昨年(2012年)12月、舞浜横丁さんがInstagramにアップロードした写真が話題になりました。
新しく期間限定でパーク内に「コンシェルジュ・キャスト」が導入されたとのこと。このコンシェルジュキャストは、場所・職種に関係なくゲストへサービスするキャストです。
あまり知られていないのですが、東京ディズニーリゾートでは勤務する場所や職種が細かく決められています。特に勤務する場所については、パーク内によって通れる場所と通れない場所まできちんと決められています。これは、その場所のテーマとは違ったコスチュームを着たキャストが入ることを防ぐためです。
私は一度、シーでコンシェルジュさんに会ったことがあります。そのときはあまり知られていなかったからなのか、手持無沙汰な様子でパークを巡回していました。せっかくの機会だと思って、少し世間話をしたのを覚えています。
実はこのコンシェルジュキャスト。すでに導入されているテーマパークがあるのです。それはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。USJでは2005年5月から「パーク・コンシェルジュ」を導入しています。
赤いコスチュームを着て、パーク内を巡回しているのがパークコンシェルジュ。「出口はどこ?」といった基本的な質問から、パークに関するマニアックな質問まで、もちろん手品といった客をもてなす技も身に着けています。
断定はできないのですが、東京ディズニーリゾートでも期間限定という形でコンシェルジュサービスが導入されたということは、USJのパークコンシェルジュを意識していると思われます。アンケートなどの結果によっては、本格的な導入も検討されるでしょう。
しかし、私はコンシェルジュキャストの導入には反対です。なぜかって?それはキャストの専門化が進むからです。これまでのパークでは、ゲストの誘導をするゲストコントロール、お掃除をするカストーディアル、警備をするセキュリティ、お店の中にいるマーチャンダイズ、どのキャストさんに話しかけても、きちんと疑問に答えてくれました。
コンシェルジュキャストの導入が進めば、困っているゲストを助けるキャスト、ゲストをもてなすキャストは「コンシェルジュ」ということになってしまいます。それではおかしいと思います。キャスト一人ひとりには仕事が決められていますが、ゲストために何かをするのは同じこと。それをコンシェルジュに投げてしまうのはおかしな話です。
専門的な質問の受け皿は、すでにゲストリレーションがあります。現場のキャストが答えれない質問は、リレーションにつなげばいいことです。これまでだってそうしてきました。しかも、現在ではウェブを通じて情報収集する人も増えてきています。コンシェルジュが質問に答える需要はどこまであるのでしょうか。
ほかのテーマパークの良いところや優れたところを真似するのは、もちろんいいことだと思います。しかし、USJの後追いでコンシェルジュキャストを導入することは、私は反対です。
〈2013年5月25日追記〉コンシェルジュ・キャストは12月16日で終了したとのこと。
〈2013年9月15日追記〉コンシェルジュ・キャストに代わって、2014年3月までの期間限定で「ドリームコンダクター」と呼ばれるキャストが登場しています。USJを意識して名前を変えたのでしょうね。仕事の内容はコンシェルジュ・キャストと変わりません。