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舞浜新聞

東京ディズニーリゾートなどのディズニーパークをはじめとして、ディズニーに関する様々な情報をお伝えします。



東京ディズニーリゾートが、営業時間を延長しない理由

東京ディズニーランドと東京ディズニーシーへ行った人は、閉園時間になると「もっと遊びたい!」「まだアトラクションに乗りたい!」と思うのではないでしょうか。

 

閉園間際の人が少なくなったパークで、アトラクションに乗るために走り回っている人をときどき見かけることもあります。

 

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©Disney

 

ランド・シーともに開園は最も早い日で朝の8時。閉園は遅くて夜の10時となっています。素人の考えでは、もっと朝の早い時間から、夜の遅い時間まで営業すれば売り上げが伸びるような気がします。

 

では、なぜ東京では営業時間の延長をしないのでしょうか。その理由について、今回は考えていきたいと思います。

 

アメリカの「エキストラマジックアワー」

アメリカ・オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドには「エキストラマジックアワー(Extra Magic Hours)」というサービスがあります。これは直営ホテルと公認ホテルの宿泊者向けのもので、開園1時間前から入園できたり、閉園後最大2時間まで滞在できたりします。一般のゲストよりも長く遊ぶことができるのでお得ですよね。

 

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ウォルト・ディズニー・ワールドにあるマジックキングダム ©Disney

 

ただし、このサービスは毎日行われているわけではありません。オーランドには4つのテーマパークがあり、その日によって開園が早いパークや閉園が遅いパークが決められています。あらかじめパークカレンダーで確認する必要があります。

 

直営・公認ホテルの宿泊者にはチケット情報を組み込むことができる「リゾートIDカード」が渡されます。このカードはルームキーと一体型になっており、どのホテルに何日から何日まで滞在するのか、何日間有効のチケットを持っているのか、などの情報がすべて入っています。

 

そのため、ゲートでこのカードを通せば、証明書などを見せなくても、すぐにエキストラマジックアワーを利用することができます。

 

以前は閉園後もパークの中に滞在するためにはリストバンドをもらってつけなくてはいけませんでしたが、今ではアトラクションを利用するときなどにリゾートIDカードを見せればよくなりました。

 

東京が営業時間を延長「できない」理由

さて、話を東京に戻します。オーランドではエキストラマジックアワーが導入されているのに、なぜ東京ではできないのでしょうか。

 

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©Disney

 

東京でもディズニーホテルの宿泊者向けに、通常の開園時間よりも早くパークへ入ることができるサービスを行っています。ランドは15分前に、シーは20分前(ミラコスタ宿泊者限定)に入ることができますが、一部のアトラクションやファストパス、レストランの予約は開園時間以降となっています。しかし、深夜の延長営業は一切行っていません。例外と言えば、年越しの特別営業くらいです。

 

実はここに日本とアメリカで大きく異なる点があります。それは「法律」なのです。

 

日本の場合「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる「風営法」があり、テーマパークであるランドやシーも「風俗営業」として、その適用を受けるのです(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令・第一条の三)。遊園地なのに「風俗営業」という言葉は、ちょっと嫌な感じですね。

 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令

 

(法第二条第一項第八号 の政令で定める施設)
第一条の三 法第二条第一項第八号 の政令で定める施設は、次の各号のいずれかに該当する施設であつて、営業中における当該施設の内部をそれぞれ当該施設の置かれるホテル若しくは旅館、大規模小売店舗又は遊園地内において当該施設の外部から容易に見通すことができるものとする。

一 ホテル(旅館業法 (昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第二項 に規定するホテル営業に係る建物又は建物の部分をいう。以下同じ。)又は旅館(同条第三項 に規定する旅館営業に係る建物又は建物の部分をいう。以下同じ。)内の区画された施設

