舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



これからの東京ディズニーシーを考える【ショー・パレード編】

さて、以前の記事で東京ディズニーシーのアトラクションについて、その将来像を考えてみました。

 

 

今回は「ショー・パレード編」パーク内で行われているエンターテイメント・プログラムの将来像について、考えていきたいと思います。

  

以前の記事と同様に、取材を基に独自の推測・推察を書いております。正式発表がないものについては、当社の見解であることをご承知おきください。

 

メディテレーニアンハーバー

シーの中心ともいえるハーバーを使ったショーは「ハーバーショー」と呼ばれ、ランドのパレードと同様にパークのエンターテイメントプログラムの大きな要素を占めています。

 

お昼のショーは「レジェンド・オブ・ミシカ」シー5周年イベントの目玉として2006年7月に導入されました。スポンサーは講談社。投資額は当時の金額で約30億円ですから驚きです。導入が7月と中途半端なのは、シー5周年イベントのスタートが7月だったためです。

 

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©Disney

 

導入からすでに7年が経過していますが、オリエンタルランドから2014年9月7日をもって終演することが発表されています。

 

色とりどりのフロートやパイロなどの特殊効果をふんだんに使った完成度の高いショーですので、私としては終演は非常に残念です。ただ、気になるのはそんなミシカの後継となるショー。まだ1年以上も先の話ですので、詳しいショーの内容について公式発表はありません。

 

一部では「昼のハーバーショーは廃止されるのでは?」「講談社がスポンサーから撤退するのでは?」といった噂もあります。まずハーバーショーの廃止について、その可能性は限りなく低いかゼロだと私は考えています。昼のハーバーショーを廃止するということは、ランドでパレードを廃止するのと同じ意味を持つからです。

 

2006年以降、エンターテイメントプログラムの経費削減・圧縮を続けているオリエンタルランドですが、さすがにそこまでの改悪はしないでしょう。

 

ハーバーショーの需要、つまり見ているゲストの数が少ないというのであれば廃止も選択肢として考えられますが、ハードリピーターの方から普通のゲストまで、幅広く支持を集めているショーを廃止するとは考えられません。

 

次にスポンサーである講談社について。過去10年間の売上高を見てみると、電子メディアへの移行や雑誌離れなどもあって右肩下がりになっています。ミシカが導入された2006年前後の決算の数字は良かったのですが、最近は苦しい経営が続いているというのが現状のようです。

 

ランドのトゥーンタウンのように、一度の大型投資であとは維持管理をするだけ、というのなら講談社にとっても楽でしょう。トゥーンタウンにある専用ラウンジ「クラブ33 1/3」は、接待などでかなり活用されていますので、講談社としても十分見返りをもらっています*1

 

ただ、継続的な投資が必要なエンタメはそうはいきません。直近の第74期決算の数字を見ても、ミシカと同等規模の大型投資に踏み切れるかどうかは微妙です。

 

私としては対外的にマイナスイメージともなる「ディズニーのスポンサーから撤退」というのは講談社としても避けたいと思われます。なぜなら月刊ディズニーファンをはじめとして、講談社が独占的に扱っているディズニー関連の本・雑誌は売り上げがかなり大きいからです。それをみすみす逃すとは思えません。

 

とくに講談社は1960年にディズニー・プロダクション(当時)と独占契約を結んで、ディズニー絵本の販売を日本で初めて手がけた出版社です。ディズニー、オリエンタルランド双方の顔に泥を塗るのは避けたいのではないでしょうか*2

 

私としては後継ショーはミシカと同等規模か、それより少ない規模の投資となる可能性が高いとみています。講談社がスポンサーを継続すると思われますが、それでも経費を抑えてくるでしょう。ショーの完成度に影響がなければいいのですが…。

 

後継ショーの導入時期も気になります。シーの開園記念日は9月4日。9月7日にミシカを終了させるということは、その10日後をめどに新しいショーを導入すると考えられます。ランド30周年イベントが終わるのが2014年3月。おそらく周年イベントの後は入園者数の落ち込みが予想されますので、そのテコ入れとしてミシカの後継ショーが使われるでしょう。さて、どんなショーを見せてくれるのか。期待して待つことにしましょう。

 

