが集中している今年は比較的、来園が分散しているみたいですね。首都圏向けに平日限定の「ウィークデースペシャルパスポート」を販売するなど、オリエンタルランドも色々と工夫しているようですが、今後もこのあたりは注目していく必要がありそうです。

 

Q) 国内と海外など、今後のターゲットについての考え方について教えて欲しい。

 

A) メインターゲットは国内マーケットであり、40 代以上や3 世代での来園促進、バケーションパッケージなどの施策を行っている。同時に、今後重要な位置づけとなる海外マーケットについても、営業活動を着実に行っている。

 

子育てが終わって一段落したゲスト向けの「45PLUSパスポート」、祖父母・父母・孫の3世代来園を狙ったキャンペーン「3世代ディズニー」、そしてオリエンタルランドならではの付加価値を付けて販売しているバケーションパッケージ。まさにこれらはオリエンタルランドの今の営業ターゲットが誰なのかを示しています。

 

特にバケーションパッケージはパークでの体験価値を高め、ゲストからもかなり高い満足度を得ています。オリエンタルランドにとっても、自らが旅行代理店となるため、中間マージンが発生しない利益率の高い商品です。今後もバケーションパッケージの販売は盛んにおこなわれるでしょう。

 

Q) ディズニーホテルの客室稼働率が90%台後半とのことだが、来期以降、更に収益を伸ばす可能性はあるのか。

 

A) 例えば、ディズニーアンバサダーホテルで実施したキャラクタールーム導入のように、客室の魅力を高めることにより、客室単価を引き上げることも考えられる。また、中長期的には、客室数を増やす選択肢も考えられると思うが、その必要性を含め、舞浜エリア全体開発の中で検討していきたい。

 

先ほど「ディズニーホテルの客室稼働率がすごい!」と書きましたが、ここまで高ければ、当然客室の増設や新たなディズニーホテルの建設も視野に入ってくるでしょう。予約が取れずに諦めているゲストも多いはずですから。

 

ただ、やみくもに部屋を増やせば、それだけコストも増えますし、稼働率は下がってしまいます。あくまでも中長期的な課題と言えるでしょうね。 

 

株価も15,000円台を維持しているオリエンタルランド。時価総額は1兆円を超え、国内企業の中でも100社のうちの一つに入っています。まさに絶好調の数字をたたき出しているオリエンタルランド。今後の新しい投資計画にも期待したいところです。

*1:会計書類では「当期純利益」とも書かれることが多いです。

*2:ゲスト一人当たり、いくら使ったかというものです。

*3:ディズニーアンバサダーホテル、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、東京ディズニーランドホテルの3つです。