二 大規模小売店舗(大規模小売店舗立地法 (平成十年法律第九十一号)第二条第二項 に規定する一の建物であつて、その建物内の店舗面積(同条第一項 に規定する小売業を営むための店舗の用に供される床面積をいう。)の合計が五百平方メートルを超えるものをいう。)内の区画された施設(当該大規模小売店舗において営む当該小売業の顧客以外の者の利用に主として供されるものを除く。)

三 遊園地(メリーゴーラウンド、遊戯用電車その他これらに類する遊戯施設を設け、主として当該施設により客に遊戯をさせる営業の用に供する場所で、その入場について料金を徴するものをいう。)内の区画された施設

 

実はこの風営法には、営業時間の制限が設けられています(第十三条)。それは午前0時まで。ただし午前1時までの例外規定や、都道府県の条例による規制・緩和も認められています。

 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

 

(営業時間の制限)
第十三条 風俗営業者は、午前零時(都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日にあつては当該事情のある地域として当該条例で定める地域内は午前零時以後において当該条例で定める時、当該条例で定める日以外の日にあつては午前一時まで風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内に限り午前一時)から日出時までの時間においては、その営業を営んではならない。


2 都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、前項の規定によるほか、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。

 

さらに風営法では、18歳未満が午後10時以降に、法律で規定する施設*1へ出入りすることを禁じており、それを施設の入り口などの分かりやすい場所で掲示するよう書かれています(第十八条)。「千葉県青少年健全育成条例」でも同様の規定があります。

 

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

 

(年少者の立入禁止の表示)

第十八条 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨(第二条第一項第八号の営業に係る営業所にあつては、午後十時以後の時間において立ち入つてはならない旨(第二十二条第五号の規定に基づく都道府県の条例で、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者につき、午後十時前の時を定めたときは、その者についてはその時以後の時間において立ち入つてはならない旨))を営業所の入り口に表示しなければならない。

 

千葉県青少年健全育成条例

第23条(深夜外出の制限)

保護者は、特別の事情がある場合を除き、青少年を深夜(午後11時から翌日の午前4時までをいう。以下同じ。)に外出させないように努めなければならない。

 

つまりランド・シーで深夜の延長営業をするためには、18歳未満のゲストを外へ出さなくてはいけないのです。家族連れや若い客が多いディズニーパークでは、かなり非現実的ですよね。ですから東京では深夜営業が行われていないのだと考えられます。

 

ちなみに、千葉県の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例では、「風俗営業の営業時間の特例」として、1月1日~8日と12月25日~31日は営業時間の延長を認めています。この規定があるため、ランド・シーでは年越しのときだけ深夜営業ができると考えられます。

 

実は「早朝営業」は可能

深夜営業は風営法や千葉県の条例で難しいことが分かりました。では早朝の営業はどうでしょうか。風営法では18歳未満は日の出までの入店を禁止しており、営業開始も日の出まで禁止されています。つまり、日の出の時間(冬でも7時前くらい)から営業することは可能なのです。

 

しかし、実際に7時から開園するとなるとどうでしょうか。勤務するキャストは始発電車に乗っても間に合わない人がいるかもしれませんし、泊まり勤務になってしまうかもしれません。そうなればオリエンタルランドが負担するコストも増えてしまいます。

 

第一、それだけ早く開園させても、ディズニーホテルやオフィシャルホテルの宿泊者のうち、どれだけの人が利用するのでしょうか。わざわざ少ないゲストのためだけに、大きなコストを負担するのは無駄なような気がします。

 

パリのディズニーランドの場合、通常開園は午前10時、それより前の2時間をエキストラマジックアワーとして設定しています(ホテル宿泊者と年間パス保有者)。しかし、これを東京でやると通常パスポートのゲストの不満が爆発しそうです。

 

東京でも今後はホテル宿泊者向けに、30分程度早くパークに入れるようなサービスは続くと思われますが、早朝や深夜営業は法律上やコストの面で難しいと思われます。規制緩和が進んで、東京でもオールナイト営業や特別営業が行われるのを願いたいと思います。

*1:もちろんテーマパークである「東京ディズニーリゾート」も含まれます。