夜のショーは「ファンタズミック!」シー10周年イベントの目玉として2011年4月に導入されました。奇しくも東日本大震災の影響でイベント自体は9月からに延期となってしまいましたが、ファンタズミックは4月のシー営業再開と同時にスタートしています。

 

提供はNTTドコモ。投資額は約30億円。ランドの昼のパレード「ハピネス・イズ・ヒア」への投資額が約15億円(非公表)とされていますので、その倍となっています。

 

ファンタズミックについては、カリフォルニアやフロリダのパークでも導入されている人気の水上ショーです。東京でもランドへ以前導入が検討されましたが、十分な水上スペースがないことから断念。その代替として同じスタッフが手掛けたのがパレード「ファンティリュージョン!」あの独特の曲を覚えている方もいるのではないでしょうか。

 

そんなファンタズミックはカリフォルニアでは1992年5月、フロリダでは1998年10月にそれぞれスタートしています。20年以上も続いているのです。それだけ多くのゲストから長年の支持を集めているといえるでしょう。

 

東京のファンタズミックは海外のプログラムにも負けていないと私は思っています。これについては今後のゲストの反応次第だとは思いますが、アメリカ同様に支持を集めれば、10年、20年というロングランになるかもしれません。

 

実際、細かなリニューアルはありますが、アメリカではプログラムの大きな流れに変更はありません。東京でもロングランになるでしょうか。期待したいところです。

 

アメリカンウォーターフロント

S.S.コロンビア号に隣接するドックサイド・ステージでは「テーブル・イズ・ウェイティング」が行われています。このショーは2011年4月にスタート。ファンタズミックと同様に、シー10周年イベントに合わせて導入されました。

 

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©Disney

 

といっても、新しくプログラムが作られたわけではありません。元々このショーは2008年9月~10月に開催されたスペシャルイベント「ディズニー・ア・ラ・カルト」で期間限定という形で行われました。それを一部リニューアルする形で導入したのです。

 

私としてはハロウィーンイベントがなかった頃のシーの思い出として、強く印象に残っているショーでしたが、まさかレギュラーショーとして再演されるとは思ってもみませんでした。

 

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リゾート25周年でシー秋季イベントとして行われた「ディズニー・ア・ラ・カルト」この翌年、2009年からシーでもハロウィーンイベントが行われることに。©Disney

 

さて、ここからはちょっと厳しい話をします。私はてっきり、シー10周年に合わせてドックサイド・ステージに新しいショーを導入すると思っていました。しかし、ふたを開けてみたら過去のショーの再演。これはそごうのスポンサー撤退が大きく影響していると考えています。

 

2003年4月から2008年4月まで、ドックサイドステージには百貨店のそごうがスポンサーとしてついていました。イスや柵が設けられたのも、そごうがスポンサーについた頃です。そしてリゾート25周年を目前にしての撤退。テーブル・イズ・ウェイティングはちょうどこの時期に、ノンスポンサーで開発したショーでした。

 

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そごうがスポンサーについていた頃の看板。ロゴマークがはっきりと掲げられている。©Disney

 

過去のショーを、ほぼそのままの形で再演するのであれば、ショーの開発費は大きく抑えられます。現場のキャストやダンサーの負担も大きく減らせるでしょう。しかし、それは果たしてゲストの満足度につながるのか。私は非常に気になります。

 

オリエンタルランドがテーブル・イズ・ウェイティングのロングランを考えているのであれば、おそらくシー15周年の2016年前後までプログラムの変更は行われないと思われます。

 

もし、次のショーまでの「つなぎ」として考えているのであれば、ミシカが終演する2014年前後に新しいショーについて、何らかの発表があるかもしれません。しかし私としては、この「つなぎ」という可能性は低いと思います。

 

そごうに代わる新しいスポンサーが見つかれば、また状況は変わってきますが、ノンスポンサーの現状であれば、2016年までの続投の可能性が高いと言えるでしょう。

 

日本航空がスポンサーを務める「ブロードウェイ・ミュージックシアター」で行われているのが「ビッグバンドビート」シー5周年イベントに合わせて2006年7月にスタートしました。当初は2007年3月末までの期間限定の予定だったのですが、その後続投が決まり、レギュラーショーとなっています。

 

当初は期間限定だったのをレギュラーショーに格上げしたということは、ゲストからの評価に加えて、スポンサーである日本航空の意向もあると思われます。熱狂的なゲストに支えられていますので、ここは当分の間プログラムの変更は行われないでしょう。

 

特に外国人シンガーやダンサー、バンドの契約もありますので、オリエンタルランドも変更には慎重にならざるを得ないかもしれません。

 

もし変更するとするならば、シー15周年の2016年前後か、リゾート35周年の2018年前後になるでしょう。どちらにしても、10年以上のロングランになることは間違いなさそうです。

 

コカ・コーラがスポンサーを務める「ケープコッド・クックオフ」ここはシーで唯一ショーを行っているレストランです。ここで行われているショーが「マイ・フレンド・ダッフィー」2010年3月にスタートしました。開始当初は「ダッフィーがついにショーの主役になった!」と話題になったものです。

 

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©Disney

 

こちらのショーは2014年1月20日から一部プログラムがリニューアルすることが発表されています。

 

コカ・コーラといえばランドでスペース・マウンテンも提供している優良企業。パーク内でも飲み物でコカ・コーラのロゴを見ることは多いと思います。それだけの優良企業がスポンサーですから、ショースタートから3年あまりでのリニューアルが可能になったのでしょう。

 

マイ・フレンド・ダッフィーに関しては、ダッフィー・シェリーメイ人気が続く限り、細かなリニューアルが今後も行われると思われます。ただゲストの反応次第では、抜本的なリニューアルに踏み切る可能性はありますが、現状ではそれはないでしょう。

 

ロストリバーデルタ

ハンガーステージで行われているのが「ミスティックリズム」実はこのショーはシーで唯一、開園からほぼリニューアルされずにそのままの形で公演が行われています。スポンサーはブリヂストン。

 

ディズニーのキャラクターは一切登場しませんが、人間の肉体美や能力を強く感じることのできる完成度の高いショーです。開園当初の、ディズニー色を排除したシーらしさを今でも残しているショーともいえるでしょう。ここについては、ゲストからの支持もありますが、スポンサーであるブリヂストンの意向が強いと思われます。

 

プログラムの変更については、今後のゲストの反応とスポンサーであるブリヂストンの意向次第でしょう。私としては今後5年間はプログラムの変更はないと見ています。

 

さて、これからどうなるの?

記事の中でも紹介しましたが、改めて。エンターテイメント・プログラムに関してオリエンタルランドからの公式発表は以下の通りです。

 

  • マイ・フレンド・ダッフィー 2014年1月20日一部変更
  • レジェンド・オブ・ミシカ 2014年9月7日終演
  • マーメイドラグーンシアター 2015年春 新プログラム導入

 

オリエンタルランドが東京ディズニーシーのエンターテイメントをどう考えているのか。それが分かるのはリゾート30周年が終わってから、まずはシーが15周年を迎える2016年までの間でしょう。

 

そしてランドが35周年を迎える2018年までにどう動くのか。ランドのエンターテイメントとの関連も気になるところです。経費削減を続け、ショー製作費の圧縮を続けるオリエンタルランド。ゲストの満足度が下がらなければいいのですが…。

 

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過去10年間のショー製作費のグラフ。近年は経費削減と圧縮が続いている。

 

最後に、私が考える東京ディズニーシーのエンターテイメントの将来像をいくつか書いておきました。あくまでも推測にすぎませんが、海外のパークでの事例などをもとにして書いています。決して可能性はゼロではないことを書き記しておきます。

 

  • 夜の花火は廃止。その代替としてプロメテウス火山、もしくはハーバーを中心とした夜のショーを行う。
  • 固定費の大きいウォーターフロントパークのステージショーは廃止。より多くのゲストが見れるハーバーショーに一本化。
  • 予約制のショーレストランの新設。ただしスポンサーが必須条件。キッコーマンの「レストラン櫻」かプリマハムの「ユカタン・ベースキャンプ・グリル」か。もしくはそれ以外のレストランが導入の対象になる可能性あり。

*1:ここのラウンジはミート・ミッキーに待ち時間なしで入ることができます。皇太子ご一家がランドを訪問されたときに、ミッキーに会われる前の休息所としてここを使われたのは有名な話。

*2:ちなみに、講談社は1983年のランド開園からスポンサーを務めています。トゥーンタウンができる前はミッキーマウス・レビュー(2009年5月クローズ)のスポンサーでした。